老眼世代でも運転免許の更新(取得)はできるのか?
老眼を発症していても、視力検査に合格すれば運転免許の更新や取得は可能です。
この記事でわかること
- 老眼になっても運転免許は更新(取得)できる?
- 運転免許の更新(取得)に必要な視力
- 老眼の方が運転免許更新の視力検査を通過するために
- 運転免許の視力検査に通過できなかった場合はどうする?
- 老眼の発症リスクが高まる年代は?
- 老眼のセルフチェック方法
- 老眼の検査方法
- 老眼の手術・対処方法
- 老眼の進行を遅らせる方法
老眼の近くのものが見えにくくなるという症状に、お悩みの方は多いでしょう。
さらに、運転免許の更新を控えている方は、視力検査で不合格になるのではないかと不安になりますよね。
そこでこの記事では、老眼を発症している方が運転免許の更新、あるいは取得できるのか、について解説します。
老眼の症状が出ている方も、これからその年代に差し掛かろうとしている方も、ぜひ参考にしてみてください。
老眼になっても運転免許は更新(取得)できる?
老眼になってしまったとしても、視力検査に合格できれば運転免許の更新や取得は可能です。
個人差はありますが、一般的に老眼は40歳半ば頃に発症し、60歳頃まで進行しつづけるといわれています。
その年齢層の、日本における運転免許保有率を下記の表にまとめました。
年齢層 | 運転免許保有率 | |
男性 | 女性 | |
40~44歳 | 95.8% | 90.8% |
45~49歳 | 95.6% | 90.7% |
50~54歳 | 96.8% | 91.0% |
55~59歳 | 96.5% | 88.8% |
60~64歳 | 95.0% | 84.1% |
男性で95%以上、女性で84%以上と非常に多くのドライバーが、老眼の悩みを抱えていることがわかります。
運転免許の更新や取得の際には、きちんと視力の基準値を満たして、日々の安全運転を心がけたいものですね。
参照元:内閣府
運転免許の更新(取得)に必要な視力
それでは、運転免許の更新や取得に必要な視力とは、どれくらいなのでしょうか。
ここでは、その基準値をお伝えします。
免許の種類ごとの視力検査の合格基準
免許の種類 | 合格基準 |
中型第一種免許(8トン限定中型) 準中型第一種(5トン限定準中型) 普通第一種免許 二輪免許 大型特殊免許 普通仮免許 | 両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上、または一眼の視力が0.3に満たない方、もしくは一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること |
原付免許 小型特殊免許 | 両眼で0.5以上、または一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上 |
大型第一種免許 中型第一種免許(限定なし) 準中型第一種免許(限定なし) けん引免許 第二種免許 大型仮免許 中型仮免許 準中型仮免許 | 両眼で0.8以上、かつ、一眼がそれぞれ0.5以上であること |
運転免許の更新や取得に必要な視力は、免許の種類によって異なります。
なかでも一般的な、普通第一種免許の場合、両眼で0.7以上、かつ一眼でそれぞれ0.3以上の視力が必要です。
参照元:警視庁
老眼の方が運転免許更新の視力検査を通過するために
まず前提として理解していただきたいのが、運転免許を更新あるいは取得するために必要なのは、“遠くを見る視力”です。老眼鏡をかけて視力検査に臨んでも、遠くが見えていなければ検査の通過は難しいとされています。運転免許の視力検査に合格するためには、両眼裸眼視力が0.7未満の場合は遠用メガネ、もしくは遠近両用メガネやコンタクトレンズの装着、または適切な対処をしてから検査に臨む必要があります。
では、視力検査に合格するためには、遠くだけが見えていればよいのでしょうか。
実際に車を運転する際、遠くはよく見えていても、近くのカーナビが見えずに前方から視線をそらしてしまっては危険です。
そこで、老眼の方におすすめするのが、遠近両用メガネの使用です。
遠近両用メガネは、一枚のレンズに、近くを見る度数と遠くを見る度数が入っているため、老眼の方の車の運転時の使用に適しています。
随時携帯するのが不便だと感じる方は、遠近両用メガネと同様、一枚のレンズに複数の度数が入っている構造の、遠近両用コンタクトレンズを使用しても問題ありません。
ただし、遠近両用レンズに慣れない方もいるので、遠近両用のメガネやコンタクトレンズを購入するときは、必ず眼科を受診して、ご自身の目に合ったものを選んでください。
あるいは、手術によって視力の改善効果を図るのも一つの手です。
近年では、白内障を併発していない方に限りますが、老眼に適した手術方法も開発されています。
後ほど、詳しくご紹介します。
運転免許の視力検査に通過できなかった場合はどうする?
