緑内障は治ることはあるのか

緑内障とは、眼の奥にある視神経が痛む病気のことです。徐々に視野が狭くなっていく進行性の病気で、放置していると失明に至る可能性もあります。

緑内障によって、障害を起こしてしまった視神経は治るのでしょうか。

緑内障が治る可能性や治療について、解説いたします。

緑内障とは

緑内障とは眼の奥にある視神経が障害されることによって、視野（見える範囲）が狭まっていく病気です。

視神経がデリケートであったり、眼圧が上昇して神経が障害されることが原因といわれています。放置しておくと視力障害が進行していく病気で、日本人の中途失明原因の第1位となっています。

40代以上の有病率は5.0%、20人に1人は発症しているので決して珍しい病気ではありません。しかし、発症初期は自覚症状がないため気付きにくい特徴があります。

長い時間をかけてゆっくり視野が欠けていき、視野が欠けた箇所は、ぼやけるように見えます。

重篤な病気ですが、早期発見・早期治療することで重度な視力障害や失明を防げる可能性が高いです。

視神経の修復は不可能

眼圧の上昇によって一度障害されてしまった視神経の修復は困難です。

しかし、早めに眼圧の上昇を抑制する治療を行うことで進行は防げるので、視力障害が軽い状況を維持することは可能です。

早期発見・早期治療によって重度な視力障害や失明を防げる可能性が高いです。

放置して自力で治すことは難しい

緑内障を自分で治すことは不可能であり、放置していて治ることもありません。

緑内障は基本的に進行がゆっくりなので、初期は自覚症状がないことが殆どです。

しかし、徐々に進行して視野が狭まっていくため、視力障害がないからといって放置することは非常に危険です。

放置していくと重度な視力障害や、失明に繋がる恐れがあります。

見え方に異常がある場合は迷わず眼科を受診しましょう。

現在見え方に懸念が無い方も、定期的に眼科検診を受けるのが安全です。

緑内障の治療

緑内障の治療の基本は、眼圧を下げることです。

一度障害を起こした視神経を回復することは困難です。しかし、視神経の障害が軽いうちに治療を開始することによって、自覚症状がない軽度な状態を維持することができます。

早期発見・治療によって、失明に至る可能性も大幅に減少します。

治療方法には、薬物治療・レーザー治療・手術療法があります。当院では、画像診断の結果をもとに、患者様一人ひとりに適した治療方針をご提案しています。

点眼薬や内服薬による治療

多くの緑内障では薬物療法（点眼薬・内服薬）が治療として適用されます。

緑内障のタイプ、程度、眼圧、全身の状態を考慮しながら患者様に適した薬剤を決めていきます。

レーザー治療は2種類

緑内障のレーザー治療は主に二つあり、どちらも眼圧を維持する「房水」排出に働きかける治療です。何らかの原因によって房水の排水口が塞がってしまうと房水が排出できず、眼圧が上がってしまうからです。

一つは虹彩に小さな孔を開けて、眼内の房水の流れを変えるものです。レーザーによって房水の通り道を作ります。

もう一つはレーザートラベクトプラスティー（LTP）という治療で、線維柱体（房水の排水溝）にレーザーを照射することで房水の排出を促進します。

レーザー治療は簡単に行え、痛みを殆ど伴いません。

手術でも緑内障の治療ができる

薬物療法やレーザー治療で十分な効果が得られない場合は、手術を行います。

当院で取り扱っている緑内障手術は「トラベクトーム」と「iStent（アイステント）」があります。

レーザー手術同様、どちらも房水（眼圧を安定させる組織）を排出させることによって、眼圧状態の改善を図る手術です。

トラベクトームは、電気メスを使用して線維柱体（房水の排水溝）に僅か1.7mmの切開創を作成し、房水排出を促進させる手術です。10分～20分で完了する低侵襲でリスクも非常に少ない手術です。

iStent（アイステント）は、医療用チタンで作られた緑内障治療用デバイス「iStent」を使った低侵襲のインプラント治療です。

極小のiStentを眼の中の房水を排出する組織にインプラントすることで、房水の循環を改善し、眼圧を調整します。

iStentは自然な房水排出を促すためにのみ設計されているので、眼に優しい手術といえます。

緑内障は早期発見が大切

緑内障によって一度視神経が障害されてしまうと、治すことは難しいです。そのため、緑内障は早期発見・早期治療がなによりも重要です。

早めに眼圧を下げる治療を行うことで、殆ど自覚症状がない軽度な状態を維持することが可能です。

当院では、患者様一人ひとりの緑内障の状態に合わせた治療放心を提案いたしております。

早期で治療に取り組めるように、定期的に眼科検診を受けて異常がないか、調べることを推奨いたします。

少しでも眼の状況が気になるようでしたら、お気軽にご予約ください。

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執筆：岡 義隆

日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長