老眼鏡の適切な度数とは?年齢別に詳しく解説
老眼鏡の適切な度数の目安は、年齢によって異なります。
40~45歳で+1.0D、46~50歳で+1.5D、51~55歳で+2.0D、56~60歳で+2.5D、61歳以上で+3.0Dです。
【この記事でわかること】
- 老眼のメカニズムと諸症状
- 老眼は何歳から始まり何歳まで進行する?
- 老眼鏡の度数の目安
- 老眼鏡以外の選択肢
- 老眼の進行を遅らせる方法
加齢によって引き起こされる老眼は、老眼鏡などに よって適切に矯正することが大切です。
そのためには、自身に合った老眼鏡の度数を知る必要があります。
そこで本記事では、老眼鏡の度数の目安を年齢別に分けて、詳しく解説します。
手元の見えにくさを解消したい方や、お使いの老眼鏡が合わないと感じている方は、ぜひこの記事をご参考になさってください。
老眼のメカニズムと諸症状
老眼は、目のピント調節機能が加齢によって衰えることで起こります。
目の中には、“水晶体”とよばれる凸レンズのような組織と、その上下にある“毛様体筋”という筋肉があります。
この毛様体筋が収縮を繰り返すことによって、水晶体は厚みを変えることができ、オートフォーカスのように自在にピントを合わせられるのです。
しかし、加齢によってこの水晶体の弾力が失われて硬くなると、毛様体筋が収縮しても厚みを変えることができなくなり、調節機能がはたらかなくなります。
その結果、近くを見たときにピントを合わせられなくなり、ぼやけて見えてしまうようになるのです。
老眼を放置すると、頭痛や肩こり、食欲不振といった不快症状 が現れ、体調に支障をきたす場合があります。
これは、見えづらさによる眼精疲労が積み重なるためです。
人によっては、体の不調が「眼精疲労によるものだった」ということは珍しくありません。
老眼になった際は、軽く考えずに適切に矯正していくことが非常に大切なのです。
老眼は何歳から始まり何歳まで進行する?
老眼は、一般的に40代から始まり、65歳ごろまで進行します。
加齢による生理現象のため、誰もが自覚する症状であり、早い方では30代後半から、遅い方でも50代までに症状が出始めます。
「遠くのテレビは見えていても、手元の新聞や本は見えにくい……」と感じている場合は、老眼が始まったサインといえるでしょう。
老眼鏡の度数の目安
老眼は、自覚し始めたら老眼鏡で適切に矯正することが大切です。
ここからは、老眼鏡の度数の目安を年齢別に解説していきます。
- 40~45歳
- 46~50歳
- 51~55歳
- 56~60歳
- 61歳以上
なお、老眼によるものの見え方は個人差が大きいため、あくまで目安としてください。
自身の見え方に合った老眼鏡の度数を正確に知りたい場合は、医療機関に足を運んで正しく測定してもらいましょう。
40~45歳
年齢が40~45歳の方の度数の目安は、以下の通りです。
【40~45歳の度数の目安】
見たいもの | 距離 | 度数の目安 |
---|---|---|
机の上の新聞 | 70cm | – |
ノートパソコン | 50cm | – |
本やメニュー | 40cm | – |
スマートフォン | 30cm | +1.0D |
ネイルや手芸 | 25cm | +1.5D |
模型製作など | 20cm | +2.0D |
近くのもがなんとなく見えにくいと感じる初期の老眼であれば、+1.0Dの老眼鏡を基準にするとよいでしょう。
46~50歳
年齢が46~50歳の方の度数の目安は、以下の通りです。
【46~50歳の度数の目安】
見たいもの | 距離 | 度数の目安 |
---|---|---|
机の上の新聞 | 70cm | – |
ノートパソコン | 50cm | – |
本やメニュー | 40cm | +1.0D |
スマートフォン | 30cm | +1.5D |
ネイルや手芸 | 25cm | +2.0D |
模型製作など | 20cm | +3.0D |
46~50歳の方は、+1.5Dの老眼鏡を基準として、見たいものの距離に合わせて老眼鏡を選んでみましょう。
51~55歳
年齢が51~55歳の方の度数の目安は、以下の通りです。
【51~55歳の度数の目安】
見たいもの | 距離 | 度数の目安 |
---|---|---|
机の上の新聞 | 70cm | – |
ノートパソコン | 50cm | +1.0D |
本やメニュー | 40cm | +1.5D |
スマートフォン | 30cm | +2.0D |
ネイルや手芸 | 25cm | +2.5D |
模型製作など | 20cm | +4.0D |
50~55歳の方は、+2.0Dが基準の度数です。
どの距離からもクリアに見たい場合、手元のほぼすべての作業で老眼鏡が必要になります。
