乱視は白内障の手術で矯正できるのか?乱視の症状とともに解説
角膜や水晶体の歪みが原因で屈折異常が起こり、乱視になると、目のぼやけ・かすみといった症状が現れます。
そんな乱視を矯正する方法の一つとしては、白内障の手術が挙げられます。
【この記事でわかること】
- 乱視とは
- 白内障はどのような病気?
- 乱視と白内障の関係
- 乱視矯正にも白内障の手術は有効なのか
- 白内障の手術で乱視が治るメカニズム
- 白内障の手術を受けても乱視が残る場合にすべきこと
年齢を重ねるたびに「なんだか乱視がひどくなった気がする」と、悩まれていませんか?
乱視を矯正する方法としては、メガネやコンタクトレンズの使用などが知られていますが、実は白内障の手術もその一つと考えられています。
そこで今回は、乱視と白内障の症状とともに、「乱視は白内障の手術で本当に矯正できるの?」という疑問を解消します。
快適に“見える”毎日を送りたい方は、ぜひご覧ください。
乱視とは
まずは、乱視の概要をおさらいしていきます。
乱視は、角膜や水晶体の歪みによって光の焦点が一か所に定まらず、見え方が変化する状態のことです。
角膜や水晶体が歪むと、目に入った光を正しく屈折できずに、ピントがズレてしまいます。
歪み方によって多少異なりますが、この影響を受けて特定の方向のみぼやける、また二重に見えるといった症状が現れるのです。
軽い乱視であれば、こうした症状が現れても目の疲れを感じる程度で済みます。
しかし、乱視が強まった状態では「どこを見てもピントが合わない」「メガネを外したら何も見えない」など、日常生活に支障をきたすことも珍しくありません。
ほかにも、目を酷使してしまうがゆえに、肩こりや頭痛に悩まされるおそれもあります。
乱視の治療方法
乱視になるといろいろな問題が生じますから、できる限り早い段階で治療を開始するのがベターです。
その治療方法としては、いくつかの種類があります。
【乱視の治療方法】
- メガネをかける
- コンタクトレンズを使用する
- 手術を受ける
視力矯正の代表的な方法として挙げられるメガネやコンタクトレンズの使用は、乱視の治療にも有効です。
症状が進行している場合は、乱視用のものを使うと、見えにくさを緩和できるでしょう。
また、レーシックや眼内レンズを挿入する手術を受けるのも一つの手です。
白内障はどのような病気?
乱視と白内障の手術との関係を深掘りする前に、白内障がどのような病気なのかも押さえておきたいところです。
白内障は、目の中にある水晶体が混濁し、視力が低下してしまう病気です。
本来、水晶体は無色透明で、光を屈折させたりピントを合わせたりと、対象物を鮮明に映し出す役割を担っています。
しかし、なんらかの原因によって、水晶体の主成分であるたんぱく質の変性が起こると、混濁してしまいます。
このような状態に陥った場合、目の中に光をうまく届けられなくなり、視界のぼやけ・かすみなどの症状がみられるわけです。
そんな白内障の主な原因は加齢で、年を取るごとに発症するリスクが高まります。
80歳を超えると、ほぼ100%白内障に罹患するというデータもあり、加齢による発症リスクの高さがうかがえるでしょう。
加齢のほかにも、紫外線の影響や糖尿病の合併症がきっかけで、白内障を発症する可能性もあります。
「まだ、白内障を発症するような年齢ではないから大丈夫」と油断せず、見え方に違和感を覚えたら、すぐに眼科を受診してくださいね。
参照元:日本白内障研究会「白内障になる平均年齢はどれくらいなのかについて解説」
乱視と白内障の関係
乱視は、白内障によっても引き起こされる可能性があると考えられています。
繰り返しにはなりますが、乱視は角膜や水晶体の歪みによって、目の中に入った光があちこちに散らばってしまう状態を指します。
一方、水晶体が混濁するがゆえに、光をうまく曲げられないのが白内障です。
白内障に罹患すると、水晶体の混濁により光が不均一に曲がるため、乱視につながるおそれがあるということです。
中高年以降で乱視になったり、だんだん乱視が強くなったりする場合には、この水晶体の混濁が原因といえます。
乱視矯正にも白内障の手術は有効なのか
