スマートフォンやパソコンの普及もあり、子供の視力は年々低下傾向にあります。子供の時期に近視が発症した際は、如何に近視進行を抑制するかが重要になります。
ここでは子供の近視抑制において日常を過ごすうえで意識したい点や、当院で取り扱っている近視抑制治療について解説いたします。
パソコンやスマホが普及した背景もあり、現在子供の近視は年々増加傾向にあります。
文部科学省による令和元年度学校保健統計において、裸眼視力が1.0未満の児童生徒は、小学校34.6%、中学校57.5%、高校67.6%といづれも過去最多の結果が出ています。昭和54年からの推移を見ると、現代に近づくにつれて右肩上がりな傾向があります。
子供や学生の頃から近視症状が見られたら、程度が軽くても進行の可能性を考えて、放置しないことが重要です。
子供が近視になる原因は、大きく分けて2つあります。一つは「遺伝的要因」です。両親が近視の子供は、そうでない子供に比べて近視が発症するリスクが高くなるという結果があります。
もう一つは「環境的要因」。テレビやゲームを長時間近くで見たり、スマホやパソコンの長時間の使用、本を近距離で読むことなどが挙げられます。
近視抑制のためには、適度に目を休ませることや、1日2時間ほど日光を浴びることが有効的だと報告されています。また、当院で取り扱っている低濃度アトロピン点眼薬による点眼治療も、近視抑制効果が期待できます。
しかし、ある程度進行した近視の場合は、裸眼で快適に見えるようになるほど視力が改善することは難しいといえます。
目の負担となる、近距離作業(読書、勉強、ゲーム、スマホ)を行う場合は、30分~1時間に1度は遠くを見るなどして、目を休ませるように意識してください。
身体同様、目も休憩をさせることが大切です。連続して同じ距離ばかりを見続けないようにしましょう。
世界共通で認識されている近視の原因は、近いところを見続ける作業のほか、外遊びの減少が挙げられます。日光に当たる外遊びが少ないと、近視になりやすい傾向があります。
無理をしない程度に、屋外で遊ぶ時間を設けるようにしましょう。
当院では、自由診療にてアトロピン点眼による近視抑制治療を行っています。
濃度を希釈し副作用のリスクを少なくした低濃度アトロピン点眼薬によって、近視の進行が抑制される効果が判明しています。
シンガポール国立眼科センターより、アトロピン0.01%の点眼治療を2年間継続して判明した、効果・効能及び安全性について以下のような報告があります。
・近視の進行を平均40%軽減(初期の報告では60%という報告もあり)
・アレルギー性結膜炎及び、皮膚炎の報告はない
・眼圧に影響がない
・点眼治療中止後も、調節機能が低下することはない
・瞳孔が開き続けることはない
・網膜機能に影響を与えることはない
参考:Ophthalmology. 2016 Feb;123(2):391-9
治療を受けたら、点眼治療中止後も近視抑制効果を維持できるとの報告があります。低濃度アトロピン点眼薬をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
上記の対策以外に、当院では就寝中に特殊コンタクトレンズを挿入して視力回復を行うオルソケラトロジー治療を取り扱っています。こちらは近視進行抑制の効果も期待されています。
オルソケラトロジーとは、特殊コンタクトレンズを就寝時に挿入することで、寝ている間に角膜のカーブを矯正する近視治療です。起き抜けに外すと、裸眼でもクリアな見え方が維持できる状態になっています。
中止する事で視力は元に戻ってしまいますが、その点も含めて手術よりも費用面・心理面の負担が少ない視力回復治療になります。
レーシックやICLなどの視力回復手術と違い、オルソケラトロジーは子供でも受けられる視力回復治療です。
また、子供の角膜は成人の方と比べて柔らかいため、オルソケラトロジーによる近視進行効果が優位に作用する期待ができます。角膜が柔らかい方が、オルソケラトロジーによる矯正は比較的早期に実現されます。
近視症状が進行しきっていない子供の頃からオルソケラトロジーを取り入れることで、将来の強度近視予防効果が期待できます。
現在近視症状が既に現れている子供に、オルソケラトロジー治療を検討してはいかがでしょうか。
オルソケラトロジーは軽度の近視・乱視に対応した視力回復治療法です。日中裸眼でもクリアな見え方が維持できるので、眼鏡やコンタクトの手間から解放されます。
当院のオルソケラトロジー治療で使用している特殊コンタクトレンズ「マイエメラルド(Emerald™)」は、米国FDA・ヨーロッパCEマーク認可で、長年世界各地で使用されています。日本国内でも、2010年9月に、厚生労働省で認可されました。就寝中にコンタクトレンズというと抵抗を感じるかもしれませんが、通常のハードコンタクトレンズと同程度の安全性を備えています。
現時点で軽度な近視だとしても、将来の視力のために早いうちから近視抑制を意識することが大切です。オルソケラトロジーは日中の視力回復と同時に、近視症状の進行抑制効果が期待できる有効性の高い治療です。
子供の近視抑制治療を検討されていましたら、お気軽にご相談ください。
日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
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