白内障に罹患しているのかを確認するセルフチェックリスト
白内障を発症しているかどうかを判断するには、セルフチェックを実施してみましょう。
“左右の目で見え方が違う”“視界がかすんでいる”など、複数当てはまる場合は、白内障に罹患している可能性があります。
【この記事でわかること】
- 白内障とは?
- 白内障が進行すると現れる症状
- 白内障には何歳から罹患する可能性が高まるのか
- 白内障のセルフチェックリスト
- 白内障の治療方法
- 白内障の手術にかかる費用の目安
- 白内障の予防方法
「最近よく視界がぼやけるな」「光がまぶしく感じる機会が増えた気がする」と思われていませんか?
こうした見え方の変化は、もしかすると“白内障”が原因かもしれません。
そこで本記事では、白内障のセルフチェックリストを、治療法や予防策とともにお伝えします。
白内障を早期に発見して、将来のリスクを減らしたいときに、お役立てください。
白内障とは?
白内障とは、目の中にある水晶体が濁ってしまう病気のことです。
水晶体には、外部からの光を集めてピントを調節する機能があります。
健康な目の水晶体は透明ですが、白内障を発症すると、構成成分の一つであるたんぱく質が変性し、白色や黄白色に濁ってしまいます。
こうした状態に陥った場合、外の光を網膜 に届けられずに、視界がぼやけたり、視力が低下したりといった症状が引き起こされるわけです。
白内障を発症する主な原因は、加齢と 紫外線が考えられています。
先天的な理由で発症する場合もありますが、年齢を重ねると誰でもかかりうる病気であることを覚えておきましょう。
もし白内障を発症したときには、放置せず、必ず治療を受けてください。
白内障を放置すると、水晶体の濁りが加速して、どんどん見えにくくなってしまいます。
最悪の場合は、失明するかもしれません。
白内障による失明率は、日本国内で約3%と低く感じられるかもしれませんが、全世界でみるともっとも多いといわれています。
それだけではなく、緑内障や、水晶体融解性ぶどう膜炎などの合併症を引き起こすこともあり得ます。
白内障を放置すると、健康的な毎日を送ることが難しくなってしまいますから、少しでも違和感を覚えたら眼科医に相談することが不可欠です。
関連診療項目:白内障とはどんな病気?種類・原因・症状・治療について
白内障が進行すると現れる症状
水晶体の濁り方には個人差があるため、白内障の症状の現れ方も人によって異なります。
くわえて、白内障の初期症状は“ちょっとした目の違和感”程度であることがほとんどです。
それゆえに、自覚がないまま進行し、生活に支障をきたすような症状が現れたときに、初めて白内障だと気がつくケースも少なくありません。
具体的には、白内障が進行すると、以下のような症状が現れるとされています。
【白内障の症状】
- すぐに目が疲れる
- 視力が低下する
- 目がかすむ
- ぼやけて二重に見える
- 視界が暗い
- 光を過敏にまぶしく感じる
- 日中と夜で見え方が変わる
こうした症状が現れて「なんだか見え方が変わったかも」と思われたら、すぐに眼科で検査を受けましょう。
白内障には何歳から罹患する可能性が高まるのか
白内障は、中高年以降に罹患するケースが多いとされています。
年齢別に白内障を発症する割合を、以下にまとめました。
【白内障を発症する年齢とその割合】
年齢 | 割合 |
---|---|
50代 | およそ40~50% |
60代 | およそ70~80% |
70代 | およそ80~90% |
80代 | ほぼ100% |
上記から、年齢を重ねるごとに、白内障に罹患する可能性が高まることがわかります。
ただし、白内障は中高年の方だけの病気であるとは言い切れません。
紫外線や喫煙、アトピー性皮膚炎の合併症など、さまざまな要因によって、若い方でも発症する可能性があります。
これは、“若年性白内障”とよばれ、進行のスピードが速いのが特徴です。
「若いから大丈夫」と油断せず、目の見え方に違和感を覚えたときには、眼科にかかることが大切です。
白内障のセルフチェックリスト
