白内障は市販の目薬で治る?治療法と予防する方法を解説
白内障は、市販の目薬では治りません。
症状が現れたらすぐにクリニックへ行き、適切な治療を受けましょう。
この記事でわかること
- 白内障とは
- 白内障の原因と発症のメカニズム
- 白内障は市販の目薬で治る?
- 白内障の治療法
- 白内障の治療に用いられる目薬
- 目薬の使用に際してのポイント
- 白内障を予防する方法
“視界が曇って見える”“明るい場所に行くと妙に眩しく感じる”などの症状は、白内障のサインかもしれません。
日常的に目の違和感があるとストレスが溜まるため、一刻も早く解消したいですよね。
そこで本記事では、白内障の正しい治療法と、予防する方法を解説します。
「市販の目薬では治らないの?」「手術するのはちょっと怖いな……」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
白内障とは
白内障とは、目の中にある水晶体が混濁する病気のことです。
“ものが霞んで見える”“明るさに敏感になる”などの症状が現れた際には、白内障を疑いましょう。
くわえて、メガネやコンタクトレンズの度数を調整しても見え方が変わらず、視界が霞むようであれば、白内障の可能性が高いといえます。
白内障の原因と発症のメカニズム
白内障は主に、加齢によって発症する病気です。
加齢に伴って、水晶体の内部にあるたんぱく質が変性することで発症します。
早ければ40歳頃から、80歳を超えるとほとんどの方が発症する病気で、放置さえしなければ基本的に失明するようなものではありません。
また以下の原因によって、若い方でも白内障を発症する場合があります。
加齢以外の白内障の原因
- 糖尿病
- 紫外線・放射線
- 喫煙
- ステロイド薬
- 遺伝
いずれも、水晶体内部のたんぱく質を変性させる可能性があるもので、年齢に関係なく注意が必要です。
白内障は市販の目薬で治る?
白内障を、市販の目薬で治すことは不可能です。
さらにいえば、点眼を含めた薬物療法で根本的に治療することはできません。
なぜなら一度変性してしまったたんぱく質は、二度ともとには戻らないからです。
目玉焼きが生卵に戻らないことをイメージしていただくと、わかりやすいかもしれません。
ただし、目薬で白内障の進行を遅らせることは可能です。
詳細は、次の項で解説します。
白内障の治療法
白内障の治療には、これから紹介する2つの方法が有効です。
進行度によって治療法が異なるため、医師と相談し適切な治療を受けてください。
手術
ある程度症状が進行した白内障を治療するには、手術が必要です。
施術の内容は、白く濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の眼内レンズを埋入するというものです。
“手術”と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、所要時間は数分から10分程度で入院も不要なため、患者様にとって負担の少ない治療法といえます。
また、目に埋入するレンズには“単焦点レンズ”と“多焦点レンズ”の2種類があります。
単焦点レンズは、遠近どちらか一方に焦点を合わせるレンズです。
距離によって見え方が異なることから、メガネやコンタクトレンズとの併用が必要になります。
対して多焦点レンズは、手元から遠くの景色まで幅広くピントが合います。
年齢とともに気になりがちな老眼も同時に治るため、多くの方におすすめです。
薬物療法
薬物療法は、初期の白内障の治療に用いられます。
これは前述の通り根本的な治療ではなく、あくまでも進行を遅らせる目的で行われるものです。
日本では、白内障の予防に効果がある薬として“点眼薬(目薬)”と“内服薬”が認可されており、クリニックで受け取ることができます。
ただし内服薬は古くに認可された薬剤で、現在の基準で考えると白内障の進行を抑える効果が低いといわれています。
そのため、点眼薬(目薬)による治療が一般的です。
白内障の治療に用いられる目薬
白内障の治療に用いられる目薬は、以下の2種類です。
どちらもドラッグストアなどにある市販品ではなく、クリニックで処方されるものです。
ピレノキシン製剤
ピレノキシン製剤は、白内障が発症する一因である“キノイド物質”の成長を抑制する薬剤です。
キノイド物質は、水晶体内部のたんぱく質を変性させ、白く濁らせる作用があります。
その発生をピレノキシン製剤で抑えることにより、白内障の進行を遅らせるのです。
グルタチオン製剤
グルタチオン製剤とは、白内障の進行にともなって減っていく“グルタチオン”の量を補う抗酸化物質のことです。
グルタチオンには、水晶体を透明に保つはたらきがあります。
これを点眼することで、症状の進行を防げます。
目薬の使用に際して意識したいポイント
ここでは、目薬をさす際に意識したいポイントを3つ紹介します。
目薬の使用に際して意識したいポイント
- 目薬をさすまえにボトルをよく振る
- 下まぶたに向けて目薬をさす
- 目薬をさしたあとはしばらく目を閉じる
目薬の効果を最大化するためにも、すべて覚えておきたいところです。
ポイント①目薬をさす前に容器をよく振る
目薬をさす前に、まずは容器をよく振ってください。
なぜなら、目薬の有効成分が沈殿しており、容器全体に行きわたっていない可能性があるからです。
その状態で目薬をさしても効果が低いため、有効成分が均一になるように、あらかじめ容器を振っておきましょう。
ポイント②下まぶたに向けて目薬をさす
眼球に直接ではなく、下まぶたに向けて目薬をさすと、目の負担を軽減できます。
目の中心に直接目薬をさすと、痛みやかゆみを引き起こします。
さらにその刺激で涙が分泌され、せっかくの有効成分が流れ出てしまうかもしれません。
清潔な手で、目に負担がかからないように目薬をさすことが大切です。
もしもうまく目薬が入らない場合は、拳をほお骨にあてて軽く下に引き、それで容器の持ち手を支える“げんこつ法”がおすすめです。
ポイント③目薬をさしたあとはしばらく目を閉じる
目薬をさしたら、しばらく目を開けないようにしましょう。
有効成分が目に浸透するのには、数分かかるといわれています。
そのため、目薬をさしてから最低でも2~3分は目を閉じ、成分を全体に行きわたらせると効果的です。
白内障を予防する方法
白内障の初期段階であれば、治療用の薬物を使用せずに進行を遅らせることが可能です。
有名な対策としては、抗酸化作用がある食べものを摂取することが挙げられます。
これは、水晶体内部のたんぱく質の酸化を防ぐ効果が期待できます。
以下の表は、抗酸化作用がある物質と、それが含まれる代表的な食材の一覧です。
抗酸化作用がある物質とそれを含む代表的な食材
抗酸化作用がある物質 | 代表的な食材 |
ビタミンC | ・いちご・レモン・ブロッコリー・緑茶 |
ベータカロチン・ルテイン | ・にんじん・ほうれん草・かぼちゃ |
ゼアキサンチン | ・オレンジ・とうもろこし・柿 |
また紫外線を防ぐ対策や、禁煙することも、白内障を予防するのに有効な手段です。
続けられそうなものを見つけて、無理のない範囲で実践してみてはいかがでしょうか。
白内障は市販の目薬では治らず、完治させるには手術が必要
本記事では、白内障の治療法と、予防する方法を解説しました。
初期の白内障は、日々の工夫や専用の目薬で進行を遅らせることができます。
ただし根本的に治療するには、白く濁った水晶体を取り除き、人工のレンズを埋入する手術が必要です。
市販の目薬では対策できないかつ、白内障の進行度は自分ではわからないため、症状が現れたらクリニックで適切な治療を受けましょう。
先進会眼科では、白内障をはじめとしたさまざまな目のトラブルを解決するための、眼科医療を提供しています。
目の違和感に日々悩まされている方は、お気軽にご相談ください。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357