水晶体の混濁が原因で起こる乱視は、“白内障を治す手術”を受けると改善できる可能性があります。
白内障の手術では、混濁した水晶体を人工の眼内レンズと差し替えて、視力の回復を目指します。
これにより、屈折異常の改善もあわせて図れるわけです。
なお、乱視の改善を目的に、白内障の手術を施す場合は、特殊な眼内レンズを使用するのが一般的です。
関連ページ:白内障手術について
白内障の手術で乱視が治るメカニズム
なぜ白内障の手術で乱視が治るのかというと、埋入する眼内レンズに秘密があるからです。
これまで白内障の手術で用いられてきた眼内レンズは、近視や遠視のみ矯正が可能でした。
ですが、その方法では乱視の改善には至らず、別途メガネの使用が必要だったのです。
近年では、乱視の緩和が期待できる眼内レンズの“トーリック眼内レンズ”が開発され、今まで難しかった乱視の矯正も可能となりました。
トーリック眼内レンズについては後述しますので、そちらをご覧ください。
なお、乱視矯正を実現する白内障の手術には、通常の倍以上の正確さが求められます。
眼内レンズを埋入する角度がほんの少しでもズレると、乱視矯正の効果がガクッと下がってしまうためです。
よって、乱視の改善を目指して白内障の手術を受ける場合は、豊富な実績や高い技術を誇るクリニックを選ぶことが不可欠です。
トーリック眼内レンズとは
トーリック眼内レンズは、白内障の手術で用いられる眼内レンズで、乱視の軽減が期待できます。
ほかの眼内レンズとは違い、眼内で乱視の軸(向き)を合わせる必要があり、トーリック眼内レンズには特殊な加工が施されているのが特徴です。
眼内レンズについている“トーリックマーク”という目印を、乱視が強い部分に合わせることでクリアな視界に導けます。
ただし、乱視の度合いによっては、トーリック眼内レンズを挿入しても思うような効果を得られないこともあります。
乱視があまりにも強い場合は全ての矯正が難しい可能性が高く、逆もまた然りです。
そのため「トーリック眼内レンズを埋入したから、絶対に乱視が治る」というわけではないことを、心に留めておきましょう。
白内障の手術を受けても乱視が残る場合にすべきこと
多くの場合、白内障の手術を受けることで乱視を軽減できますが、なかには「あまり改善されなかった」「前よりも進行した気がする」と感じる方もいらっしゃいます。
手術を受けてもなお、乱視が残っているときには、眼内レンズの位置の調整やメガネやコンタクトレンズを使用して対処したり、レーシックで残った乱視を治すことも可能です。
正しい位置に眼内レンズが挿入されても、術後に眼内レンズが回旋してしまい、乱視の軸(向き)がズレることはあります。
このズレを改善するには、レンズ位置の調整を行います。
また、正しい位置に眼内レンズが挿入され、レンズの位置に問題がないにもかかわらず、乱視が残る可能性もあります。
眼内レンズで補正できない乱視に関しては、メガネやコンタクトレンズの使用、もしくはレーシックで追加矯正することとなります。
手術後に乱視が残っているときは自己判断で対処せず、まずは医師に相談して指示を仰ぐことが大切です。
まとめ
本記事では、乱視の矯正に白内障の手術が有効かどうかをお伝えしました。
白内障の手術を受けることで、乱視の軽減が期待できます。
手術では、乱視を矯正するための特殊な加工が施された“トーリック眼内レンズ”を使用します。
ただし、乱視の度合いによっては、トーリック眼内レンズでも乱視が残ってしまうケースもありますから、必ず治るとは言い切れないと覚えておきましょう。
先進会眼科は、20年以上にわたって視力回復治療を実施しているクリニックです。
白内障をはじめとする、さまざまな病気に対応可能で、患者様の“見える”毎日をサポートいたします。
乱視の改善を目的とした眼内レンズ治療やレーシックもお受けいただけますので、ぜひご相談ください。
視力回復・白内障など目の治療なら
先進会眼科へご相談ください
ご予約はお電話、Web予約、LINEで承っております。診療に関するご質問ご相談はLINEでのみ受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357