「もしかしたら白内障かもしれない……」と疑いをもったら、まずはセルフチェックを実施してみましょう。
以下の項目に当てはまるものがあるかどうかを、確認してみてください。
【白内障のチェック項目】
- 左右の目で見え方が違う
- ものが二重、もしくは三重に見える
- 視界がかすんでいる
- 近くがよく見える
- 老眼鏡をかけても見えにくさを感じる
- 光が過敏にまぶしく感じる
- メガネやコンタクトを作成してから3年以内に度数が合わなくなる
- 距離感がわからずにぶつかったり転んだりする
- 50歳以上である
- 糖尿病を患っている
- 長い期間ステロイド剤を使用している
当てはまる項目が多いほど、白内障を発症している可能性が高いと考えられます。
また、見えにくいというのは、多くの方にとってストレスのもととなりますよね。
ストレスを感じることなく、いつまでも快適に“見える”日々を送るためにも、早期に治療を受けて、白内障の進行を緩やかにしたいところです。
白内障の治療方法
白内障の治療方法には、“点眼治療”と“手術”の2種類があります。
点眼治療は、生活に支障が出ない程度の、視界のかすみや 軽度の視力低下といった初期の白内障の症状が見られた場合に施されます。
完治を目指すというよりも、進行を緩やかする目的で実施されることがほとんどです。
というのも、一度濁ってしまった水晶体を、点眼薬だけで透明に戻すことは不可能だからです。
白内障を根本的に治したいのであれば、手術を受けるよりほかありません。
白内障の手術では、濁ってしまった水晶体を除去し、人工のレンズに差し替えるため、完治が見込めます。
なお、水晶体の代わりに挿入するレンズには、“単焦点眼内レンズ”と“多焦点眼内レンズ”があります。
これらの違いは、ピントを合わせられる焦点の数です。
単焦点眼内レンズでは、近方、もしくは遠方のどちらか1点に、多焦点眼内レンズでは、近方と中間、遠方のうち、2点、または3点にピントを合わせることができます。
最近では、白内障手術後の「より良い見え方の追求」を目的として眼内レンズの開発が進み、従来の近方・中間・遠方に加え、「近中」「遠中」の計5か所にピントを合わせることが可能な多焦点眼内レンズも登場しています。
つまり、単焦点眼内レンズは焦点が1つであり、多焦点眼内レンズは焦点が2つ以上であるということです。
白内障の手術を受ける際は、ご自身のライフスタイルに合わせて眼内レンズを選びましょう。
白内障の手術にかかる費用の目安
白内障を改善できる可能性のある手術ですが、どの程度の費用がかかるのでしょうか。
白内障の手術にかかる費用は、挿入する眼内レンズによって異なります。
ここからは、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの、それぞれのケースを紹介していきます。
単焦点眼内レンズ手術
単焦点眼内レンズを挿入する白内障の手術の場合は、保険が適用されます。
自己負担割合ごとの費用の目安は、以下の通りです。
単焦点眼内レンズを挿入する白内障の手術にかかる費用の目安(片目の場合)
自己負担割合 | 片目の手術費用 |
---|---|
1割負担 | 約1万5,000円~ |
2割負担 | 約3万円~ |
3割負担 | 約6万円~ |
単焦点眼内レンズを挿入するのであれば、比較的費用を抑えて、手術を受けることができます。
手術費用の支払いにゆとりをもちたい方はもちろん、頻繁に細かい作業をする方や、色鮮やかな見え方を好む方にも向いています。
関連診療項目:多焦点眼内レンズと単焦点眼内レンズの違い
多焦点眼内レンズ手術
多焦点眼内レンズに差し替える場合、白内障の手術の費用は、片目で40万~160 万円程度かかることがほとんどです。
多焦点眼内レンズを用いる手術には、保険が適用されないケースと、保険診療と自由診療を併用できるケースがあります。
保険が適用されない自由診療の場合、手術の費用は、片目で90 万~160 万円程度かかるのが一般的です。
一方で、保険診療と自由診療を併用する場合は、片目40万円の眼内レンズ代に、保険診療の手術費用がかかります。
