夕方になると発生する“夕方老眼”とは?
「朝までは鮮明に見えていたスマートフォンや本の文字が、夕方になるとぼやける…」という経験はありませんか?一般的に老眼の症状を訴え始める40代よりも若い世代の方で、このような症状が見られる場合は「夕方老眼」の可能性があります。
夕方老眼とは、目を酷使することで、夕方や夜間に目がかすんだり、ものが見えにくくなったりと、一時的に老眼になったような症状が出る状態を指します。目の疲労が蓄積したことが原因であるため、ブルーライトを発する製品の使用を極力避ける、目の乾燥を防ぐことで対策できます。
この本記事では、夕方老眼の原因や対処法を詳しくご紹介します。夕方になるとなぜ視界がぼやけるのか、原因や対処法がわからずに不安を抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
夕方老眼とは?
夕方老眼とは、夕方になると目がかすんだり、ものが見えにくくなったりする症状を指します。夕方や夜間など、目を酷使したあとに一時的に老眼になったような症状が見られることが特徴です。たとえば、朝は問題なく見えていた新聞やスマートフォンの文字が夕方になると読みにくくなる、目がしょぼしょぼするといった症状が挙げられます。
なお、目の不調に伴い、頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。最近では、20~30代の方でも夕方老眼を訴えはじめているといわれていますので、年齢に関係なく注意が必要です。
夕方老眼の原因
夕方老眼の原因は、目の疲労の蓄積です。
目はピントを調整するために、目の中の「毛様体筋」という筋肉を常時緊張させています。緊張状態が続くと毛様体筋が疲労して動きが鈍くなり、ピントを調整する機能が低下することで、視界がぼやけて見えるようになるのです。特に、スマートフォンやパソコンなどの電子機器を長時間使用すると、近くにピントが合ったまま毛様体筋が凝り固まってしまいます。
このように、手元にあるものを長時間見つづけると毛様体筋が固まり、ピントを調整する機能が落ちることで視力が下がったように感じます。
スマホ老眼にも注意
夕方老眼と仕組みや症状が似ているのが、「スマホ老眼」です。スマホ老眼は、日中にスマートフォンを使用しつづけた状態で顔を上げると、視界がぼやけて見えるという症状を指します。
年齢に関係なく、スマートフォンやパソコンなど、手元にある電子機器を長時間集中して見つづければ、20代や30代でも発症するのが特徴です。
夕方老眼やスマホ老眼と一般的な老眼の違い
夕方老眼やスマホ老眼と一般的な老眼の違いは、原因と症状の持続時間です。
老眼は、年齢を重ねるにつれて、目の中にある「水晶体」というレンズと「毛様体筋」という筋肉のはたらきが衰えることが原因で発症します。遠くから近くへ焦点を移す際は、毛様体筋が水晶体を引っ張ったり、緩めたりして水晶体の厚みを変えることでピントを調節しています。
しかし、水晶体の弾力や毛様体筋のはたらきが衰えることに伴い、毛様体筋が引っ張っても厚みが変わらなくなるため、視界がぼやけて見えるのです。原因が加齢であることから、症状は一日中続きます。
一方で夕方老眼やスマホ老眼は、夕方や夜間など目を酷使したあとに毛様体筋が常に引っ張られ固まったことで、一時的に老眼になったような症状が見られるのが特徴です。しばらく時間を置いたり、一晩寝たりして目を休めれば、症状が回復していることもあります。
このように、夕方老眼やスマホ老眼と一般的な老眼は、症状こそ似ているものの、原因や症状の継続時間に差が出るのです。
目に疲れを残さないようにするためのポイント
目に疲れを残さないためのポイントは、以下の3点です。
・ブルーライトを発する製品の使用を極力避ける
・目の乾燥を防ぐ
・目を温める
夕方老眼やスマホ老眼の原因となる目の疲れは、頭痛や肩こり、全身の疲労感にも影響します。日頃のちょっとした行動で、次の日に目の疲れを持ち込まないように工夫しましょう。
ここからは、前述した3つのポイントについて詳しく紹介します。
ブルーライトを発する製品の使用を極力避ける
目を疲れさせる要因の一つに、スマートフォンやパソコンなどの電子機器から発するブルーライトが挙げられます。ブルーライトから発する光は、散乱することで目の中に移る像をぼかす傾向にあります。そのため、ピントを合わせるために通常より目に負荷がかかり、疲労を招いてしまうというわけです。
ブルーライトを軽減するメガネは販売されているものの、メルボルン大学のダウニー氏らの研究によると、目の負担を軽減する効果は短期的には期待できないことがわかっています。
※研究結果の詳細は、2023年8月18日より「Cochrane Database of Systematic Reviews」に掲載されています。
とはいえ、近年ではブルーライトを発するデジタルディスプレイの明るさは、ご自身で調整できるようになってきていますので、設定を確認してみましょう。
またスマホ老眼を防ぐために、電子機器を使用するときは30㎝以上、画面から目を離すことが文部科学省により推奨されています。こまめに休憩を入れて長い時間電子機器を使用することを避ける、画面から目を離すなどして、極力ブルーライトを避けるように心がけましょう。
目の乾燥を防ぐ
目が疲れる原因の一つに、目の乾燥が挙げられます。目が乾燥すると、目の中に流れる涙の量が減り、直接外からの刺激を受けるため、目に疲労を与えることにつながるのです。
目の乾燥は、以下にまとめた行動で防ぐことが期待できます。
目の乾燥を防ぐためにできること
- 電子機器の使用中は意識的にまばたきする
- コンタクトレンズを長時間着用しない
- 症状に合った目薬を正しく使う
まばたきには、目の表面に涙が行きわたるように促すはたらきがあります。特にスマートフォンやパソコンを集中して見つづけているとまばたきの回数が減り、目の表面から涙が蒸発するため、意識してまばたきを行うようにしましょう。
また、コンタクトレンズを長時間つけたままでいると、目の乾燥だけでなく酵素不足や感染症などを引き起こすリスクが発生します。目薬をさすことで電子機器の使用時や、コンタクトレンズの着用時の乾燥を防ぐことができますが、使い過ぎには要注意です。目薬を頻繁にさすと、涙の栄養分を洗い流してしまうことがありますので、用法・容量をご確認のうえ適切に使用してください。
ご紹介した対処法をもとに、常時目に潤いが行きわたるように対策を講じてみましょう。
目を温める
目の疲労や乾燥は、目を温めることで改善できます。目や目の周辺にある血管を広げたり、凝った筋肉を和らげたりすることで、疲労物質が血管を通って肝臓や腎臓などに流れ、体外に排出することを促します。
また「目を上下左右に動かす」、「後頭部をマッサージする」ことも効果的です。首と頭の境目には、「後頭下筋群」という小さな筋肉が集まっています。後頭下筋群は、ものがよく見えるように目やまぶた、頭部の微妙な傾きを支えつつコントロールする筋肉で、眼精疲労に影響する自律神経とも密接なつながりがあります。
このように、ストレッチやマッサージを取り入れ、目や目の周りにある筋肉と血管をほぐして目を温めることで疲労を軽減しましょう。
まとめ
今回は、夕方老眼について概要や原因をお伝えしました。
夕方老眼の原因となる目の疲労を軽減する対策としては、ブルーライトを発する製品の使用を極力避ける、目の乾燥を防ぐ、目を温めることが挙げられます。毎日のちょっとした工夫で、目の疲れを軽減し、夕方老眼を対策しましょう。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357