白内障が疑われるとどのような検査を受ける?検査内容を紹介
白内障の疑いがある場合には、眼科で視力検査や眼底検査などを受ける必要があります。
どの検査も事前に何か準備する必要はなく、痛みもないため安心して受けられます。
【この記事でわかること】
- 白内障とは
- 白内障の発症メカニズムと症状
- 白内障の罹患有無を自分でチェックする方法
- 白内障への罹患が疑わしい場合は検査へ
- 白内障の検査方法
- 白内障の治療方法
- 白内障の手術費用の目安
「白内障になったか心配で眼科を受診したいけど、検査でどのようなことをされるのか不安で気が進まない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
白内障の検査は、痛みを伴わず、短時間で済む場合がほとんどです。
そこで本記事では、白内障と疑わしい場合に受ける検査の内容をご紹介します。
白内障の検査に不安や疑問を抱かれている方の、お役に立てれば幸いです。
白内障とは
白内障は、目の水晶体が白く濁り、ものが見えにくくなる病気です。
通常、透明な水晶体は、カメラのレンズのように、外からの光を集めてピントを調整するはたらきを担っています。
しかし、水晶体に含まれるたんぱく質が変性することで、透明だった水晶体が徐々に濁っていき、視力の低下を引き起こします。
水晶体が白く濁る主な原因は、加齢です。
加齢に伴って、目に老廃物が蓄積したり、水晶体の内部が酸化・糖化したりすることで、白く濁るといわれています。
70歳を超える頃には、ほとんどの方が中等度以上の白内障を発症し、早ければ40歳頃から症状が現れます。
白内障のメカニズムと症状
白内障によって、なぜ視力の低下が起きてしまうのでしょうか。
本来、凸レンズ型の水晶体は、外から光を集めてピントを合わせますが、白内障によって白く濁ると、光が水晶体の中を通過できません。
通過できない光が乱反射して、見ているものを鮮明に映せず、視力の低下につながるのです。
その結果、白内障には以下にまとめたような症状がみられます。
【白内障の代表的な症状】
- 以前よりも敏感に明るい場所が眩しいと感じる
- メガネの度数が合わない
- ものが二重に見える
さらに白内障が進行すると、視力の低下が進み日常生活を送りにくくなりますので、早期に発見し、治療を行う必要があります。
白内障の罹患の有無をご自身でチェックする方法
先述した白内障の症状が見られる場合や、今後発症するか心配な方は、セルフチェックを実施してみましょう。
白内障になっているかをご自身でチェックする際の項目は、以下の通りです。
【白内障のセルフチェック項目】
- 年齢が50歳以上である
- 左右でものの見え方が違う
- ものが二重、三重に見える
- 視界がかすむ
- 距離感がわからずに転ぶ、またはぶつかる
- 以前よりも明るい光が眩しいと感じる
- 夜間の街灯や月、車のヘッドライトが眩しいと感じる
- 老眼鏡をかけても字が読みにくい
- 3年以内に作成したメガネ・コンタクトの度数が合わなくなった
- 糖尿病を発症している
- 視力が落ち、運転免許証が更新できなかった
- 本を長時間読めなくなった
- 精密な作業ができない
- ステロイド剤を長期間使用している
上記の項目に10個以上あてはまれば、白内障を発症している可能性が高いため、早めに医師に相談することをおすすめします。
白内障の疑いがある場合は検査へ
「以前と比べて明るい場所に行くと眩しいと感じる」「急激に視力が低下し、メガネの度数が合わない」といった症状があれば、すぐに眼科で検査しましょう。
白内障を放っておくと、失明する場合や、生活に支障をきたす病気にかかる場合があるため、早期に治療を受けることが肝心です。
また、白内障と診断されたら、白内障手術の治療実績がある眼科で精密検査を受けることが望ましいです。
白内障手術の実績がない眼科では、目のかすみや眩しさを感じるといった症状があっても、視力の低下がなければ「手術する必要がない」と判断される傾向にあります。
白内障の疑いがある場合には、あらかじめ治療実績がある病院を選定して、適切な病院を受診しましょう。
白内障の検査方法
白内障かどうかを調べるには、視力や水晶体の濁りを調べて進行度を把握する検査を実施します。
具体的な白内障の検査項目は、以下の通りです。
- 視力検査
- 屈折検査
- 細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)
- 眼底検査
- 眼圧検査
- 角膜形状解析検査
どの検査においても、健康診断のように前もって何か準備する必要はありません。
また、検査にあたって痛みを伴うこともないため、安心して受けられます。
実際にどのような検査を実施するのか、検査内容を詳しくお伝えします。
視力検査
一般的に、白内障の検査ではじめに行われるのが視力検査です。
視力検査では、裸眼の視力とメガネやコンタクトレンズを装着した状態の矯正視力を測定します。
視力検査を実施する理由は、視力の低下が白内障の代表的な症状であるためです。
白内障では目のレンズの役割を果たす水晶体が濁るため、メガネやコンタクトレンズで矯正しても視力はほとんど上がりません。
つまり、矯正視力が著しく低下していれば、白内障の可能性が高いと診断されるということです。
