
2014年に、老眼対策の眼内コンタクトレンズ「IPCL(Implantable Phakic Contact Lens)」が登場しました。近視や乱視、遠視とは別に、40代前後から誰しも目の老化現象である老眼が始まります。
この記事はIPCLとはなにか、どのように老眼に対応できるのか、またICLとの違いについて詳しく解説します。
老眼はいずれ誰もが経験する目の老化現象で、老眼鏡や遠近両用コンタクトで対応している方も多くいらっしゃいます。まずは老眼そのものについて正しく理解しておきましょう。
老眼とは、眼のなかのレンズである水晶体の弾力性が低下し、ピント調節機能がうまく働かなくなる状態です。
通常、物を見るときは水晶体を支える筋肉・毛様体筋が働き、水晶体の厚みを変えることで遠近のピントを合わせています。しかし加齢とともに水晶体が硬くなることで、この調節がうまくできなくなります。
老眼はおよそ40代前半から始まり、60代でほぼ完成するといわれています。原因は近視や遠視とは異なり、「水晶体の機能不全」にあるため、誰にでも起こる自然な老化現象です。
これらの症状に心当たりがある方は、老眼が進行している可能性があります。放置すると眼精疲労や頭痛、肩こりなど身体の不調につながることもあるため、早めの対策が推奨されます。
老眼への対処法としては、老眼鏡や遠近両用コンタクトレンズが一般的です。ただしこれらは装着・着脱の手間がかかり、視線移動によって見え方が変化しやすいという不便さがあります。
IPCLは眼内にレンズを挿入することで、老眼鏡やコンタクトを使わずに近方・遠方のピントを合わせられる選択肢です。手術による矯正のため、日常生活で眼鏡やコンタクトの着脱を意識する必要がなくなります。

ICLは眼内レンズを挿入して近視・遠視・乱視を矯正する手術ですが、通常のICLは単焦点レンズであるため、遠方または近方のどちらか一方にしか焦点を合わせられません。
老眼の本質は「水晶体の調節機能の低下」にあり、単焦点レンズで遠方の視力を矯正しても、近方のピント調節機能そのものは改善されません。そのため、通常のICLだけでは老眼への対応力が低くなります。
この課題に対応するため、先進会眼科では老眼や眼精疲労対策として、複数距離にピントを合わせられる多焦点タイプの「IPCL」をご提案しています。
IPCLはEyeOL社から2014年に発売開始された、後房型の有水晶体眼内レンズです。日本では2015年から使用実績を積み、2017年にヨーロッパでCEマーク(安全性)を取得しました。
IPCLは眼内レンズを挿入して近視・遠視・乱視を矯正する手術であり、「老眼そのもの」を治療するものではありません。しかし、遠方・近方の両方にピントを合わせられる多焦点構造により、老眼や眼精疲労のサポートが可能です。
先進会眼科では、ICLの供給元であるスターサージカル社とグローバルパートナーシップ契約を締結しており、35,000症例以上のICL手術実績(2002年11月〜2026年3月)を有しています。老眼対応のIPCLについても、国内屈指の経験を持つ体制でご相談いただけます。
ICLとIPCLはレンズの素材・構造・対応できる症状に違いがあります。主な違いを比較表にまとめました。
| 比較項目 | ICL | IPCL |
|---|---|---|
| 素材 | コラマー(コラーゲン共重合体) | ハイブリット親水性アクリル |
| 支持部の数 | 4つ | 6つ |
| ホール数 | 1つ | 7つ |
| 老眼対応 | 不可(単焦点) | 対応(多焦点タイプ) |
| 対象年齢 | 21歳〜45歳推奨 | 45歳以上推奨 |
| 費用(片眼) | 税込19.45万円〜(両眼38.9万円〜) | 税込42.9万円〜 |
| 症例数・歴史 | 30年以上の実績 | 国内では2015年〜と実績は発展途上 |
| ハロー・グレア | 軽度 | 多焦点構造のため出やすい傾向 |
| レンズ発注の納期 | 2週間〜1ヶ月程度 | 2ヶ月程度 |
ICLはコラマーというコラーゲンの共重合体素材でできており、長期的に眼内で安定する素材が使われています。一方、IPCLは「ハイブリット親水性アクリル」というタンパク質などの粒子が付着しにくい素材を採用しています。
眼内でレンズを安定して固定するための支持部が、ICLには4つあるのに対し、IPCLには6つあります。
眼圧の上昇の原因になる房水の流れを促進するホールについても、ICLは1つのみに対し、IPCLは7つ設置されています。
多焦点IPCLは遠方50%、近方30%、中間20%とバランス良く見え方が配分されています。そのため、遠近両用眼鏡やコンタクトレンズのように視線の変化で見え方が変わってしまうことが起こりにくくなります。
多焦点IPCLは回折型3焦点構造で、近方加入度数は以下から選択可能です(+1.0/0.55D、+4.0/2.1Dまでカスタムメイド対応可能)。
患者様の目の状態に合わせたご提案ができるため、老眼がある程度進行している方でも対応可能です。
ICLメーカーであるSTAAR社の推奨適応年齢は21歳〜45歳です。45歳以降は老眼の進行リスクが高まるため、先進会眼科では45歳以上の方には老眼にも対応できるIPCLをご提案しています。最終的な適応判定は、術前検査の結果をもとに担当医が個別に判断します。
