
視力回復手術として世界中に普及しているICL(眼内コンタクトレンズ)。近視・遠視・乱視を矯正するために眼内へ挿入するこのレンズには、いくつかの種類や素材があり、それぞれに特徴があります。
ここでは、ICLレンズの基本構造から種類、素材、仕組み、度数範囲まで、レンズそのものについて詳しく解説します。

ICL(Implantable Contact Lens)とは、目の中に小さなレンズを挿入することで、近視・乱視・遠視といった屈折異常を矯正し、視力を回復させる矯正手術に用いられるレンズです。角膜と水晶体のあいだにレンズを挿入し、眼の中に入る光の屈折率を適切に調整することでピントを合わせます。
通常のコンタクトレンズは角膜の上に装着するのに対し、ICLは眼内に挿入するインプラント型のレンズです。装着期間についても、通常のコンタクトレンズは1日から1ヶ月程度で交換が必要ですが、ICLは基本的に交換の必要がなく、半永久的に使用できます。また、日常的な装着やお手入れの必要もありません。
IOL(Intra Ocular Lens:イントラオキュラーレンズ)とは、眼内に入れるレンズの総称です。IOLの中には、白内障治療に用いるレンズや、視力回復用のICLが含まれます。
眼内レンズには、虹彩の前方に固定する「前房型」と、虹彩の後方(虹彩と水晶体の間)に固定する「後房型」があります。
ICL(Implantable Collamer Lens:インプランタブルコラマーレンズ)は、後房型の有水晶体眼内レンズにあたり、「フェイキックIOL」という呼び方もされます。
先進会眼科では、スター・サージカル(STAAR Surgical)社製の「EVO ICL」および「EVO+ ICL」を採用しています。STAAR社のEVOシリーズには、近視矯正用の「EVO ICL」「EVO+ ICL」と、近視と乱視を同時に矯正するトーリックタイプの「EVO Toric ICL」「EVO+ Toric ICL」があり、乱視の度合いに応じてトーリックタイプが選択されます。従来型ICLとの大きな違いは、レンズ中央に小さな穴(中央ポート)が設けられている点です。この穴によって眼内の水分(房水)が自然に流れるため、従来必要とされていた手術前の虹彩切開を通常は省くことができます。
通常のICLは単焦点レンズであるため、近視・遠視・乱視の矯正はできても、老眼そのものへの対応はできません。老眼や眼精疲労への対応が必要な場合、先進会眼科では複数距離にピントを合わせられる多焦点タイプの「IPCL」をご提案しています。詳しくは老眼対応のIPCLについて解説したページをご覧ください。
眼内にレンズを入れる視力回復手術は総じて「フェイキックIOL」と呼ばれ、ICLはその代表的な術式です。国内で承認されているレンズが多くを占める一方、国内では未承認のレンズも一部存在するため、医療機関でどのレンズを使用しているかを確認することが重要です。
ICLとは本来「インプランタブル(I)コラマー(C)レンズ(L)」の略称で、STAAR Surgical社が開発した「コラマー(Collamer®)」という特殊な素材で作られたレンズを指す製品名です。コラマーはコラーゲンを含む生体適合性の高い親水性素材で、柔軟性がありながら目になじみやすいように設計されています。先進会眼科では、基本的にすべてのICL手術においてこのSTAAR社製コラマーレンズを使用しています。
老眼対応のIPCLには、コラマーとは異なる「ハイブリッド親水性アクリル」という素材が採用されています。水分含有量が多く、タンパク質などの汚れが付着しにくいという特徴があります。
コラマー、ハイブリッドアクリルのいずれも、視力そのものへの影響は限定的とされています。どちらの素材が適しているかは、目の状態や矯正したい内容によって異なるため、担当医との相談のうえで決定します。
現在主流となっているホールICLには、レンズ中央にSTAAR社が「KS-AquaPORT®」と呼ぶ直径0.36mm(360μm)の小さな孔が設けられています。この孔を房水が通ることで、眼内の水の流れを確保する仕組みになっています。
以前使用されていたレンズは、眼内の水(房水)の流れを妨げ、房水が虹彩の後ろに溜まることで眼圧が上昇し、瞳孔ブロックや白内障のリスクにつながる可能性がありました。STAAR社の公表情報によれば、中央ポートの搭載によってこうした術前の周辺虹彩切開の必要性がなくなり、瞳孔ブロックや白内障のリスク低減につながるとされています。
従来型のレンズでは、房水の流れを保つために事前に虹彩に穴を開ける処置(虹彩切開)が必要でした。ホールICLでは中央ポートによって房水が自然に流れるため、この事前処置を通常は省くことができます。
ICLレンズは、光を屈折させて視力を矯正する部分(光学部)と、眼内でレンズを固定する支持部(ハプティック)から構成されています。光学部の大きさは、瞳孔を通る光をどれだけカバーできるかに関わる要素です。