なお、白内障の進行と視力の低下は必ずしも比例せず、視力に変化がなければ手術しなくてもよいというわけではありません。
屈折検査
屈折検査では、目のピント調整機能が正常であるかを調べます。
目のピントが正常に調整できていれば、視力も問題ないことが判明するからです。
具体的には、角膜のカーブの角度や水晶体の厚み、眼軸の長さなどを検査します。
屈折検査は、白内障だけでなく、近視や遠視、乱視などの屈折異常があるか、どのぐらいの強さで近視や遠視が起こっているかを確認できる検査です。
その際、屈折検査で異常が出れば、視力の低下が疑われます。
細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょう)
細隙灯顕微鏡検査では、特殊な顕微鏡を使用し、暗い部屋で帯状の光を目にあて、角膜や水晶体、結膜に異常がないかを調べます。
観察光の幅を狭くした光の切片(スリット光)で、眼球の断面を観察していき、水晶体の透明度や濁り具合を確認することで白内障を見分けます。
眼底検査
眼底検査では、白内障だけでなく、ほかの病気にかかっている可能性も考慮して、白内障以外の病気をあぶり出します。
まず検査用の点眼薬(散瞳薬)を使って、十分に瞳孔を開かせ、眼底の血管や網膜、視神経、硝子体に異常がないかを確認します。
その際に、網膜や視神経などの状態によって、高血圧や動脈硬化、糖尿病性網膜症といった内科的な病気まで発見できるのです。
眼底検査で緑内障や加齢黄斑変性などが疑われた場合は、光干渉断層計を用いて再度眼底検査を行います。
光干渉断層計の光は角膜や水晶体、硝子体など透明な組織を通過して眼底まで届くため、網膜の断面を撮影することが可能です。
眼圧検査
眼圧を調べる検査では、目に空気をあてて目の硬さを計測します。
眼圧が正常値より高い場合は、白内障以外の病気が隠れている可能性があります。
そもそも、眼圧とは、眼球内の房水によって生じる眼の中に満たされている液体(房水)が一定の圧力を保ちながら、循環しており、この房水による眼球内の圧力のことです。
房水は常に毛様体から分泌されて、眼球内を循環していますが、何かの原因で房水の排出路(隅角の線維柱帯)が詰まり、働きが悪くなると、眼球内に房水が溜まり、眼圧が
高くなり、視神経が圧迫されるため、視覚・視野に異常をきたし、緑内障を発症することもあります。
角膜形状解析検査
眼の表面にある角膜という透明な組織が、どのような形状をしているのかを詳しく調べる検査が、角膜形状解析検査です。
この検査の目的は、白内障を見分けるためではなく、白内障手術で挿入する人工の眼内レンズの形を決めることです。
白内障の治療方法
白内障は、濁った水晶体を取り除く外科手術で治療します。
水晶体の代わりに、人工のレンズである、単焦点眼内レンズまたは多焦点眼内レンズを挿入します。
症状が軽度の場合は、進行を抑えるために目薬や内服薬による治療を行いますが、白く濁った水晶体は、外科手術によって人工レンズと入れ替えなければなりません。
白内障の手術費用の目安
白内障の手術に要する費用は、単焦点眼内レンズか多焦点眼内レンズのどちらを挿入するかによって異なります。
単焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方のいずれか一つにピントを合わせたレンズです。
どちらのピントに合わせても、メガネを併用する必要があるかもしれません。
一方で、多焦点眼内レンズは、幅広い範囲でピントを合わせられることから、裸眼でも不自由なく生活できます。
なお、保険が適用されるのは単焦点眼内レンズを選択した場合のみです。
多焦点眼内レンズを希望した場合は、国内で承認を受けている眼内レンズに関しては、“選定療養”として、部分的に保険が適用されます。
海外のみで認可を受けている国内未承認の眼内レンズを用いる場合は、保険が適用されません。
それぞれのレンズ費用の目安を以下の表にまとめましたので、ご参考になさってください。
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの費用の目安(片目)
レンズの種類 | 費用の目安 |
---|---|
単焦点眼内レンズ | ・自己負担3割 6万円程度 ・自己負担2割 4万円程度 ・自己負担1割 2万円程度 |
多焦点眼内レンズ | 45~160万円程度 |
どちらのレンズを挿入するかは、ご自身のライフスタイルを考慮して、医師と相談しながら決めましょう。
まとめ
今回は、白内障に罹患したかどうかを見分けるうえで実施する検査の内容についてお伝えしました。
白内障に罹患したかどうかを調べるには、視力の低下や水晶体の濁りの程度を調べて進行度を把握したり、光の屈折度や角膜の形を測定したりする検査を実施します。
具体的な検査項目は、視力の低下を見分ける屈折検査や白内障以外の目の病気を見つける眼底検査です。
先進会眼科では、最新の医療情報を取り入れ、先進的な眼科医療を全国の患者さまにお届けしています。
白内障手術については、保険診療のものから自由診療のものまで、眼内レンズを豊富にご用意しておりますので、ぜひ一度ご相談ください。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357