オルソケラトロジーはいつまで続ける?治療期間や向いている人を解説
寝ている間にコンタクトレンズを装用することによって、近視や乱視が矯正できるオルソケラトロジー。基本的に毎晩就寝時にレンズを装用する点については通常のコンタクトレンズとは打って変わりますが、レンズケアは同様に必要です。しかし、検討するに際し、いつまでオルソケラトロジー治療を継続したらいいのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、オルソケラトロジーの治療期間について詳しく解説します。また、どのような方がオルソケラトロジーに向いているかについても紹介していきますので、オルソケラトロジーが気になる、あるいは検討しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
オルソケラトロジーとは
オルソケラトロジーは、特殊なハードコンタクトを使った視力回復治療です。毎晩寝ている間にレンズを装用し、角膜の形を矯正することによって日中は裸眼でも矯正効果の維持が期待できます。
手術の必要がなく、裸眼で日常生活が送れるため、比較的リスクの少ない視力回復治療として話題を呼んでいます。夜間のレンズによる角膜の矯正は一時的であるため、個人差もありますが、治療を中止すると2週間〜1ヵ月程で元の状態に戻ります。
オルソケラトロジーで期待される効果
まだ近視が完全に進行していない子どもが、早い段階でオルソケラトロジー治療を行った場合、近視の進行を抑制する効果が期待できるとも考えられています。子どもがオルソケラトロジー治療を受けることによって、将来の近視度数が少しでも軽くなったり、パイロットなど裸眼視力の制限がある仕事の選択肢が広がったりという可能性があるかもしれません。
オルソケラトロジーの適応年齢
オルソケラトロジーの適応年齢は、6~65歳くらいまでです。子どもの場合は本人によるレンズケアが難しいため、保護者の方がレンズを管理したり、レンズケアを入念に行ったりする必要があります。角膜の表面が柔らかく、睡眠時間が長い子どもは、大人に比べて効果が出やすいとされています。
高齢の年齢制限はありませんが、老眼を自覚する年齢といわれる45歳以上の方がオルソケラトロジーを行うと、手元が見づらくなる可能性も。その場合は医師と相談しながら、レンズの度数を少し弱める、使用頻度をあえて少なくする、などといった対処を講じることがあります。
オルソケラトロジーの視力回復方法
近視や乱視は、角膜のカーブの影響を大きく受けています。オルソケラトロジーでは、就寝時の間に特殊な形をしたハードコンタクトレンズをつけることで、角膜の形を矯正します。レンズの内側には特殊なカーブがあり、それによって角膜の形が少しずつレンズに沿うように変化していくのです。
変化した角膜の表面は、いわば低反発枕のようにすぐには戻らず一定の時間維持されます。そのため、翌朝レンズを外しても角膜が矯正された状態が保たれて、裸眼でも快適に見えるようになることが期待できます。
オルソケラトロジーはいつまで続ける?
いつまで治療を継続したらいいのか、オルソケラトロジーの治療期間が気になる方も多いと思います。基本的には、治療を始めてから就寝時のレンズ装用は、毎日必要です。装用を中止した際は、2週間〜1ヵ月ほどで角膜の形は矯正される前の状態に戻ります。長期的な治療期間に関しては、子どもの場合と大人の場合で異なりますので、それぞれについて解説していきます。
子どもの場合
子どもの場合、オルソケラトロジーの長期継続によって近視の抑制効果が期待できます。より効果を得られやすいようにと考えるなら、近視の進行がゆるやかにおさまる思春期以降(15~18歳)までは治療を継続するのが適切だとされています。
しかし、近視の進行によってオルソケラトロジーの適応度数を超えてしまった場合は、治療を中断せざるを得ません。これは、近視の度数が弱い時期に治療を始めることで、防げる可能性があります。
大人の場合
大人の場合はすでに近視が進んでいるため、近視の進行抑制効果はありません。よって、オルソケラトロジーをいつまで継続するべきかという治療期間の判断は、個人によって異なります。就寝時のレンズ装用を続けている限り、日中は裸眼で過ごせます。裸眼で生活したいが、レンズケアを長期的に続けるのは手間に感じるという方は、当院でも扱っているレーシックやICLなどの視力回復手術の検討も視野に入れてみると良いでしょう。
レーシックはレーザーによる手術で角膜を削ることにより視力回復を行う方法です。
合併症や副作用の観点では、角膜を削るため手術前の状態には戻せないこと、手術である以上リスクがゼロと言い切れないこと、近視が戻る・ケラトエクタジア(医原性の不正乱視)・感染症・一時的なドライアイ・一時的なハローグレア(光のぎらつき)・角膜混濁の可能性があること、術後数週間は目元のメイクや激しい運動など制限されるものがあること、が挙げられます。
他にも、白内障治療や眼圧測定・緑内障検査では、角膜の形状を考慮し、レーシックを受けていない人とは違った方法を用いる必要があるため、必ずレーシックの経験があることをその医療機関や医師に伝える必要があります。
費用に関しては自由診療になり、先進会眼科では両眼19.8万円~38.5万円(税込み)で、アフターケアと術後3ヶ月間の検診の費用も含んで実施しております。
先進会眼科でのレーシックの費用や詳細について知りたい方は下記のページもご覧ください。