56~60歳
年齢が56~60歳の方の度数の目安は、以下の通りです。
【56~60歳の度数の目安】
見たいもの | 距離 | 度数の目安 |
---|---|---|
机の上の新聞 | 70cm | +1.0D |
ノートパソコン | 50cm | +1.5D |
本やメニュー | 40cm | +2.0D |
スマートフォン | 30cm | +2.5D |
ネイルや手芸 | 25cm | +3.0D |
模型製作など | 20cm | オーダーメイド |
基準の度数は+2.5Dですが、模型製作などの手元の細かい作業を必要とする方の場合は、特別注文によって、ご自身に合った度数の老眼鏡を作る必要があります。
61歳以上
年齢が61歳以上の方の度数の目安は、以下の通りです。
【61歳以上の度数の目安】
見たいもの | 距離 | 度数の目安 |
机の上の新聞 | 70cm | +1.5D |
ノートパソコン | 50cm | +2.0D |
本やメニュー | 40cm | +2.5D |
スマートフォン | 30cm | +3.0D |
ネイルや手芸 | 25cm | +3.5D |
模型製作など | 20cm | オーダーメイド |
老眼が進行すると、シーンに合わせて度数を変える回数が多くなるため、度数の異なる老眼鏡を何本も所持しなければならない、ということがよくあります。
したがって、老眼鏡によるかけ直しの手間に、煩わしさを感じる方が多いのも実情です。
老眼鏡以外の選択肢
老眼鏡のかけ外しやかけ直しの手間を解決するのが、遠近両用メガネやコンタクトレンズによる矯正か、手術による根本的な治療です。
遠近両用メガネであれば、レンズの上部分と下部分にそれぞれ見え方の違う度数が入っているため、遠くも近くも両方見ることができます。
老眼鏡は、手元のものを見るのに適した度数に設定されているため、遠くを見る際はぼやけてしまいますが、遠近両用メガネを使えばわざわざ外す必要がありません。
コンタクトレンズは、1枚のレンズの中に遠距離用と近距離用の度数が配置されているため、裸眼のような広い視野を確保しながら自然にものを見ることができます。
老眼鏡のように、かけ外しや持ち歩きの必要もないので、ストレスフリーであるといえます。
ただし、使用方法を間違えたり、適切なケアを怠ったりした場合は、目のトラブルを引き起こすことがあるので注意しましょう。
近年では、手術によって老眼を根本的に治すことが可能になりました。
加齢により機能が低下した水晶体の代わりに、“多焦点眼内レンズ”を挿入すると、遠くも近くもストレスなく見ることができます。
ただし、ハロー・グレアといった夜間の光が一時的に見えにくくなる症状が出ることもあるので、理解したうえで選択されるとよいでしょう。
老眼の進行を遅らせる方法
老眼は、老化に伴う自然な現象ですが、以下の対策をとることによって進行を遅らせることができます。
- 目のトレーニングやマッサージをする
- 目の健康に良い食生活を心がける
- 目に入る紫外線量に気をつける
目の周りの筋肉を鍛えることは、老眼の進行を遅らせるのに非常に有効です。
遠くのものや近くのものを交互に見る、目を軽く閉じてマッサージするといった、簡単なエクササイズを生活のなかで取り入れてみてください。
抗酸化作用のあるビタミンAやビタミンC、ビタミンE、ルテイン、アスタキサンチンは、活性酸素を取り除き、目の疲れを緩和する効果があるのでおすすめです。
緑黄色野菜や鮭、えび、かにといった食材を積極的に摂取することを心がけましょう。
また、水晶体の弾力が失われて老眼が発症してしまうのは、紫外線による活性酸素の発生も一つの要因といわれています。
サングラスや帽子を活用して、普段からできるだけ目に入る紫外線を防ぐのが効果的です。
まとめ
本記事では、老眼鏡の適切な度数の目安を年齢別に解説しました。
老眼は、老化に伴う生理現象であり、年齢とともに度数は変化します。
老眼鏡の度数の目安は、40~45歳で+1.0D、46~50歳で+1.5D、51~55歳で+2.0D、56~60歳で+2.5D、61歳以上で+3.0Dです。
ただし、度数には個人差があるため、あくまで目安であることを覚えておきましょう。
老眼を矯正する場合は、遠近両用メガネやコンタクトレンズ、手術といった方法をとれば、かけ外しやかけ直しの煩わしさから解放されます。
先進会眼科では、老眼の矯正方法の一つである多焦点眼内レンズによる手術を行っております。
老眼でお悩みの方は、眼科治療を得意とする医師が集う当院にお気軽にご相談ください。
日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357