眼科での老眼検査の内容とは?病院に行く目安の症状も解説
眼科で実施される老眼検査では、視力を測るほか、目に病気がないかどうかを調べるのが一般的です。
具体的には、視力検査や近見視力検査、眼圧検査などが挙げられます。
【この記事でわかること】
- 老眼はなぜ起こるのか?
- この症状が出たら老眼の検査へ
- 眼科で実施される老眼検査の内容
- 老眼の矯正方法
- 老眼を予防するためにできること
「なんだか近くが見えない」「視線を動かすとぼやける」といった症状が現れて、老眼を疑っていませんか?
進行を遅らせるためにも、違和感を覚えたらすぐに、眼科で老眼検査を受けたいところです。
そこで今回は、眼科で実施されている老眼検査の内容を、病院に足を運ぶ際の目安となる症状とともに解説します。
「最近見えにくくなったな」と思われる方の、不安を解消できれば幸いです。
老眼はなぜ起こるのか?
老眼は、加齢によって起こる自然な老化現象の一つです。
年齢を重ねていくうちに、焦点を合わせる機能をもつ、目の器官が衰えることで近くが見えにくくなってしまいます。
では、具体的には、目のどのような器官が衰えるのでしょうか。
以下に、老眼の主な原因をまとめました。
【老眼の主な原因】
- 水晶体の硬化
- 毛様体筋の衰え
- 虹彩の鈍化
“水晶体”と“毛様体筋”は、視線を動かしてもはっきりと見えるよう、ピントを合わせる役割を担う器官です。
加齢によりこれらのはたらきが弱まると、うまくピントが合わなくなるので、見えにくさを感じるというわけです。
また、目に入る光の量を調節する“虹彩”には、周囲の明るさに合わせて瞳孔の大きさを変えるはたらきがあります。
通常、瞳孔は明るい場所では小さく、暗い場所では大きくなります。
しかし、年齢を重ねていくうちに、虹彩のはたらきが鈍くなるため、瞳孔の大きさを調節できず、小さいままの状態となってしまうのです。
つまり、虹彩の機能が衰えて瞳孔の大きさを変えられなくなると、暗い場所で色の明度や彩度の判別が難しくなるということです。
こうした目の器官の衰えにより、老眼が引き起こされます。
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この症状が出たら老眼検査へ
年齢を重ねるごとに「見えにくいな……」と思われる機会が増えたのであれば、眼科で老眼検査を受けましょう。
以下のような症状が現れたら、老眼検査を受けるタイミングであると覚えておいてくださいね。
【老眼検査を受ける際の目安となる症状】
- 目から離さないと手元が見えづらい
- メガネを外さないと文字が読めない
- 色のコントラストが判別できない
- 部屋のライトや街灯がやけに明るく感じて直視できない
- 目の疲れがとれない
- 肩こりがひどい
これらの症状のうち、半数以上に該当する場合は、眼科で検査を受けるのがベターです。
老眼であることがわかれば、症状の進行を緩やかにするための対策を講じられます。
眼科で実施される老眼検査の内容
眼科で実施される老眼検査の内容は、以下の通りです。
- 視力測定
- 近見視力検査
- 眼圧測定
- 細隙灯顕微鏡検査
- 医師の診察
ご自身に適した老眼の対処法を探すためにも、まずは目の状態を把握しておくことが欠かせません。
ここからは、眼科で実施される老眼検査の内容を、それぞれ解説していきます。
視力測定
老眼検査の場合でも、視力測定を受けるのが基本です。
視力測定では、アルファベットのCに似た記号である“ランドルト環”を用います。
一般的な視力測定と同様に、5m程度離れた位置からランドルト環の切れ目を識別できるかどうかを調べます。
老眼の方は、水晶体の硬化や毛様体筋の衰えによって、うまくピントを合わせることができません。
そのため、まずは老眼の進行度合いを調べる意味でも、視力測定を受ける必要があるというわけです。
近見視力検査
近見視力検査とは、30cm離れた位置にあるランドルト環の見え方を調べる、視力測定のことです。
裸眼と、メガネで矯正したときの両方の視力を測ります。