STAAR社の公式情報によると、EVO ICLの光学部(光学径)は度数やモデルに応じて4.9mmから5.8mm、EVO+ ICLでは4.9mmから6.1mmの範囲で設計されています。また、レンズ全体の直径(支持部を含む長さ)は12.1mm・12.6mm・13.2mm・13.7mmの4サイズが用意されており、個々の眼の大きさに合わせて選択されます。
光学部の大きさは、暗所で瞳孔が広がった際の見え方に関わる要素の一つとされています。個人の瞳孔径や眼の形状に応じて適切なサイズ・度数のレンズを選定することが、術前検査における重要なプロセスです。
STAAR社の公式情報では、EVO ICLは21歳から45歳までの有水晶体眼を対象に、乱視4.00Dまでを含む球面度数換算で-3.00Dから-20.0Dまでの近視矯正に用いられるとされています(前房深度が3.0mm以上であることが条件の一つです)。また、日本眼科学会の屈折矯正手術ガイドラインでは、6D以上の近視が適応の目安とされ、3D以上6D未満の中等度近視や15Dを超える強度近視については慎重な対応が必要とされています。先進会眼科における適応度数は約-3.00Dから-18.00D程度までとなっており、-15.00D以上は慎重な適応判断が行われます。
レーシックでは、近視が強すぎる場合や角膜が薄い場合に手術の適応外となることがありますが、ICLは眼内レンズの度数を調整することで矯正するため、レーシックでは適応が難しいとされる強度近視の方にも対応できる場合があります。度数は術前の精密検査によって個別に決定されます。
先進会眼科では、スター・サージカル社製の最新型レンズである「EVO ICL」および「EVO+ ICL」を採用しています。採用の理由としては、中央ポートによって従来型ICLよりも事前処置(虹彩切開)を軽減できること、STAAR社独自の生体適合性素材「Collamer®」が用いられていること、そして長年の歴史を持つ国際的な使用実績があることが挙げられます。なお、これは他社製品との単純な優劣を示すものではなく、素材や臨床データ、使用実績は品質・信頼性を判断する材料の一つとして考慮しています。
レンズの選定と費用の関係については、ICL手術の費用相場についてのページでも詳しく解説しています。
ICLは個人の眼に合わせたレンズを使用するため、術前に角膜形状解析や角膜内皮細胞検査、瞳孔径測定、前房深度検査など10種類以上の精密検査を行い、挿入するレンズの度数とサイズを決定します。検査結果や眼の状態に応じて、使用するレンズを担当医が判断します。
先進会眼科は、ICLを供給するスターサージカル(STAAR Surgical)社とグローバルパートナーシップ契約を締結しています。安全性と先進性を両立し全国の主要都市で多くの患者様に裸眼の生活を提供したことについて、2021年・2023年・2025年・2026年とICLアワードを受賞しています。
先進会眼科には、国内2名のICL最上位資格「シニアエキスパートインストラクター」が在籍しており、ICL手術実績は35,000症例以上(2002年11月〜2026年3月)にのぼります。開院24年以上、手術による感染症ゼロを維持(2002年11月〜2026年3月)しており、当院で眼科手術を受けた医師の数も2,240名(2002年11月〜2026年6月)にのぼります。すべてのICL手術には術後3年間のアフターケアが標準付帯しており、期間内の再手術・追加矯正も無料で対応しています。東京・名古屋・大阪・神戸・福岡を中心とした全国眼科専門ネットワークで、いずれも主要駅直結の同一品質の医療を提供しています。
ICLレンズは耐久性や生体適合性に優れた素材から作られており、明確な寿命は確認されていません。基本的に一度挿入すれば交換の必要はなく、長期的に使用できると考えられています。
取り外しが可能です。術後の見え方に満足いただけなかった場合や、将来白内障などの眼の病気が発症した際にも、レンズを取り出して元の状態に戻すことができます。これはレーシックとの大きな違いのひとつです。
眼内に挿入されたレンズは、通常の状態では外から見えず、鏡で覗き込んでも確認できない設計になっています。
レーシックでは適応が難しいとされる強度近視の方でも、ICLでは対応できるケースがあります。最終的な適応の可否は、術前の精密検査に基づき担当医が個別に判断します。
通常のICLは単焦点レンズのため老眼には対応していません。老眼への対応をご希望の場合は、複数距離にピントを合わせられる多焦点IPCLをご案内しています。
コラマー、ハイブリッドアクリルともに視力そのものへの影響は限定的とされています。どちらが適しているかは目の状態によって異なりますので、詳細は担当医にご相談ください。
ホールICLの中央ホール(KS-AquaPORT®)に光が屈折し、輪のような形(ハロー・グレア)が見えることがあります。多くの場合、時間の経過とともに気にならなくなりますが、術後の見え方について詳しく解説したページもご参照ください。安全性に関する詳細は、ICLの失明リスクについて解説したページでもご確認いただけます。

監修:岡 義隆
医療法人先進会 理事長 / 先進会眼科 理事長
専門分野白内障手術・屈折矯正手術
医療監修日
医師資格番号