白内障治療で患者様の眼に挿入する人工レンズは、焦点が1つである単焦点眼内レンズと、2点以上焦点を合わせられる多焦点眼内レンズがあります。
どちらを選ぶかは、術後のライフスタイルにも関わるため、とても重要です。
この記事では、2点以上の距離にピントを合わせられる多焦点眼内レンズと単焦点眼内レンズの違いや費用、費用における選定療養制度について解説していきます。
白内障手術では患者様の眼の状況やライフスタイル、ご要望から、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズのどちらを挿入するかを決めます。
単焦点眼内レンズの焦点が1つなのに対し、多焦点眼内レンズは2箇所以上に焦点を合わせられます。
大きく分けて、近方と遠方または遠方と中間距離など2箇所にピントが合う2焦点眼内レンズと、近方と遠方、中間距離すべてにピントが合う3焦点眼内レンズ、最新型の5焦点眼内レンズがあります。
単焦点眼内レンズと違い、複数にピントを合わせられるので術後は約8割以上の方が眼鏡を使わずに生活されています。構造の違いによりレンズの種類も豊富であり、高機能なものが日進月歩で開発されています。
しかし、単焦点眼内レンズと比べて光を距離別に振り分けるところから、1つの距離に対する視界の鮮明さは単焦点レンズに劣ります。
また、多焦点眼内レンズを挿入した後、レンズの仕組みによって夜間にライトを見ると光の輪が見えたり、まぶしく見えるハロー・グレア現象を感じることがあります。
多焦点眼内レンズ手術の詳細は、こちらをご覧ください。
多焦点眼内レンズ手術
2焦点眼内レンズは近距離と遠距離または、遠距離と中間距離など2箇所に焦点が合わせられるレンズです。
近方は30cm~40cm、遠方は3m~5mの距離をいいます。
この2箇所にピントを合わせられるので、単焦点眼内レンズと違い、術後は眼鏡が不要になることが多いです。
仕事で手元を見ることから、運転中に信号を見ること、スポーツで近くや遠くを見ることまで可能になります。
2焦点眼内レンズから、さらにもう1点焦点を合わせられるのが3焦点眼内レンズです。
近方と遠方の間の中間距離(50cm~80cm)は家事や買い物の際など、生活において見ることが多いのです。
3焦点眼内レンズは、近方30cm~40cm、中間距離50cm~80cm、遠方3m~5mすべてにピントを合わせられるので、日常に必要な視界をすべて補うことが出来ます。
2020年9月から国内で取扱いされた「インテンシティー(Hanita Lenses)」という世界初の5焦点眼内レンズです。最新型の多焦点眼内レンズであり、遠方、遠中、中間、中近、近方の5点に焦点が合います。
見易さだけでなく、多焦点眼内レンズで感じやすい、暗いところで光が見えにくくなるハロー・グレア現象が少ないというメリットもあります。
多焦点眼内レンズの詳細は、こちらをご覧ください。
多焦点眼内レンズの種類とメーカー|費用についても解説
多焦点眼内レンズの選び方|種類や費用、デメリットについて
単焦点眼内レンズとの違いは、焦点の数になります。
焦点の数の違いによる、見え方の変化を画像例でご説明いたします。
単焦点眼内レンズの場合は、下記のように、希望の距離一箇所が鮮明に見えます。
こちらは遠方にピントを合わせたイメージです。
一方、多焦点眼内レンズは近方と遠方、どちらにもピントが合います。
2焦点レンズの視界イメージがこちら。
さらに焦点を増やして、近方、遠方、中間距離にピントが合う3焦点レンズだと、このように見えます。
比べてみると、見え方の違いに歴然の差がありますね。
白内障手術の際、単焦点眼内レンズか多焦点眼内レンズのどちらが合うか、診察やカウンセリングで医師と患者様で決めます。
多焦点レンズと単焦点レンズについて動画で解説しています。どちらを選んだらいいかお悩みの方、理想の見え方に少しでも近づけたい方は、ぜひYoutube動画でご確認下さい。
【先進会眼科理事長インタビュー】単焦点、多焦点眼内レンズどちらがいい?
