眼の中の水晶体が白く濁る「白内障」と、視神経に障害が起こる「緑内障」。原因は異なりますが、どちらも視機能を低下させる病気です。進行性の病気なため、放置しておくと失明に繋がる可能性もあります。
白内障と緑内障は併発したり、白内障の放置によって緑内障が進行することもあります。
ここでは、白内障と緑内障の併発と同時手術、それぞれの発症・進行予防について解説いたします。
白内障とは、眼の中の水晶体が白濁することにより、見えづらさや眩しさを感じる病気です。水晶体は眼のフィルムにあたる組織で、焦点を合わせたり、網膜に像を結びつける役割があります。
その水晶体が濁ってしまうため「物がぼやけて見える」「霧がかって見える」「光が眩しい」など、様々な支障が生じます。
白内障は老化現象の一つであるため、発症する年齢に差はありますが、いずれどなたにも発症する病気です。そのため、発症原因の一番は「加齢」です。
しかし、現代の日本では若年層の白内障発症も増加しつつあります。若年性白内障の発症原因として、糖尿病・アトピー性皮膚炎・アレルギーなどの合併症、紫外線曝露や目の酷使、怪我などによる目元へのダメージ等が挙げられます。
白内障は、濁った水晶体を吸引して人工レンズに差し替える手術で改善することができます。
日本国内における白内障の失明率は3%と低めですが、手術を受けずに放置していると、症状が進行していきます。白内障が進行すると、緑内障を引き起こす可能性もあります。
緑内障は、日本での失明原因トップの眼疾患です。
白内障の詳細はこちらをご覧ください。
白内障とはどんな病気?種類・原因・症状・治療について
白内障は進行性の病気です。発症初期は点眼薬によって進行を遅らせて様子を見ることもありますが、視界に支障が現れるようになれば、手術が必要になります。
白内障の手術は、白く濁った水晶体を砕いて吸引し、人工レンズを眼の中に挿入します。人工レンズは水晶体のように濁ることがないので、一度手術を受けたら再発の心配はありません。
当院の白内障手術は、保険適用や選定療養制度適用のものや、精密且つ高速にプロセスを遂行するレーザー治療など、様々な種類がございます。
取扱い眼内レンズも全て揃えていますので、患者様のご要望やライフスタイルに沿った人工レンズを提案いたします。
白内障のレーザー手術や眼内レンズの詳細はこちらをご覧ください。
レーザー白内障手術
白内障の治療で使用される眼内レンズ|保険適用から選定療養まで
緑内障とは、眼の奥にある視神経が障害されることにより、視野が狭くなる病気です。日本人の中途失明原因のトップです。
眼圧が上昇して神経が障害されることや、視神経が繊細であることが原因といわれています。白内障を放置することによって、緑内障が発症する可能性もあります。
白内障同様進行性の病気で、徐々に視野が欠けていくため、発症初期は気付きにくい特徴があります。しかし、早期発見して視神経の障害が軽いうちに治療することが、失明を防ぐためにも重要になります。
緑内障の治療の基本は、眼圧を下げることです。障害を起こした視神経を回復することは困難ですが、早期に緑内障を発見し、視神経の障害が軽いうちに治療を開始することで、軽度な状態を維持することが可能です。
多くの緑内障では薬物療法が治療として適用されます。緑内障のタイプや程度、眼圧、全身の状態を考慮しながら、薬剤を決めていきます。
薬物以外に眼圧を下げる治療として、レーザー治療、手術療法もあります。
当院では画像診断の結果をもとに、適した治療方針をご提案いたします。
白内障と緑内障は異なる眼疾患ですが、併発することがあります。白内障の放置が緑内障を進行させる原因になることもあります。
当院で取り扱っている緑内障手術「トラベクトーム」と「iStent(アイステント)」は、白内障手術と同時に行えます。
どちらも「房水」を排出させることによって、眼圧状態の改善が期待できます。房水は眼の中にある液体で、循環と排出により眼圧を安定させています。しかし、何らかの原因によって房水の排水口が塞がってしまうと、房水が排出できず眼圧が上昇します。
トラベクトームは、電気メスを使用して僅か1.7mmの切開創を作成し、房水排出を促進させる手術です。低侵襲でリスクも非常に少ない、日帰り手術です。
iStent(アイステント)は、医療用チタンで作られた極小のデバイス「iStent」を使ったインプラント治療です。
iStentを眼の中の房水を排出する組織にインプラントすることで、房水の循環を改善し、眼圧を調整します。白内障手術と同時に行うため、視機能と眼圧の改善が同時に期待できます。
白内障手術と同時手術が可能な緑内障手術の費用は以下になります。
トラベクトーム・KAHOOK(流出路再建術) | 片眼:約60,000円(保険適用:3割負担) 片眼:約18,000円(保険適用:1割負担) |
iStent(白内障手術併用ドレーン手術) | 片眼:約90,000円(保険適用:3割負担) 片眼:約18,000円(保険適用:1割負担) 片眼:220,000円(税込)(自由診療) |
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白内障と緑内障、それぞれの発症・進行予防について解説いたします。
白内障は老化現象なので、予防していてもいつかは発症してしまう病気です。少しでも発症や症状の進行を遅らせるには、普段から予防意識を持つことが大切です。
若年性白内障を予防するには、目元への紫外線ダメージを防ぐ(サングラスや帽子を装着する)、糖尿病など生活習慣病を防ぐ(食生活を整える、適度に運動をする)等が挙げられます。
目元を外部刺激から守りながら、健康に良い生活習慣を心がけましょう。
白内障の原因や予防はこちらをご覧ください。
白内障の原因・予防方法
基本的に緑内障の予防方法はありません。生活習慣やストレスなどに注意して、健康に過ごすようにしましょう。
緑内障は発症初期は自覚症状が現れませんが、早期発見と治療が重要です。もし緑内障が発症した場合は、早めに治療を受けることで進行を予防できます。
眼に異常が感じられなくとも、定期的に眼科で検診を受けることを推奨いたします。
白内障と緑内障はどちらも視機能に支障を及ぼす病気ですが、原因からして異なるものです。そのため、同時に発症することもあります。
白内障は手術によって改善する病気ですが、緑内障が発症した際は視神経の回復が非常に困難になります。
少しでも早く症状を発見して、治療を行うことが重要です。
当院では、眼の状態や重症度に合わせて、適切な治療を提案いたします。また、白内障と緑内障を同時に手術することも可能です。
眼の状況や治療について不安な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
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