IPCLの費用は片眼税込42.9万円(術後3年間の検診・アフターケアを含む)です。乱視用レンズをご希望の場合は、追加で片眼税込4.9万円が必要です。レンズ発注時には内金として片眼税込20万円をお預かりします。
なお、ICLの費用は当院の場合、両眼38.9万円(税込42.7万円)からとなっています。詳しい費用や医療費控除の適用については、こちらのページで詳しく解説しています。
ICLは1990年代から世界中で使用され、30年以上の手術実績があります。IPCLは2014年発売、日本では2015年から使用実績を積んでいる比較的新しい選択肢で、症例数はICLに比べるとまだ少ない段階です。先進会眼科では、35,000症例以上のICL手術実績に加え、国内2名の「シニアエキスパートインストラクター」資格保有医師が在籍しており、老眼対応の手術についても経験豊富な体制でご案内しています。
多焦点IPCLはレンズの構造上、単焦点レンズと比較してハローグレアが出やすくなる傾向があります。先進会眼科では、片目に多焦点IPCLを入れ、もう片方の目に通常のICLを入れることで、ハローグレアの影響を軽減する手術も行っています。
ICLのレンズ発注から手術までの納期は2週間〜1ヶ月程度ですが、IPCLはオーダーメイド性が高いため、2ヶ月程度かかる場合があります。手術日程を検討される際は、事前に余裕を持ったスケジュールをおすすめします。
IPCLを検討する際は、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。
IPCLも眼内に手術を行う治療である以上、リスクや合併症についても正しく理解しておく必要があります。
万が一異常を感じた場合は、当院の術後検診で早期に対応いたします。先進会眼科では全てのICL・IPCL手術に術後3年間のアフターケアが標準付帯しており、期間内の再手術・追加矯正も無料で対応しています。
いずれの場合も、最終的な適応の判断は術前の適応検査を通じて担当医が個別に行います。
| IPCL費用 | 片眼 税込42.9万円 ※ |
|---|
※術後3年間の検診・アフターケアを含みます
※乱視用レンズは 追加で片眼4.9万円(税込)になります。
※レンズ発注時に内金として片眼20万円(税込)をいただきます。
IPCLはICLと同じく、手術後に視力が戻ったりする心配がほぼございません。
ICLとIPCLは、20分〜30分ほどの手術で終わり、入院もいらない日帰り手術のため患者様の負担が少ない治療法です。点眼麻酔や笑気麻酔を使っているので、痛みなどのストレスも軽減されております。
レーシックで角膜を削るのに抵抗がある方や、近視・遠視・乱視が強い方、見え方の質にこだわりたいという方はぜひご相談ください。
45歳以下で老眼症状がない場合はICLを、45歳以上または老眼症状がある場合はIPCLを推奨しています。最終的には適応検査で担当医が個別に判断します。
IPCLは「老眼そのものの治療」ではなく、多焦点レンズによって複数距離にピントを合わせる矯正です。個人差はありますが、老眼鏡から解放される効果が期待できます。
手術時間はICLとほぼ同じで、片眼15分程度です。ダウンタイムや回復期間もICLと同様です。
片眼税込42.9万円(術後3年間のアフターケア含む)です。乱視用レンズは追加で片眼税込4.9万円かかります。ICLと同様、医療費控除の対象となります。
多くのケースで老眼鏡や遠近両用コンタクトから解放されます。ただし、暗所での細かい作業では補助的に眼鏡を使用する場合があります。
IPCLは取り出しが可能なレンズのため、白内障手術が必要になった際はレンズを取り出してから手術を行うことができます。先進会眼科では白内障手術にも対応しています。
術後1〜3ヶ月は夜間の光がまぶしく感じる方が多いですが、脳の順応により徐々に気にならなくなるケースがほとんどです。夜間運転が多い方は事前に担当医にご相談ください。
多焦点IPCLはICLでは補えない老眼や眼精疲労対策が可能な選択肢です。一方で、ICLとは異なり長期に渡る安定性や白内障・緑内障の進行リスクについてのエビデンスはまだ発展途上であり、長期的な目線で見た場合はICLのほうが安全性のデータが豊富といえます。
先進会眼科では35,000症例以上のICL手術実績(2002年11月〜2026年3月)と、国内2名のICL最上位資格「シニアエキスパートインストラクター」在籍という体制のもと、老眼対応のIPCLについても患者様一人ひとりの状態に合わせたご提案を行っています。東京・名古屋・大阪・神戸・福岡を中心とした全国ネットワークで、いずれも主要駅直結の同一品質の医療を提供していますので、老眼にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
先進会眼科は、スターサージカル(STAAR Surgical )社とグローバルパートナーシップ契約を締結しております。
(プレスリリースはこちら① / こちら②)
2021年8月31日、先進会眼科は眼内コンタクトレンズのICLを供給するスターサージカル社より、安全性と先進性を両立し全国の主要都市で多くの患者様に裸眼の生活を提供したことについて、アワードを受賞いたしました。

監修:岡 義隆
医療法人先進会 理事長 / 先進会眼科 理事長
専門分野白内障手術・屈折矯正手術
医療監修日
医師資格番号