ものもらいになる原因とは?種類や治し方・ならない方法4つを解説
目が赤く腫れてしまうものもらいは、わたしたちの日常生活において身近な病気のひとつです。
この記事では、ものもらいの種類や治し方について詳しく解説します。ものもらいにならないようにする4つの予防法についても紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
ものもらいとは
ものもらいとは、目の周りが赤く腫れるできもので、汗や脂肪が排出されるまぶたの腺に炎症が起こり、化膿した状態です。地域によって「めばちこ」「めいぼ」「おひめさん」などさまざまな呼び方があります。
まぶたが腫れて痛々しい見た目になることに加えて、異物感や痛みを感じることもあります。また、ものもらいは、原因によって麦粒腫と霰粒腫に分けられます。
この章では、それぞれについて見ていきましょう。
麦粒腫
麦粒腫とは、マイボーム腺(涙の蒸発を防ぐために油分を分泌し油膜を張る働き)や汗を分泌する腺など、まぶたの縁にある腺が細菌感染によって炎症を起こした状態です。黄色ブドウ球菌など、わたしたちの皮膚や髪などにいつもいる常在菌が主な原因となります。
普段の健康な状態では細菌の影響は受けませんが、疲労や寝不足などで身体の抵抗力が弱くなっている場合や、不衛生な手で目を触るなどといったきっかけで菌が増殖して感染を起こします。
症状は、初期にはまぶたの一部に赤みや押すと痛い部分が出現し、次第に炎症や化膿が進んでまぶたの腫れ、痛み、異物感、目やにを伴います。
霰粒腫
霰粒腫とは、マイボーム腺が詰まることでまぶたに腫れや炎症が起こる状態です。麦粒腫とは違って細菌感染はありません。
まぶたの腫れや異物感、しこりなどといった症状が起こり、痛みがないことが特徴のひとつです。炎症がある場合は、痛みなど麦粒腫と似た症状が出ることがあります。
ものもらいの治し方
ものもらいはまれに自然治癒することもありますが、一見良くなったように見えてもまだ完治しておらず、再発を繰り返してしまう可能性もあります。自己判断で放置したり自然治癒を待ったりせずに、早めに医師の診断を受けましょう。
ここでは、ものもらいの治療方法について解説していきます。
点眼薬や飲み薬・軟膏を使用する
麦粒腫では、黄色ブドウ球菌を殺菌できる抗菌薬の点眼や、軟膏を使用します。症状が重い場合は、抗菌薬の内服を用いる場合もあります。
霰粒腫では、しこりや腫れのみで痛みを伴わない場合、ステロイドの目薬や軟膏を使用します。痛みや炎症を伴う場合は、麦粒腫と同様に抗菌薬の点眼や軟膏で治療することもあります。
膿を取り出す
症状が重く化膿が進んでいる場合は、切開して膿やしこりを取り出します。また、しこりが大きい霰粒腫の場合は、副腎皮質ステロイドをしこりに注射する治療法もあります。
ものもらいにならない方法
つい汚れた手で目をこすってしまうなど、細菌感染を起こすきっかけは日常生活のなかにあふれているため、ものもらいはどんな人も起こしやすい病気です。
しかし、ものもらいは症状だけでなく見た目も痛々しく、本人も不快に感じやすい状態でもあります。ここでは、ものもらいにならないための予防方法を紹介していきます。
手洗いを徹底する
麦粒腫は、手や指に付着している細菌が目に入ることで感染します。こまめな手洗いを徹底し、汚れた手で目に触らないように気を付けましょう。特にコンタクトレンズを使用している方は、付け外しの前には必ず手を洗うようにしてください。
免疫力を下げない
麦粒腫の原因となる細菌は、常にわたしたちの身体にいる常在菌です。健康なときには目に細菌が触れたとしても感染しませんが、疲労や寝不足、ストレスなどによって免疫機能が下がり抵抗力が下がっていると感染しやすくなってしまいます。
規則正しい生活や睡眠を意識して、免疫力を下げないように心がけましょう。
マイボーム腺のマッサージを行う
マイボーム腺の詰まりを予防するためには、マッサージや目を温めることが効果的です。
マッサージは、洗顔時に目を閉じた状態でまつげの生え際に指を当て、軽く左右に揺さぶります。目を閉じた状態でシャワーを当てる方法もよいでしょう。この際、必ず目を閉じ、シャワーのお湯が目に入らないように注意してください。
また、温めたホットタオルを目の上に乗せて数分間温めることも効果的です。その際に、マッサージも併せて行うとよいでしょう。
目の周りはデリケートなため、マイボーム腺のケアは力を入れず優しく行って、ものもらいや炎症がある状態では悪化させる可能性があるため避けてください。
目の際までメイクしない
まぶたの際やまつげの生え際までアイメイクをしていると、マイボーム腺を塞いでしまう原因となり、麦粒腫や霰粒腫を起こしやすくなります。目の際までのアイメイクは避けて、常に清潔に心がけるようにしましょう。
また、まつげのエクステンションはマイボーム腺を塞ぎやすいことに加え、目を清潔に保つことが難しくなってしまいます。まつげのエクステンションをされている方は特に清潔やマイボーム腺のケアを意識し、ものもらいを繰り返す場合はエクステンションを控えるようにしてください。
ものもらいに関するよくある質問
ものもらいはわたしたちにとって身近な病気のひとつである一方、治療についてよくわからないことや疑問に感じることもあるでしょう。ここでは、ものもらいに関してのよくある質問と、その回答について解説します。
ものもらいは自然治癒する?放置してよい?
ものもらいは自然治癒する場合もありますが、抗菌薬などによる適切な治療を行うことにより、早期の改善が期待できます。自然治癒を待って自己判断で放置することは避け、早めに医師の診察を受けましょう。
また、一見治ったように見えても細菌が残っており、再発を繰り返したり完治しにくくなったりする可能性もあるため、注意が必要です。
ものもらいは人にうつる?
「ものもらいは人にうつる病気だ」という迷信がありますが、正確には人にうつらないため、安心してください。麦粒腫は常にわたしたちの身体に存在する常在菌による細菌感染が原因であり、「はやり目(流行性角結膜炎)」などウイルス性が原因のものとは異なります。
ものもらいが治るまでどのくらいかかる?
ものもらいの種類(麦粒腫か霰粒腫か)や症状の程度によっても異なりますが、麦粒腫では早期に抗菌薬による治療を行えば1週間程度で治ります。
霰粒腫の場合も、早めに抗菌薬の治療を行って炎症を予防できれば、比較的早く治ります。しかし、しこりができてしまうと治りにくく、場合によっては数か月かかる場合もあります。
ストレスが原因でものもらいは起こる?
ストレスによっても免疫機能や抵抗力が弱くなるため、ものもらいを発症しやすくなる可能性があります。そのため、ストレスや疲労をためず、十分な睡眠や休息をとることで予防につながります。
まとめ
ものもらいには常在菌の細菌感染によって起こる麦粒腫と、マイボーム腺が詰まることによって起こる霰粒腫があります。どちらも目の周りの腫れや赤み、異物感などの症状が起こり、痛みを伴う場合も。
予防のためには、手を清潔に保つ・目の際までアイメイクをしないなど清潔を意識することに加え、規則正しい生活や睡眠など免疫力を保つことも大切です。
また、マイボーム腺の詰まりを予防するためには、マイボーム腺マッサージやホットタオルで温めるなどといったケアも効果的です。先進会眼科では、ものもらいの診察、治療にも対応しています。ものもらいができてしまった場合は自己判断せず、早めに医師にご相談ください。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357