視力検査が不合格であっても、そこで免許の更新や取得を諦めなければならないわけではありません。
当日中もしくは有効期限内の後日であれば、メガネなどを装着した状態で再検査を受けることができます。
再検査に合格すれば、更新や取得は可能です。
万が一、再検査が必要になった場合でも、免許更新のために支払った証紙代や免許更新費用は、一度返還されますのでご安心ください。
とはいえ、余計な手間をかけたり、焦ったりしないように一発合格を目指して、あらかじめ眼科の受診やメガネの度数チェックは済ませておきましょう。
老眼の発症リスクが高まる年代は?
すでに記事内でもお伝えした通り、老眼は、概ね40代半ば頃に発症し60歳頃まで進行しつづけます。
進行が止まるまでは、老眼鏡やコンタクトレンズなどの度数を適宜調整する必要があります。
また、下記は老眼の発症が疑われる症状の一覧です。
老眼が疑われる症状一覧
- 近くの文字が読みにくい
- 暗い場所で物がよく見えない
- 目が疲れやすい
- 目の奥に痛みを感じる
- 目を使ったあとに頭痛や倦怠感を覚える
- パソコン作業や読書で肩がこる
- パソコンや本の文字の読み間違いが増えた
- 裁縫などの細かい作業がうまく行えない
日常生活において、上記の症状が多く当てはまる方は、眼科の受診をおすすめします。
老眼のセルフチェック方法
ここでは、老眼であるかどうかのセルフチェック方法をご紹介します。
前述の自覚症状とあわせて、老眼が進行しているのか確認できる目安になりますので、ぜひ試してみてください。
老眼の進行状況を確認するために行うのは、目からもっとも近い位置でピントが合わせられる“近点距離”の測定です。
近視や乱視などの症状をお持ちの方は、メガネやコンタクトレンズで視力を矯正した状態で測ります。
測定方法は、新聞や雑誌などを用意し、ご自身の顔のすぐ前から少しずつ遠ざけていきます。
はじめはピントが合わずにぼやけていますが、徐々に遠ざけていくことでピントが合う位置があるはずです。
この位置が近点となっており、目から近点がどれくらい離れているかによって老眼の進行状態を確かめられます。
あくまでも目安ですが、以下に年齢別の近点距離をまとめました。
年齢別の近点距離
年齢 | 20歳 | 30歳 | 40歳 |
近点距離 | 12cm前後 | 14cm前後 | 20cm前後 |
一般的に近点が目から30cm以上離れると、老眼鏡が必要といわれています。
近点距離を測定した結果、老眼鏡が必要であるとわかった場合は、老眼鏡の度数もあわせてチェックします。
度数の基準も、大まかな目安としてご覧ください。
老眼鏡の度数の基準
+1.0 | 最近、近くのものが見えにくくなったと感じる |
+1.5 | 手元から40~50cm程度離して文字を読む |
+2.0 | 手元から50~60cm程度離して文字を読む |
+2.5 | 手元から60cm以上離して文字を読む |
上記はあくまでも目安であるため、ご自身の判断のみで度数を決めると、かえって目に負担をかけてしまうかもしれません。
そのため、初めて老眼鏡を使用する際には、必ず眼科を受診しましょう。
老眼の検査方法
眼科で実施される老眼の検査方法は、以下の通りです。
- 視力検査
- 眼圧測定
- 細隙灯顕微鏡検査
- 近見視力検査
検査では、老眼の有無だけでなく、緑内障などの目の病気や、全身疾患がないかも含めて調べます。
症状として現れている見えにくさが、病気や異常によるものではないか、さまざまな検査の結果から慎重に判断され、最終的に老眼か、もしくは別の疾患なのかが診断されるのです。
それでは、検査方法を一つずつ見ていきましょう。
視力検査
眼科で行われる基本的な検査の一つが、視力検査です。
ランドルト環とよばれる、アルファベットの“C”のようなマークが羅列されている検査表を、一定の距離から片目ずつ見て、環の切れ目を判別できるかどうかで視力を測定します。
また、日本ではランドルト環以外にも、ひらがなやカタカナが使用されている場合もあります。
眼圧測定
眼圧測定は、眼球の形を保つために必要な、目の中の圧力を測る検査です。
“非接触眼圧計”という専用の機器を使用し、目にシュッと空気を吹きかけて一時的に角膜をへこませたあと、もとに戻るまでの時間から眼圧を割り出しています。
眼圧は、眼球内を流れる“房水”の量によって変化します。
眼圧測定をすれば、房水の量が適切でないために起こりうる、目の病気を見つけるきっかけになるのです。
