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医療者に選ばれる眼科医療

先進会眼科コラム

老眼

 

老眼と白内障は何が違う?それぞれの症状や治療法を解説

老眼と白内障の症状は似ていると思われがちですが、目の状態や治療法はまったく異なります。
老眼は年齢に伴い自然と起こる症状で、老眼鏡やコンタクトレンズを用いて矯正できる一方、白内障は放置すると失明するリスクがあるため、治療には外科手術が必要です。

【この記事でわかること】

  • 老眼と白内障の違い
  • 老眼の対処法
  • 白内障の治療法
  • 老眼や白内障を放置することのリスク

老眼や白内障などの目の病気は、加齢に伴い、発症するリスクが上がります。
それぞれ視界がぼやける症状が現れますが、どのように見分けるとよいのでしょうか。

そこで本記事では、老眼と白内障の違いや治療法をお伝えします。
「視界がぼやける原因が、老眼なのか白内障なのかわからない」と不安を抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

老眼と白内障の違い

老眼と白内障は、どちらも視界がぼやける症状をもつ目の病気ですが、目の状態やそのほかの症状はまったく異なります。

それぞれの特徴や症状をご紹介しますので、見分ける際にお役立てください。

老眼の特徴・症状

老眼とは、スマートフォンや本など、近くにあるものにピントを合わせにくくなる症状を指します。
年齢を重ねれば、誰でも自然に発症するのが特徴です。

老眼になる要因として、目の中にある“水晶体”の弾力と“毛様体筋”のはたらきが低下することが挙げられます。
通常、遠くから近くへ焦点を移す際には、毛様体筋が水晶体を引っ張ったり、緩めたりして水晶体の厚みを変えることで、ピントを調節しています。
しかし、水晶体の弾力や毛様体筋のはたらきが衰えることに伴い、毛様体筋が引っ張っても厚みが変わらなくなるため、視界がぼやけて見えるのです。

また、老眼には、視界がぼやけること以外にも、以下に挙げたような症状がみられます。

【老眼の代表的な症状】

  • 細かい文字が見えにくくなる
  • 距離を変えるとピントを合わせるまでに時間がかかる
  • 暗い場所で文字が読みにくくなる

ご自身では、老眼だと思っていても、白内障をはじめとするほかの病気が隠れているリスクも十分にありますので、少しでも違和感を覚えたら眼科を受診しましょう。

白内障の特徴・症状

白内障は、加齢によって水晶体が白く濁ることで、ものが見えにくくなる目の病気です。

本来、水晶体は外から光を集めてピントを合わせます。
ところが、白内障によって白く濁ると、光が水晶体の中を通過できなかったり、光が乱反射したりすることで、網膜に見ているものを鮮明に映せず、視力が低下してしまうのです。
そのため、白内障には目がかすむ、視界がぼやけて見えるほか、以下にまとめた症状がみられます。

【白内障の代表的な症状】

  • 明るい場所に行くと眩しいと感じる
  • 眼鏡の度数が合わなくなる
  • ものが二重に見える

このように、白内障の症状には、老眼とは異なる症状がみられます。

白内障が進行すると、黒目の真ん中が白っぽく変わることがありますので、早期に治療しましょう。

白内障の概要や症状の詳細は、こちらをご覧ください。
白内障とはどんな病気?種類・原因・症状・治療について
白内障の症状と見え方│まぶしく見えるのはなぜか

老眼の対処法

老眼の対処法については、以下3点に分けてご紹介します。

  1. 老眼鏡やコンタクトレンズをつける
  2. 手術する
  3. 目薬を利用する

老眼は、年を重ねれば誰でも起こる自然な症状ですが、手元にあるものがぼやけて見えるのは、やはり不便ですので、以下でご紹介する対処法をぜひお試しください。

老眼鏡やコンタクトレンズをつける

老眼を簡単に対処する方法は、老眼鏡やコンタクトレンズを着用することです。
老眼になった目のピント調整機能をレンズが補助して、手元のものをはっきりと見ることができます。
通常、老眼鏡は近くのものを見るときにのみ着用しますが、最近では1本で近方も遠方も見える“遠近両用メガネ”も販売されていますので、あわせてご検討ください。

なお、老眼が進んでから、老眼鏡や遠近両用メガネを使用すると、視界が歪んで見えてしまったり、ピントを合わせにくくなったりすることがあります。
そのため、老眼鏡やコンタクトレンズは、一般的に老眼の症状が起こり始める40歳になる前から着用することが理想的です。
早めに目のピント調整機能をサポートすることで、目の負担や疲労感を軽減でき、老眼対策としての効果を期待できます。

手術する

従来、老眼は老眼鏡や遠近両用メガネ、コンタクトレンズによる矯正で対処されていました。
しかし、近年では医療の発達により、以下にまとめたような幅広い治療法が登場しています。

【老眼の主な治療法】

  • 老眼用ICL(眼内コンタクトレンズ)手術
  • 老眼用レーシック手術
  • 多焦点眼内レンズを用いた白内障手術

老眼用ICL手術とは、水晶体を取り除かずにIPCLマルチという遠近両用眼内にレンズを挿入する手術です。

老眼用レーシック手術とは、レーザーを使って角膜の形を変えることで網膜にピントが合うように光の屈折率を調整する治療法です。左右の視力に差をもたせることで、老眼を改善する方法です。一方の目は近くを、他方の目は遠くを見られるように調整することで、両目で見た際に遠近のどちらも見えるようになります。

