老眼におすすめの遠近両用コンタクトレンズとは?
遠近両用コンタクトレンズは、近くも遠くも自然に見られるのが特徴で、老眼の症状をお持ちの方に適したコンタクトレンズです。
この記事でわかること
- 老眼の発症メカニズム
- 老眼になった際の対処方法
- 遠近両用コンタクトレンズのメリットとデメリット
- 遠近両用コンタクトレンズの選び方
- 老眼の進行を遅らせる方法
加齢とともに近くのものが見えにくくなる老眼は、誰もが直面する悩みの種ですよね。
そんなときは、遠近両用コンタクトレンズを使用すれば、視界を広げられるため“見えない”というストレスから解放されるかもしれません。
そこでこの記事では、老眼の対処におすすめの遠近両用コンタクトレンズを紹介します。
クリアな視界で毎日を過ごしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
老眼の発症メカニズム
老眼は、目の中のレンズである“水晶体”の衰えによって起こります。
水晶体は、近くを見るときは厚くなり、遠くを見るときは薄くなる、といったように厚さを変化させて、見たもののピントを合わせる器官です。
40歳頃から徐々に硬くなり始め、60歳頃まで進行しつづけます。
硬化が進行すると、近くを見ても水晶体が厚くならない状態になり、ピントが合わなくなってしまうのです。
この状態を“老眼”とよびます。
老眼になった際の対処方法
老眼の症状が現れた場合の対処方法は、以下の通りです。
- 手術
- 老眼鏡
- 遠近両用コンタクトレンズ
それでは、一つずつ詳しく紹介していきます。
それぞれの特徴から、ご自身に合った対処方法を選んでみてください。
手術
老眼の手術をする場合は、目の中に直接レンズを埋入して視力を矯正する、“ICL(眼内コンタクトレンズ)”という方法があります。
ただ、ICLは、近視や遠視などの屈折異常を矯正する手術であるため、水晶体そのものに症状が出る老眼に、初めから対応していたわけではありません。
そこで、白内障の手術で用いられる“多焦点眼内レンズ”の構造をヒントに、“老眼用ICL”が開発されたことで、現在では老眼の手術もできるようになりました。
老眼用ICLは、これまで対応できなかった老眼のみの手術を可能にし、ご自身の水晶体を残したまま、より裸眼に近い見え方が叶えられる、画期的な方法なのです。
なお、目の角膜にレーザーを当てて屈折力を調整する“レーシック”では、老眼を治療できません。
以前のICLがそうであったように、レーシックも近視や遠視、乱視を対象とした矯正方法になりますので、水晶体そのものが衰えている老眼には対応できないためです。
したがって、老眼のみの手術をお考えの場合には、老眼用ICLが適切な方法です。
また、老眼と白内障を併発しており、両方の手術を同時に行いたい方は、老眼用ICLではなく、多焦点眼内レンズの手術のみを受けられます。
老眼鏡
老眼の悩みを解消するための、お手軽でポピュラーなアイテムが老眼鏡です。
近くのものを確実に見られるのがメリットであり、必要に応じてメガネを外しておけるので、目の負担も最小限に抑えられます。
また、すでに近視の症状をお持ちの方には、遠近両用メガネがおすすめです。
一枚のレンズに、近くから遠くまでカバーできる度数が入っているので、視線を上げ下げするだけでほとんどの範囲が見えるようになります。
遠近両用コンタクトレンズ
遠近両用コンタクトレンズの使用も、老眼への対処方法の一つです。
コンタクトレンズにはハードレンズとソフトレンズの2種類があり、それぞれ度数の入り方や、見え方が異なります。
ハードレンズには、レンズの外側に近くを見るときの度数と、中心部分に遠くを見るときの度数が入っています。
視線が下を向くと相対的に上にいくレンズの動きを利用した、度数の入れ方にすることで、近くも遠くも見えるようになるのです。
ソフトレンズは、近くを見る度数と遠くを見る度数が同心円状に入っており、見たいものを脳が判断してピントを合わせます。
例として、ご自身の目の前に金網フェンスがある場合を想定してみましょう。
手前のフェンスに注目しているときは奥が、フェンスの奥にある対象物に注目しているときは手前がぼやける、といった見え方になるはずです。
このように、見たい箇所を脳が判別して、ピントが合う仕組みになっています。
遠近両用コンタクトレンズ購入する際、ハードとソフトのどちらのタイプがよいか、眼科でご相談のうえお選びください。
遠近両用コンタクトレンズのメリットとデメリット
メリット | デメリット |
メガネが曇るといった煩わしさがない常に携帯しなくてよい老眼だと周りから気づかれにくい | 老眼鏡と比べ、近くがはっきりと見えない可能性がある |
遠近両用コンタクトレンズの最大のメリットは、メガネをかけずに広い視界で、近くも遠くも見えるようになることです。
老眼鏡や遠近両用メガネを使用すると、気温の寒暖差でメガネが曇ったり、常に携帯しなければならなかったりという、手間が発生してしまいます。
しかし、遠近両用コンタクトレンズを使用すれば、こういった日常の些細なストレスから解放されるでしょう。
また、老眼だと周りから気づかれにくいのもうれしいポイントです。
しかしながら、老眼鏡ほど近くがはっきりと見えない点が、デメリットとして挙げられます。
レンズに入れられる度数に限界があるため、説明書などの極端に小さい文字は見えない可能性があるのです。
近くがよく見えるように度数を合わせると、逆に遠くがぼやけてしまう場合もあるので、その点もあらかじめ認識しておきたいところです。
遠近両用コンタクトレンズの選び方
遠近両用コンタクトレンズを選ぶときのポイントは、レンズの水分量や通気性、つけ心地の良さの3つです。
これらは目の乾燥や疲労に直結する要素ですので、きちんと確認しておきましょう。
また、コンタクトレンズには、度数やレンズカーブ、レンズサイズといった規格があり、それぞれメーカーによって異なります。
そのため、購入する前に眼科を受診し、レンズのフィッティングをしたうえで、自分に合ったコンタクトレンズを見つける必要があります。
老眼の進行を遅らせる方法
老眼は、加齢に伴う生理現象の一つであるため、残念ながら発症は避けられません。
ですが、少しでも進行を遅らせるために、なるべく目に負担をかけない環境を作ることは大切です。
たとえば、スマートフォンやパソコンをよく使用される方は、ディスプレイを30cm以上離し、1時間に1回は休憩を取るようにしましょう。
また、ピント調節を行う筋肉である“毛様体筋”を鍛えることでも、老眼の進行を抑えられます。
長時間にわたり近くを見るときは、10分に1回ほどのペースで視線を遠くへ移し、ピントが合ったらもとの視線に戻す、という動作を行ってください。
ピントを意識的に動かせば、毛様体筋の血液の循環が良くなり、疲れが溜まりにくくなるといわれています。
日常生活のなかで少し意識するだけで、老眼の進行を抑える効果を得られますので、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。
老眼は、遠近両用コンタクトレンズで対処しましょう
今回は、老眼の対処におすすめの遠近両用コンタクトレンズについてご紹介しました。
遠近両用コンタクトレンズを使用すれば、老眼鏡のように頻繁にかけ外しをする必要がなく、視界を狭めずに近くも遠くも見えるようになります。
購入するときは、レンズの水分量や通気性、つけ心地の良さをポイントに自分にフィットしたコンタクトレンズを選びましょう。
先進会眼科では、多焦点眼内レンズを導入しており、老眼と白内障を同時に手術できます。
毎日のコンタクトレンズ着用の手間を省きたい方は、手術による老眼の改善もご検討ください。
日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357