ICLは手術で目の中にコンタクレンズを挿入する視力回復方法です。
良好な視力が得られれば裸眼での生活が期待できますが、手術に一般的にみられる合併症や副作用として下記を伴う可能性があり、以下の安全情報が報告されています。
結膜炎、急性角膜浮腫、持続性角膜浮腫、眼内炎、ハロー・グレア現象、前房出血、前房蓄膿、眼感染症、レンズ偏位、黄斑浮腫、瞳孔異常、瞳孔ブロック緑内障、重篤な眼炎症、虹彩炎、硝子体脱出、角膜移植。
稀ですが、炎症や角膜内皮減少、高眼圧、白内障などの合併症が起こった場合は追加の手術処置が必要になることがあります。手術である以上、白内障、失明のリスクもゼロではなく、挿入したレンズが合わない可能性も考慮しておきましょう。
ICLの費用相場は約45.1~66万円、先進会眼科では45.1~52.8万円で行っております。
アフターケアなども料金に含んでおりますので、詳しくは下記のページもご参照くださいませ。
ICL(眼内コンタクトレンズ)とは│費用・他の手術との違いなど
視力回復・白内障など目の治療なら
先進会眼科へご相談ください
ご予約はお電話、Web予約、LINEで承っております。診療に関するご質問ご相談はLINEでのみ受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
オルソケラトロジーのメリット
オルソケラトロジーのメリットは、以下のようになっています。
- 手術の必要がない
- 日中は裸眼で過ごすことができる
- 治療を中止すれば元の角膜状態に戻せる(可逆性)
- 未成年の子どもでも治療が受けられる
- 近視の進行を抑制する効果が期待できる
手術の必要がなく、角膜の形が元に戻る点はオルソケラトロジーの特徴といえるでしょう。
オルソケラトロジーのデメリット
一方、オルソケラトロジーのデメリットは、以下になります。
- 基本的に毎晩レンズ装用する必要がある
- レンズケアの手間がかる
- 定期検査が必要
- 視力の安定まで時間がかかる
- 夜間に光がにじんで見える可能性がある(ハロー・グレア)
オルソケラトロジーを検討している場合は、メリットだけでなくデメリットについてもよく理解しておきましょう。気になる場合は、まずは一度適応検査やトライアルをして使用感を確認してみるのをおすすめです。当院ではオルソケラトロジーのトライアルも行っていますので、お気軽にご相談ください。
また、主な副作用や注意点としては一般的なコンタクトレンズと同様です。
不衛生に扱うと角膜炎・角膜上皮障害・角膜感染症・角膜内皮障害・巨大乳頭結膜炎といった合併症が起こるため、正しくレンズケアをすることが大切です。
オルソケラトロジーに向いている人
オルソケラトロジーは、以下のような人に向いている治療です。
- 6歳以上で中等度以下の近視、軽度乱視の人
- (適応度数は-4.00Dまでの近視・-1.50D以下の乱視)
- 視力矯正手術に対して心理的、費用的に抵抗がある人
- 裸眼で生活したい方
- 子どもの近視進行を抑制したい保護者
- スポーツ競技を裸眼で行いたい人
- 円錐角膜などの角膜疾患がない人
適応かどうかは、検査と医師の診察によって詳しく判断します。まずは検査を受けていただき、医師とご相談ください。
オルソケラトロジーにかかる費用
オルソケラトロジーは保険適応外のため、費用は高くなります。しかし、視力回復手術のレーシックやICLよりは安い傾向にあります。当院では、長期の治療も考えていただきやすいように、定額制を採用しております。
トライアル費 | 両眼9,800円(税込) |
---|---|
初期費用(3ヵ月分) | 両眼42,000円(税込) |
4ヵ月以降 | 両眼6,800円/月(税込) |
初期費用は3ヵ月目まで適応され、4ヵ月目以降からは毎月6,800円(税込)となります。片眼のみの場合は、治療費用3,800円/月(税込)に加えて別途初期費用となりますが、4ヵ月以降は通常のコンタクトレンズとほぼ大差のない価格で、日中のコンタクト装用の手間やわずらわしさから解放されます。
先進会眼科でのより詳しいオルソケラトロジー費用、あるいは視力回復手術であるレーシックや、ICLとの費用比較については、こちらのページをご覧ください。
まとめ
オルソケラトロジーは、中止してから2週間〜1ヵ月ほどで角膜の形が矯正される前の状態に戻ります。それゆえ基本的には、就寝時のレンズ装用は毎日必要です。治療期間については、大人の場合と子どもの場合で異なります。
子どもの場合、近視の進行抑制効果を期待するために、近視の進行がゆるやかにできる思春期以降までは治療を続けるのが良いと考えられています。
一方、大人の場合は、治療期間はいつまで治療を続けたいかというそれぞれの判断となります。個人の判断となりますので、手術不要なうえ日中裸眼で稼働できるオルソケラトロジーがよいのか、あるいはレンズケアを手間に感じる場合はレーシックやICLなどの視力回復手術をするのか、それぞれ検討してみてもいいかもしれません。
先進会眼科では、オルソケラトロジーのトライアルはもちろん、視力回復手術のカウンセリングも行っております。オルソケラトロジー、あるいは視力回復治療について、気になる点や不明な点がありましたら、お気軽に当院までご相談ください。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357