視力の左右差の許容範囲はどのくらい?主な症状や原因・治療方法を紹介
視力に左右差があるとさまざまな症状が発生します。片方の目はよく見えるのに、もう片方の視力が悪い場合などは、どんな風に矯正して生活するのがベストなのか分かりづらいかもしれません。
しかし、いろいろな方法で視力を矯正して快適に生活した方が良いでしょう。ここでは、視力の左右差について症状や許容範囲、矯正方法など詳しく解説します。
視力の左右差の許容範囲
視力の左右差には許容範囲があります。その理由は、網膜に結像する像の大きさに左右差の限界があるからです。
ある程度までの像の大きさの差であれば、人間の脳が自然に処理して違和感なく見ることができます。しかしひとつの目安として、屈折値の度数に2D(ディオプトリー)以上の差があると、さまざまな不快な見え方になり目や体の不調につながるといわれています。
2D以上の差がある目のことを眼科では「不同視」とよび、矯正方法などは細心の注意を払って行っています。
自分の目の見え方に左右差があることが分かっていても、実際に2D以上の差があるのかどうかは、眼科で詳しく検査をしてみないと分かりません。次に紹介する症状がある場合は、眼科を受診し検査してもらいましょう。
視力に左右差がある場合の主な症状
視力に左右差があると次のような症状がある場合があります。
- ものが二重に見える
- めまい、頭痛、吐き気、肩こりなどがある
- ものや人との距離感がつかみにくい
- 目が疲れやすい
これらの症状がある場合、視力に左右差がある可能性や他の眼疾患がある可能性が考えられます。なるべく早めに眼科を受診してください。
ものを立体的に見ることができない
視力に左右差があると、ものを立体的に見ることが難しくなります。
人間の目は2つあることでものの立体感や、遠近感覚が分かるような構造になっています。片目をつぶって針に糸を通すことが難しいのは、このためです。視力に左右差があると、この状態と同じようになり、立体視(ものを立体的に見ること)が難しくなります。
この現象は左右差が大きければ大きいほど、強くなるといわれています。
目が疲れやすくなる
目の疲れを感じやすくなるのも、視力の左右差が原因の可能性があります。
左右差があると、網膜に結像する像の大きさにも左右差が生じます。この情報の差を脳が処理できずに疲労として現れることがあるのです。目の疲れ以外にも、めまいや頭痛、肩こりなどの症状がでる場合もあるでしょう。
視力に左右差があることだけが原因ではないこともありますが、目や見え方は人間の生活にとって非常に大切です。さまざまな症状に間接的、または直接的に関係していることがあるので、注意する必要があります。
視力に左右差がでる主な原因
視力に左右差がでる原因として考えられることは以下の通りです。
- 目自体の大きさに左右差があり屈折値に差がある
- 目の形状に左右差があり、屈折値に差がある
- 眼疾患や弱視が原因で、片方の目が良好な視力を得られない
- 片方の目のみ目の手術を受けた後
これらの他にもさまざまな原因が考えられます。思い当たる節がある方は、眼科で詳しい検査を受ければ原因がハッキリすることが多いので早めの受診を推奨します。
視力に左右差がある状態を放置した場合の問題点
視力に左右差がある状態を放置すると、さらに左右差が広がる可能性があります。
視力に左右差があることで立体視を得にくかったり、体に不調をきたしたりする可能性もあります。それに加えて可能性として考えられることは、視力の悪い方の目がさらに悪くなって左右差が広がる危険性です。特に8歳までの子供の場合は、視力の左右差を放置すると悪い方の目が弱視になってしまい、矯正しても視力が得られない目になる危険性があるので注意が必要です。
日本では、定期的な目の検診で弱視を防ぐための検査が行われているので、発見が遅れることは少なくなっています。しかし、万が一検診などで見落とされる可能性も考えられますので、気になる場合は眼科へ子供を連れて行くようにしましょう。
早期に発見し治療や訓練を行うことで、視力に左右差があっても良好な視力の発達が得られることが多いです。
大人の場合は弱視が起こることは考えにくいですが、見えにくい方の目を脳が休ませるなどをする「抑制」という現象が起こることもあります。いずれにしても、そのような症状を放置することに関して、良いことは何もないといえるでしょう。
視力に左右差がある場合の治療方法
視力に左右差があっても、眼疾患などが原因でない場合は、治療の必要がないケースがあります。近視と同じように、両方の目でよく見えるように矯正することで日常生活を送ることができます。
眼疾患や弱視が原因で視力に左右差がある場合は、正常な視力が得られるよう治療する必要があるでしょう。つまり、眼疾患や弱視があるか否かによって、治療方法は変わるといえます。
視力に左右差がある場合の矯正方法
以下が視力に左右差がある場合の矯正方法です。それぞれの項目について具体的に解説します。
- 眼鏡
- コンタクトレンズ
- レーシック
- ICL
- オルソケラトロジー
眼鏡
眼鏡を使用して矯正をすることは一般的な方法です。しかし、視力に左右差がある場合は注意が必要になります。
その理由は、眼鏡での矯正で像の大きさに差が生じてしまうことが挙げられます。このことは、眼鏡のレンズの厚みに左右差があることと、目と眼鏡の間に距離があることが関係しています。
眼鏡の場合、基本的には2D以上の差を矯正して、両眼視を成立させることが難しいとされているので、それに合わせて片方ずつの見え方の調整を施します。