一般的には、対象物がはっきり見える距離が30cm以上先になった場合は、老眼を疑うべきだといわれています。
手元の見えにくさは老眼の初期症状の一つですから、症状が現れたら近見視力検査を受けて、診断してもらうことが大切です。
眼圧測定
目の中の圧力を調べ、緑内障や、高眼圧症といった病気を発症していないかを確認するために、眼圧測定を実施します。
「老眼だと思っていたけれど、本当はほかの病気にかかっていた」ということも、無きにしもあらずといえます。
たとえば、緑内障の場合は失明のリスクがありますから、老眼の対策よりも先に、治療を受けなければなりません。
眼圧検査は、見えにくさの原因を明らかにするために、欠かせない検査なのです。
細隙灯顕微鏡検査
眼球の状態を観察するのが、細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)です。
フルオレセインとよばれる蛍光色素を用いて検査が実施され、眼球が傷ついていると、緑を帯びた蛍光色に染まる仕組みとなっています。
見え方に違和感を覚えることがある場合、老眼ではなく、眼球に傷がついている可能性も考えられます。
そのため、ほかの検査だけで「老眼だ」と判断せず、細隙灯顕微鏡検査も実施して、目の状態を確認しなければならないのです。
さらに、細隙灯顕微鏡検査では、水晶体や虹彩、硝子体など、目の内部を余すところなく観察できます。
ほかの検査では難しい外眼部の疾患や虹彩炎、白内障などの発見も可能となるわけです。
医師の診察
最後は、医師の診察を受けます。
上記の検査結果から、見えにくい症状が老眼によるものか、そうでないのかを診断してもらいます。
老眼検査の結果と医師による診断から、老眼であることがわかった場合は、処方箋を受け取るのが一般的です。
老眼鏡やコンタクトレンズを購入する際に必要となりますので、無くさないように保管しておきましょう。
老眼の矯正方法
老眼の矯正にはいくつかの種類がありますが、そのなかでも“老眼鏡をかける”という方法を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
老眼鏡は、手元のピントを合わせるために用いるアイテムです。
うまくピントを合わせられなくなった目の調節機能を、遠方から近方まで見えるレンズが補助してくれます。
そのほか、遠近両用コンタクトレンズや手術で矯正する方法もあります。
老眼を予防するためにできること
老眼を予防するには、適度に目を休めたり、老眼トレーニングに取り組んだりするとよいでしょう。
スマートフォンの操作や読書などで、目を酷使する時間が長くなればなるほど、目に多くの負担がかかります。
目が疲れた状態が続くと、眼精疲労を引き起こし、全身の不調につながることもあります。
適度に目を休めることで、老眼を予防できるだけではなく、晴れ晴れした気持ちで毎日を過ごせるようになるかもしれません。
また、老眼トレーニングは目の弱体化を抑える効果が期待できることから、老眼の予防となるわけです。
老眼トレーニングの例としては、ペンの先端と末端を交互に見つめ、ピントを合わせる方法が挙げられます。
気軽に取り組めるトレーニングですので、ぜひ日課として取り入れてみてください。
まとめ
今回は、眼科で実施されている老眼検査の内容を、病院に足を運ぶ目安となる症状とともにお伝えしました。
眼科での老眼検査には、視力測定や眼圧検査などのいくつかの種類があります。
検査が一つではないのは、見えにくさの原因が老眼ではなく、目の病気の可能性もあるためです。
「手元が見えにくくなった」「目の疲れがとれない」といった症状が現れた際は、眼科を受診し、検査を受けましょう。
先進会眼科では、20年以上にわたって視力回復治療を施しています。
治療のほか、老眼検査は国家資格を持つ視能訓練士が行い、診察は経験豊富な眼科医が担当いたしますので、安心してお受けいただけます。
老眼に関する不安を丸ごと解消したい方は、ぜひ先進会眼科にご来院ください。
日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357