ICLは何年持つ?レンズの寿命や交換頻度、手術の安全性について解説
ICLは角膜を削らない視力回復手術として、国内外で注目されています。眼のなかに眼内レンズを挿入することによって近視などを矯正し、裸眼でも良好な視力が期待できます。
ICLで挿入するレンズは長期的に使用可能と考えられており、良好な結果が得られた場合は術後のメンテナンスやレンズ交換は基本的に必要ありません。術後に白内障など眼の病気になった場合は、手術によりレンズを取り外すことも可能です。
この記事では、ICLのレンズ寿命や手術の安全性について解説します。
ICLとは
乱視や遠視、近視などを矯正する手術のひとつです。術後は裸眼で良好な視力が期待でき、メガネやコンタクトレンズの煩わしさから解放されます。
これまでは視力回復手術といえばレーシックでしたが、近年はICLの知名度も上がり、症例数も増えてきました。角膜を直接削るレーシックに対し、ICLはレンズを挿入するインプラント手術です。
メリットとしてレーシックでは適応外とされている強度の近視でも治療が受けられることや、挿入したレンズを取り外すことができることなどが挙げられます。
ICL(眼内コンタクトレンズ)とは│費用・他の手術との違いなど
ICLの手術の流れ
両眼20分ほどで終わる日帰り手術で、翌日の検診は必要なものの入院の必要はありません。手術は以下のような流れです。
1.麻酔
まず、目薬で麻酔を行います。その後、角膜にレンズを挿入するための、3mmほどの小さな切開創を作ります。レンズは小さく折りたたまれた状態で挿入するため、切開創も非常に小さなもので済みます。術後、時間の経過とともに自然治癒するため、基本的には縫う必要はありません。
2.眼内レンズ挿入
角膜に入れた切開創から、小さく折りたたまれたレンズを挿入します。レンズは眼のなかに入ると本来の大きさまでゆっくりと広がり、自然に固定されます。乱視矯正を行う場合は、ここで乱視の軸を合わせます。
3.手術終了
反対側の眼も同じように行い、両眼20~30分ほどで手術は終わります。術後は1~2時間ほど休憩し、診察を受けてご帰宅となります。
手術は部分麻酔ですが、点眼麻酔に加えて笑気麻酔も行いますので、痛みに配慮して手術を行います。
ICLで使用する眼内レンズについて
ここでは眼のなかに挿入するレンズの寿命や、取り外し可能かどうかについて解説していきます。
眼内レンズの寿命
眼内レンズは、耐久性や生体適合性に優れた素材から作られています。そのため、レンズに寿命はありません。メンテナンスや交換の必要もなく、基本的には長期間入れておくことが可能です。
レンズはコラマーと呼ばれる柔軟な素材でできているため、眼のなかで破れたりずれたりすることもありません。
眼内レンズは取り外し可能
ICL手術で一度挿入したレンズは、手術により取り外すことが可能です。角膜を直接変化させるという不可逆的な手術であるレーシックに対し、レンズを取り外せば元の眼の状態に戻るICLは可逆的な手術といえます。
取り外しや交換は眼に負担がかかるため気軽に行えるわけではないですが、手術に対する安心感につながる人もいます。将来、白内障など眼の病気になった場合も、レンズを取り外すことで通常通りの治療や手術を受けることが可能です。
ICLの安全性
レーシック手術では、眼の組織である角膜を直接変化をさせることで不可逆である、というリスクがあります。もし変化させすぎてしまったとしても一度削った角膜は元に戻りません。術後に近視が少しだけ戻ることもあります。
ICL手術は角膜を削らずに、眼のなかにレンズを挿入するインプラント手術です。手術時には、レンズを挿入するための切開創が必要ですが、レンズを小さく折りたためるため3mmほどの創で済みます。術後、近視のリバウンドはないと考えられており、レンズは手術で取り外すことも可能です。
これらのことを考慮すると、レーシックと比べてICLにメリットがあると考えられることがあるでしょう。
眼内レンズの交換が必要なケース
眼内レンズは手術によって眼のなかに入れているため、コンタクトレンズのように気軽に取り外すことはできません。必要に応じて、医師と相談した上で判断します。
ここでは眼内レンズの取り外しや交換が必要となる具体的なケースを詳しく解説していきます。
視力が変化した
ICL手術後に近視などの度数や視力が大きく変化した場合は、レンズが合わなくなり良好な視力が得られなくなります。その場合は医師と相談のうえ、レンズの取り外しや交換の検討が必要です。