工夫しても眼鏡での矯正が難しい場合は、他の方法を選択する必要があります。
コンタクト
コンタクトレンズを使用して、視力の差を矯正することが可能です。コンタクトレンズは目の中に入れて使用するので、眼鏡とは違い目とレンズの間に距離がありません。
これにより像の大きさに左右差が発生しにくくなります。また、コンタクトレンズを片方の目にのみ装用することも可能です。
視力の左右差が大きく2D以上の場合に、コンタクトレンズを使用し矯正する方法はとても効果的だといえます。
レーシック
レーシックとは、主に近視に対する屈折異常を治すための手術の方法のことをいいます。
その手術の方法は、角膜の厚みをレーザーで調整して屈折値を変化させる方法です。手術は局所麻酔で日帰りが可能で、患者様の時間的な負担にも配慮された手術といえます。
視力に左右差がある場合、片目だけレーシックの施術を受けることも可能です。ただしレーシックは、強度の近視の方は角膜の厚みが足りなくなることがあり、手術の適応とならないことがあります。
合併症や副作用の観点では、角膜を変化させるため手術前の状態には戻せないこと、手術である以上リスクがゼロと言い切れないこと、近視が戻る・ケラトエクタジア(医原性の不正乱視)・感染症・一時的なドライアイ・一時的なハローグレア(光のぎらつき)・角膜混濁の可能性があること、術後数週間は目元のメイクや激しい運動など制限されるものがあること、が挙げられます。
他には、白内障治療や眼圧測定・緑内障検査では、角膜の形状を考慮し、レーシックを受けていない人とは違った方法を用いる必要があるため、必ずレーシックの経験があることをその医療機関や医師に伝える必要があります。
レーシックは自由診療になり、先進会眼科では両眼19.8万円~38.5万円(税込み)で、アフターケアと術後3ヶ月間の検診の費用も含まれます。先進会眼科でのレーシックの費用について詳しく知りたい方は下記のページもご覧ください。
ICL
ICL(眼内コンタクトレンズ)は屈折異常に対して、目の中に人工の眼内レンズを入れ込み視力を回復する手術です。
角膜を削るレーシックとは異なり、レンズを取り出すことで元の状態に戻すことが可能で、高度の近視や遠視の方でも施術が可能なことがあります。
レーシックと同じように、ICLも片目のみの施術が可能です。加えて、挿入したレンズが合えば、眼鏡やコンタクトレンズにかかるランニングコストやケアの時間が必要なくなり、快適な生活が手に入る可能性のある手術といえます。
また、確率は高くないものの手術に一般的にみられる合併症や副作用として、ICL手術にも下記を伴う可能性があります。
結膜炎、急性角膜浮腫、持続性角膜浮腫、眼内炎、ハロー・グレア現象、前房出血、前房蓄膿、眼感染症、レンズ偏位、黄斑浮腫、瞳孔異常、瞳孔ブロック緑内障、重篤な眼炎症、虹彩炎、硝子体脱出、角膜移植。
稀ですが、炎症や角膜内皮減少、高眼圧、白内障などの合併症が起こった場合は追加の手術処置が必要になることがあります。手術である以上、リスクはゼロではなく、挿入したレンズが合わない可能性も理解しておきましょう。
ICLは自由診療となり、先進会眼科では45.1~52.8万円で行っております。
アフターケアなども料金に含んでおりますので、ICLについて詳しく知りたい方はこちらのページもご覧ください。
ICL(眼内コンタクトレンズ)とは 費用・他の手術との違いなど
オルソケラトロジー
オルソケラトロジーとは、就寝中に特殊なハードコンタクトレンズを装用することで、一時的な近視の改善や近視の進行を予防するなどの効果がある治療法です。
オルソケラトロジーも片目のみの治療が可能です。また、矯正の度数は、左右で調整が可能なので視力に左右差がある場合でも適用されます。
注意が必要な点は、オルソケラトロジーが-1.0Dから-4.0D程度の範囲限定の近視に適用される治療であるという点です。強度の近視や乱視では効果が限定的ですので、治療が可能かどうかは一度医師にご相談ください。
主な副作用や注意点としては一般的なコンタクトレンズと同様です。
不衛生に扱うと角膜炎・角膜上皮障害・角膜感染症・角膜内皮障害・巨大乳頭結膜炎といった合併症が起こるため、正しくレンズケアをすることが大切です。
他には、定期検診が必要なことや、継続しないと視力が戻ること、夜間に光がにじんでみえるハロー・グレア現象の可能性もあります。
当院では検査費用は保険適応、以降は自由診療となります。トライアル費として両眼9,800円、初期費用3ヶ月分が両眼42,000円(4ヶ月以降は6,800円/月)、別途ケア代が必要となります。
オルソケラトロジーについてさらに詳しく知りたい方はこちらのページもご覧ください。
オルソケラトロジーとは?メリットやデメリット・費用相場を紹介
まとめ
視力に左右差がある場合でも、眼疾患や弱視で正常な視力を得られない場合を除けば、矯正方法を工夫して視力回復治療を受けることが可能です。
視力の左右差における改善は、人によって適切な治療や矯正の方法における個人差が大きいといえます。眼科の医師でないと分からないことが多数ありますので、一度眼科を受診して分からないことは質問するようにしましょう。
左右差があるからと諦めるのではなく、いろいろな方法を積極的に検討していくことが大切です。矯正の方法はさまざまですが、先進会眼科では、今回紹介したどの治療でも行うことが可能です。患者さま一人一人に適した治療を提案させていただきますので、気になることがある場合はお気軽にご連絡ください。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357