単焦点眼内レンズよりも費用はかさむものの、メガネやコンタクトレンズをつけずに毎日を送ることができるのは、うれしいものです。
関連診療項目:多焦点眼内レンズ手術について
白内障の予防方法
今日から取り組める白内障の予防方法には、以下の3つが挙げられます。
- 紫外線対策を徹底する
- 禁煙する
- 抗酸化作用のある食べ物をとる
白内障は加齢とともにかかるリスクが高まる病気ですので、発症を食い止めるのは難しいかもしれません。
しかし、こうした予防を習慣化すれば、きっと白内障の発症や進行を遅らせることができるはずです。
それでは、一つずつみていきましょう。
紫外線対策を徹底する
まず、日頃から、紫外線の浴びすぎには注意したいところです。
水晶体を構成するたんぱく質の変性は、紫外線によるダメージが原因で起こると考えられています。
ダメージが蓄積されていくにつれて、だんだんと白内障を発症するリスクが高まります。
さらに、紫外線は、瞼裂斑(けんれつはん)や翼状片(よくじょうへん)といった目の病気を引き起こすともいわれているので、いずれにせよ対策したいものです。
そのため、外出するときには、できるだけ紫外線が目に入らないよう、サングラスを着用したり、日傘をさしたりするとよいでしょう。
晴れている日だけではなく、曇りや雨の日でも紫外線は降り注いでいますので、天気に関係なく対策するのがおすすめです。
禁煙する
白内障の発症や進行を遅らせたいのであれば、禁煙も欠かせません。
たばこに含まれるニコチンには、血の巡りを悪化させる作用があります。
この影響により、必要な栄養を届けられなくなると、目の老化が早まって白内障を発症するリスクが高まるわけです。
それだけではなく、たばこの煙に含まれる成分は、身体のなかのビタミンAやビタミンCを破壊するともいわれています。
特に、ビタミンCの減少は、白内障の引き金となると考えられています。
ビタミンCがもつ抗酸化作用には、水晶体の濁りを防ぐはたらきがあるため、減少することで白内障を発症するリスクが高まるわけです。
必要以上に目の老化を進めさせず、大切な栄養素を保っておくためにも、たばこはできるだけ控えましょう。
抗酸化作用のある食べ物をとる
抗酸化作用のある食べ物を摂取することで、白内障の予防が期待できます。
そもそも抗酸化作用とは、体内で発生した活性酸素を除去し、身体で起こる酸化のダメージを防ぐはたらきのことです。
活性酸素は、身体に取り込まれた酸素の一部が活性化したもので、微量なら身体にとって有用な役割を果たしてくれます。
しかし、活性酸素が増えすぎると、老化を進めたり細胞を傷つけたりと、さまざまな悪影響を及ぼすおそれがあります。
こうした悪影響を防ぐために、抗酸化作用のある食べ物を摂取して、活性酸素からの攻撃を防ぐことが大切なのです。
具体的な食べ物の例としては、以下のようなものが挙げられます。
【抗酸化作用が含まれる食べ物】
- ブロッコリー
- ほうれん草
- かぼちゃ
- とうもろこし
- レモン
- いちご
このほかにも、抗酸化作用のある食べ物はいくつも存在します。
毎日の食事で摂取するのが難しいのであれば、サプリメントで補ってみてください。
まとめ
今回は、白内障のセルフチェックリストを、予防策とともにお伝えしました。
白内障を早期に発見するためにも、セルフチェックは欠かせません。
“夜間光が滲んで見える”“視界がかすんでいる”など、一つでも当てはまる項目があったら、眼科を受診してください。
また、白内障を予防するには、日々の過ごし方にも気をつけましょう。
紫外線対策や、抗酸化作用のある食べ物の摂取は、白内障の予防が期待できます。
先進会眼科は、白内障治療をはじめとする、視力回復治療の専門クリニックです。
当院では、目への負担を減らしながら水晶体を取り出せる、“レーザー白内障手術”も実施しています。
白内障の改善を目指すなら、当院にお任せください。
日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357