一般的には、ICL手術後の近視のリバウンドは少ないと報告されています。しかし、眼の状態や病気の影響、体の調子などにより術後に眼の度数や視力が変化する可能性は考えられるでしょう。
白内障など目の病気を発症した
ICL手術後に、白内障や緑内障など眼の病気を発症し、治療が必要になる場合、眼内レンズを取り外す必要があります。眼内レンズが入っている状態では、治療や手術に影響が出たり、病気の経過観察が正確に行えなかったりする可能性があるためです。
レーシックでは角膜を変化させることにより白内障や緑内障の治療に影響が出ることや、レーシックの術後ということを考慮して治療の計画をたてます。この点、レンズを取り外せば通常通りの治療が行える点はICLのメリットに一つと言えるでしょう。
ICLのリスク
ICLも手術である以上リスクがあります。検討している方は、リスクに関してもよく理解しておきましょう。
術後の感染症
まれですが、手術である以上は感染症の可能性も否定できません。術後に傷口から細菌が入ることにより、眼内に炎症が起こることがあります。信頼できる医療機関で手術を受けることに加え、術後は汚い手で眼を触らない、無理をしないなどの心がけも大切です。
ハロー・グレア
術後、ハロー・グレアと呼ばれる夜間の光のにじみやまぶしさを自覚することがあります。しかし、自覚したとしてもあまり気にならないという方もおられます。長距離トラックなど夜間に長時間運転をするという場合以外は、そこまで気にしすぎる必要はないかもしれません。もし、しばらく経ってもハロー・グレアが気になる場合は医師に相談しましょう。
レンズの度数や大きさが合わない
挿入したレンズの度数や大きさが合わないことがあります。この場合、医師と相談しながら手術によるレンズの取り外しや交換を検討します。
手術に一般的にみられる合併症や副作用
ICL手術の安全情報として、以下の可能性についても報告されています。
ICL手術後に生じる可能性のある合併症や副作用
結膜炎、急性角膜浮腫、持続性角膜浮腫、眼内炎、前房出血、前房蓄膿、レンズ偏位、黄斑浮腫、瞳孔異常、瞳孔ブロック緑内障、重篤な眼炎症、虹彩炎、硝子体脱出、角膜移植
また、稀ですが、炎症や角膜内皮減少、高眼圧、白内障などの合併症が起こった場合は追加の手術処置が必要になることがあります。
眼はデリケートな器官であり、感染症などのリスクもゼロではありませんので、必ず医師の説明に納得した上で手術を受けましょう。
目に不具合がある場合は医師に相談する
ICL手術後、眼に不具合や気になる症状がある場合は、小さなことでもすぐ医師に相談しましょう。放っておくと重大なトラブルにつながる可能性もあります。「思っていた見え方と違った」という場合も、早めに相談することでスムーズに今後の方針を検討することができるでしょう。
ICL治療は、手術をしたら終わりではありません。術後の定期検診はもちろん、普段から眼の不具合や変化に気付けるように意識しておきましょう。術後のアフターケアがしっかりしているかどうかは、医療機関を選ぶ際にも重要なポイントです。
まとめ
ICL手術で眼のなかに挿入するレンズは、耐久性や安全性に優れた素材から作られています。一度挿入すれば交換は必要なく、長期的に使用できると考えられています。術後に思っていた見え方と違ったり、白内障など眼の病気を発症したりといった場合はレンズを取り外すことが可能です。
ICLは角膜を削らずレンズ交換や取り出しが可能な点から患者様に配慮された手術といえますが、信頼できる医療機関で治療を受けることに加え、術前に納得できるまで医師とスタッフとコミュニケーションをする、術後の定期検診をしっかり受けることでよりリスクを下げられます。
先進会眼科では、術後3ヶ月間の定期検診やアフターケアも手術費用に含まれております。定期検診以外の相談や検診も3ヶ月間は範囲内で対応いたしますので、術後に不具合や気になることがあればいつでもご相談ください。
ICLは自費診療です。相場に関しては両目で45.1万円〜66万円、先進会眼科では45.1万円〜52.8万円で行っております。詳しくは下記のページもご参照くださいませ。
医師が追加矯正を必要と判断した場合はICLレンズの術後の取り外し、交換も追加料金なしで対応しております。ICL手術に興味がある方は、ぜひ一度先進会眼科にご相談ください。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357