ただし、どちらの手術も加齢により水晶体に濁りが見られる場合、基本的に手術は受けられません。

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、水晶体を除去した上で多焦点の人工レンズを挿入する手術となります。白内障と老眼の両方同時に治療できる方法となります。

このように、老眼になっても手術する ことで、老眼鏡やコンタクトレンズなどで矯正を行わずに、裸眼で生活できる可能性があります。老眼を治すにあたっての治療法は、患者さまの目の状態やご年齢、生活スタイルに沿って慎重に検討する必要がありますので、まずは眼科医にご相談ください。

【関連記事】
目にレンズを入れる手術 ICL (アイシーエル)の特徴やデメリットを 解説
レーシック手術の効果とは?回復期間や効果の持続期間・注意点などを解説

目薬を利用する

老眼向けの目薬を使用することも、対処法の一つです。

“ネオスチグミンメチル硫酸塩”が配合されている目薬を使用すると、毛様体筋の収縮や目の疲れを緩和する、角膜を保護することが期待できます。
また、スマートフォンの使用により、若い方でも発症するスマホ老眼を対策することもできるといわれています。

白内障の治療法

白内障は、単焦点眼内レンズまたは多焦点眼内レンズを目に挿入する外科手術で治療します。
症状が軽度の場合は、進行を抑えるために目薬や内服薬による治療を行いますが、白く濁った水晶体は、外科手術を行わなければ治すことはできません。

また、患者さまの手術後のライフスタイルによって、挿入するレンズの種類が異なりますので、それぞれの特徴を以下で詳しくご説明します。

単焦点眼内レンズの挿入

単焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方のいずれか一つにピントを合わせたレンズです。
ピントを合わせた距離の範囲内であれば、視界がクリアになります。
どのレンズを選んでも、健康保険が適用されることが利点です。

一方で、遠方を選んだ場合は手元を見る際に、近方を選んだ場合は遠くを見る際にメガネをかけることがあります。

多焦点眼内レンズとの違いは、こちらをご覧ください。

多焦点眼内レンズの挿入

多焦点眼内レンズは、遠距離と近距離のどちらにも焦点が合うように作られたレンズです。
幅広い範囲でピントを合わせられることから、長期間安定して裸眼で生活することを目指せます。
治療として手術したにもかかわらず、メガネをかけなければならないことに抵抗がある方におすすめです。
また、先述した通り、多焦点眼内レンズは白内障を発症していない老眼の方でも、挿入することができます。

ただし、多焦点眼内レンズには、白内障以外の病気を患っている場合は挿入できない可能性や、健康保険の適用外となるため治療費が高額になるといったデメリットがあります。

多焦点眼内レンズの詳細については、こちらをご覧ください。
多焦点眼内レンズ手術
多焦点眼内レンズの種類とメーカー|費用についても解説

老眼や白内障を放置することのリスク

老眼や白内障は、対策や治療を行わずに放っておくと、さまざまなリスクが生じます。
ここからは、目の不調だけではない老眼と白内障を放置する危険性をご紹介します。

老眼を放置するリスク

老眼は、老眼鏡やコンタクトレンズを装着して矯正を行わないと、眼精疲労やめまい、吐き気などの体調不良につながるおそれが伴います。

また、老眼に気づかずに適切な処置を取らない状態を続けると、症状が進行する可能性もあります。
なお、老眼鏡で対策する場合は、老眼が進行した段階で老眼鏡をかけると、高い度数に目が順応するまでに時間がかかりますので、症状が軽いうちに老眼鏡に慣れておきましょう。

白内障を放置するリスク

適切な治療を行わずに白内障を放置していると、最悪の場合、失明することがあります。
くわえて、“水晶体融解性ぶどう膜炎”や“急性緑内障発作”を発症するリスクも上がります。

水晶体融解性ぶどう膜炎は、真っ白に白濁するまで放置された水晶体が液状化することにより起こる炎症です。
目の充血や強い痛みを引き起こし、緊急手術でも後遺症が残る危険が伴います。

急性緑内障発作は、放置された水晶体が膨らんで目の中の水を外に出す役割を担う“隅角”がふさがれ、目の圧が上昇している状態が慢性化することで発症します。
急性緑内障発作によって欠けてしまった視野は戻すことができません。

このように、白内障を放っておくと、失明やその後の生活に支障をきたす病気になりかねませんので、異変に気づいたらすぐに眼科を受診しましょう。

白内障を放置するリスクについては、こちらをご覧ください。

まとめ

本記事では、老眼と白内障の違いや、各特徴と治療法についてお伝えしました。

年齢を重ねれば、誰にでも自然に起こる老眼は老眼鏡による矯正や、目薬を用いて対策することが可能です。
また、ICLレーシック多焦点レンズを挿入する手術で治療することができます。

白内障は、老眼とは異なる症状が見られるのが特徴です。
濁った水晶体の代わりに、単焦点・多焦点レンズを挿入することで治せます。

先進会眼科では、常に最新の医療情報を取り入れ、先進的な眼科医療を全国の患者さまにお届けしています。
20年以上の経験をもつ多焦点眼内レンズ手術やICL、レーシック手術などを承っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

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監修者
岡 義隆
執筆:岡 義隆

日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長

略歴

聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業

医師資格番号

医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357

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