細隙灯顕微鏡検査
細隙灯顕微鏡検査とは、細隙灯顕微鏡で特殊な光を当てて、前房の深さ、、虹彩、水晶体、硝子体を観察する検査のことです。
目が傷ついている場合は、フルオレセイン”とよばれる蛍光色素を使用すると患部が蛍光色に染まるため、傷の有無を調べられるほか、ドライアイの有無なども見つけられます。
近見視力検査
一般的な、5m離れた位置から測定する視力検査と異なり、30cmという近い距離から視力を測定する検査を、近見視力検査といいます。
測定に使用するのは、ランドルト環や文字が羅列されている検査表で、その点は一般的な視力検査と同様です。
裸眼で見た視力とメガネなどで矯正した視力の両方を、片目ずつ測ることで、老眼かどうかを判定しています。
老眼の対処方法
以下は、老眼の症状が現れた場合の対処方法です。
- 手術
- 老眼鏡・遠近両用メガネ
- 遠近両用コンタクトレンズ
それでは、一つずつ詳しくお伝えしていきます。
手術
手術で老眼の改善を図る場合は、モノビジョンレーシック手術や多焦点IPCL、多焦点眼内レンズ手術といった方法があります。
モノビジョンレーシック手術は、片方の目の視力は近くを、もう片方の目は遠くを見えるように調整し、両目で遠近のどちらも問題なく見えるようにする手術です。
多焦点IPCLは、ご自身の水晶体を残したまま、眼内にレンズを埋め込む手術です。
老眼だけでなく、近視や遠視、乱視にも対応でき、より裸眼に近い見え方が実現できます。
ただし、いずれも加齢により水晶体が混濁している方は、手術を受けられません。
その場合は、3つ目の方法である、水晶体を取り除いたうえでレンズを挿入する、多焦点眼内レンズの手術を受けられます。
老眼鏡・遠近両用メガネ
老眼鏡は、老眼の悩みを解消するためのお手軽なアイテムです。
近くのものを確実に見ることができ、必要に応じてメガネを外しておけるので、目の負担も最小限に抑えられます。
また、すでに近視の症状をお持ちで、老眼鏡との使い分けが億劫な方には、遠近両用メガネがおすすめです。
視線を上げ下げするだけで、ほとんどの範囲が見えるようになります。
遠近両用コンタクトレンズ
老眼の対処方法として、遠近両用コンタクトレンズを使用するのも一案です。
遠近両用コンタクトレンズは、近くと遠くを見るための度数が入っており、広い視界で、遠近両方の自然な見え方が叶います。
また、老眼だと周りから気づかれにくいのもうれしいポイントです。
老眼の進行を遅らせる方法
老眼は、加齢に伴う生理現象の一つであるため、どうしても発症は避けられませんが、目に負担をかけないように意識すれば、進行を遅らせることができます。
たとえば、天井灯とは別で電気スタンドを使用し、部屋全体と見るものの両方を明るく照らすと目への負担を抑えられます。
部屋の明るさは、6畳で約1,000~1,500ルーメン(80~100ワット)が目安です。
また、スマートフォンやパソコンをよく使用される方は、ディスプレイを30cm以上離し、1時間に1度は休憩を取るようにしましょう。
ほかにも、鮭やイクラ、エビ、カニなど、目の疲れをとる効果がある食材を摂取したり、質の良い睡眠をとったりすることが大切です。
これらは、老眼の進行を抑える効果を得られますので、ぜひ日常生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。
老眼をきちんと矯正すれば、運転免許の更新(取得)はできる
今回は、老眼になっても運転免許の更新や取得はできるのか、について解説しました。
結論、老眼を発症しても視力検査に合格すれば、運転免許の更新や取得は可能です。
視力検査を合格するには、遠近両用メガネあるいはコンタクトレンズを使用するか、手術を受けて“近くも遠くもきちんと見えていること”が重要です。
ご自身の目の状態を把握して、事前に準備を行ったうえで検査に臨み、日々の安全運転を心がけましょう。
先進会眼科では、老眼と白内障を同時に手術する多焦点眼内レンズを導入しています。
患者さまの目の状態や要望に合わせたプランを提供しておりますので、老眼や白内障の手術をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
視力回復・白内障など目の治療なら
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357