多焦点眼内レンズのメリットとデメリットを解説していきます。
メリット | ・近距離、遠距離、または中間距離も焦点が合うので眼鏡の使用が減る・パソコンやスマホの作業、スポーツなど生活上、様々なシーンに適応できる視力に |
デメリット | ・単焦点眼内レンズと比べて、焦点1箇所の見え方が劣る場合がある・術後、ハロー・グレア現象に慣れるまで時間がかかる ・多焦点眼内レンズが不適合な場合も |
生活上多くのシーンに臨機応変に対応する多焦点眼内レンズは、現状もっとも進んだレンズといわれています。
単焦点眼内レンズは、手元か遠くの一箇所以外はピントが合わないため、術後も眼鏡やコンタクトが生活に必要になります。
一方、多焦点眼内レンズは2箇所以上の距離でピントを合わせられるので、白内障手術によって眼鏡がほとんど不要になります。
単焦点眼内レンズは焦点が1つなのに対して、多焦点眼内レンズは複数の箇所に光を振り分ける仕組みです。
そのため、単焦点眼内レンズで定めた焦点の視界よりも、多焦点眼内レンズの方が少し一つ一つのピントの鮮明度が劣る場合があります。
また、多焦点眼内レンズは、暗い場所でライトを見た時に光の輪のように滲んでみえたり、まぶしさを感じるハロー・グレア現象が術後に感じやすいです。
ハロー・グレア現象は慣れるといわれますが、術後しばらくは、夜間を中心にこの現象に悩む場合があります。
また、多焦点眼内レンズが不適合な場合もあります。白内障によって視力に症状が現れていない場合、全体のコントラストが逆に下がってしまうことも。不適合は手術前の適切な診察やカウンセリングで防げます。
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白内障治療で多焦点眼内レンズを希望する際は、レーザー治療がおすすめです。
白内障治療では、白く濁った水晶体を分割して吸引し、希望の人工レンズを眼に挿入します。この治療を多焦点眼内レンズで行う場合、少しでもレンズの位置にズレや歪みがあった場合、術後の視力に支障が生じてしまいます。
そのため、多焦点眼内レンズの手術は、患者様の個々の目に合わせた緻密な正確性が重視されます。
レーザー治療は人間の手技では不可能な、0.01mm単位での水晶体の切開や精度の高い手術のプログラミングが実現。
精密さを重視する多焦点眼内レンズとレーザー治療は非常に相性が良いです。
当院での、多焦点眼内レンズを使用する白内障治療の費用はこちらになります。
白内障手術 | 両眼160万円(税込176万円) 乱視用レンズは追加10万円(税込11万円) |
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レーザー白内障手術 | 両眼160万円(税込176万円) 乱視用レンズは追加で20万円(税込22万円) |
どちらも術後3か月の検診・アフターケアを含んだ価格です。
2020年4月より、保険適用外の治療に追加費用を負担することで、保険適用の治療と併せて受けられる選定療養という制度が設けられました。
白内障治療は単焦点眼内レンズだと保険適用となり、多焦点眼内レンズだと、従来全額自己負担でした。
選定療養によって、手術自体は保険適応となりました。
多焦点眼内レンズとその追加検査の差額のみ、自己負担というかたちになります。レンズの差額は2焦点、3焦点の違いによっても異なります。
白内障の選定療養についてはこちらをご覧ください。
選定療養とは
多焦点眼内レンズ、単焦点眼内レンズのどちらが合うかは患者様の眼の状況やライフスタイル、術後の見え方のご要望などで変わります。そのため、一概にどちらが“良い”とは言えません。
単焦点眼内レンズですと定めたピントの距離がとても鮮明に見えますが、焦点以外を見る時には、眼鏡が必要になります。
多焦点眼内レンズは裸眼でも広い範囲でピントを調整できますが、単焦点眼内レンズに比べて一箇所のコントラストやシャープさが劣るという欠点があります。
多焦点眼内レンズの仕組みから、暗いところや夜間にライトを見ると、光の輪のようなものが見えることがあります。
これは合併症や視力障害ではなく、ハロー・グレア現象と言う光が滲んだり、眩しく見える現象です。多焦点眼内レンズが入ってきた光に対して、複雑な反射をおこすことが原因。術後はこの現象に戸惑う方が多いですが、数か月で徐々に慣れていきます。
多焦点眼内レンズは自己負担となりますが、2020年4月より、選定療養制度に該当するようになりました。
選定療養制度によって、いくつかの種類の多焦点眼内レンズの白内障手術は、10割すべて自己負担ではなくなりました。
単焦点眼内レンズと同じく手術代は保険適用となり、レンズと追加診療の差額のみ自己負担となりました。
白内障の眼内レンズについては、こちらをご覧ください。
白内障の治療で使用される眼内レンズ|保険適用から選定療養まで
白内障治療にあたり、多焦点眼内レンズにするか、迷われていませんか?普及率の高まってきた多焦点眼内レンズですが、手術である以上両手を挙げての万能なものではなく、注意点や欠点をご理解いただいた上で手術を受ける必要があります。
レンズの選択は術後、裸眼の視力に大きく影響するので、当院での適切な検査やカウンセリングのうえ慎重にご検討ください。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
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