流行性角結膜炎(はやり目)とは?症状と対処について
流行性角結膜炎とは、いわゆる「はやり目」と言われるアデノウイルスが原因で起こる眼のウイルス感染症です。眼科、感染症の現場ですとEKCと呼ばれることがあり、耳にしたことがある患者様もいらっしゃるのではないでしょうか。朝起きたら結膜が真っ赤であった、といった急患も当院に多くいらっしゃるので、解説の筆を取りました。
EKCは「EpidemicKeratoConjunctivitis」の頭文字を取ったものです。
感染力がとても強いため流行しやすく、結膜(白目の部分)の炎症に加えて角膜(黒目の部分)にも病変が見られることがあります。このように、結膜と角膜に炎症が起こるため、流行性角結膜炎と言われています。角膜の炎症が強くなると視力低下の原因となることもあるので、眼科を受診し適切な治療を受ける必要がある疾患です。
今回は、流行性角結膜炎について包括的に説明していきます。
流行性角結膜炎(はやり目)とは
流行性角結膜炎について原因・予防法・治療法等について詳しく説明していきます。
発症理由
発症理由はアデノウイルスというウイルスです。アデノウイルスには50種類もの型がありますが、主に8型、19型、37型、4型のウイルスが原因となります。
アデノウイルスが付着した物を触った手で眼を触ったり、汚染されたタオル等で顔を拭いたりすることによって感染します。
流行性角結膜炎(はやり目)の主な症状
流行性角結膜炎の発症までの潜伏期間は8日~2週間くらいで、発症は年齢に関係なく小児から老人まで幅広い年齢層で見られます。
流行性角結膜炎の主な症状として両目が充血し、涙が出る、目やにが出る、まぶたの裏側に小さなブツブツができる、まぶたが腫れる等の結膜炎の症状が現れます。また、リンパ節が腫れる場合もあります。
結膜炎の症状は発症後1週間程度で最も強くなり、2週間~3週間で治まります。その炎症が角膜に及ぶと、角膜に点状の濁りが生じ見えにくくなることがあります。この濁りは、数か月から1年に及ぶこともあります。
結膜とは角膜の縁からまぶたの裏側までを覆っている粘膜です。白目の表面の部分は眼球結膜と言い、まぶたの裏側の部分は眼瞼結膜と呼ばれます。
角膜は、光を透過させ網膜に焦点が合うように光を伝達するという重要な役割を担っているので、角膜に炎症が生じた場合、まぶしさや見えにくさを感じるようになります。
流行性角結膜炎が新生児や乳児に発症した場合には細菌の混合感染をきたすことがあり、角膜に穴が開いてしまう角膜穿孔を起こすこともあるので特に注意が必要です。
早く治すためは
流行性角結膜炎をなるべく早く治すためには、無理をせず安静にしていることが重要です。無理をして休息を取らずに動き回ったり、疲労やストレスにさらされていたりすると長引く傾向にあります。
周囲への感染力
流行性角結膜炎は、はやり目と言われるだけあり、感染力が非常に強く、学校、職場、病院、家庭内等の接触が濃密になる場所での流行的発生が見られます。
感染経路
流行性角結膜炎の人が眼を触った手で色々なところに触れ、それを他の人が触って、さらに自身の眼を触った場合高い確率で感染します。同じ物(タオル等)を使うだけでも感染することがあります。流行が確認できる場合や周囲に感染した人がいる場合はこまめに手を洗う、生活の中で同じものを使用しない、ことなどが何より大切です。
流行性角結膜炎(はやり目)の検査方法&診断
診断をするために目やにを綿棒で採取し、ウイルスがいるかどうかを検査液と反応させ、陽性か陰性かを調べるという方法で検査を行います。
判定は約7分で結果が出ますが、この方法で検出できるのは感染例の約70%と低く、陰性と出ても陽性の場合があるので、検査結果が陰性でも安心することはできません。反対に、もし陽性であった場合は確定的だと考えることができます。
眼の充血や目やにの状態に加えて、家族や周りの人に発病している人がいないか、リンパ節が腫れていないか等の診察によって総合的に診断します。
流行性角結膜炎(はやり目)の予防方法
一番の予防法は手洗いや手指の消毒です。また、タオル等を介して感染する場合もあるので、身の回りの物は清潔な物を使用するように徹底することも大切です。
症状が治まってからも、2週間程度ウイルスを排出し続けることがあるので、長期間に亘って注意が必要です。
流行性角結膜炎の原因のアデノウイルスに有効な消毒剤として、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム等が挙げられます。
もし家族に流行性角結膜炎(はやり目)の患者がいた場合に気を付けたいこと
周囲に流行性結膜炎の発症者がいる場合は以下の対応を徹底しましょう。
・密接な接触をできる限り避け、こまめに手洗いや手指消毒を心掛ける
・タオル・洗面器等眼に関する物の共用は避ける
・ドアノブ、手すり、おもちゃ等手に触れる物の消毒をできるだけこまめに(消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム0.02%)行う
・患者の眼を直接手で触れないよう十分に気を付けて、目やにや涙をふき取る場合はティッシュペーパーや綿棒等を使う
・入浴は感染者が最後に行うようにする。入浴後のお湯を洗濯等に使わない等気を付ける
流行性角結膜炎(はやり目)にかかってしまった時の対処法
流行性結膜炎に感染してしまった時の適切な対処法について説明します。
流行性角結膜炎(はやり目)の治療
流行性角結膜炎に有効な抗ウイルス薬はありませんので、症状を和らげるための目薬を点眼して治るのを待つことになります。角膜に炎症や混濁が見られる時は、ステロイドを点眼することもあります。
目薬を使用しても2週間~3週間症状が持続しますが、徐々に快方に向かっていきます。また、新たな細菌感染の予防のために抗菌薬を併用する場合があります。ウイルスに対抗できる抵抗力をつけるため、十分な休養を取り体力が落ちないようにすることが肝心です。
目薬を点眼する際に、容器の先端がまつ毛に付くとその容器から感染が広がってしまうケースもあるので、取り扱いには十分な注意が必要です。
流行性角結膜炎治癒後(はやり目)の後遺症と合併症への注意
症状が治まってきた頃に、角膜の表面に小さな点状の濁りが出てくることがあります。この段階で治療を辞めてしまうと、角膜が濁って視力が落ちてくることがあるので、医師に「点眼を終了」と言われるまで、きちんと点眼治療を続けましょう。(途中でやめてしまう方が結構な割合でいらっしゃいます)
一旦角膜の濁りが生じた場合は、数か月から数年残存します。炎症が治まっても傷跡となってしまうので、早めの対応が必要です。
流行性角結膜炎(はやり目)を拡散させないために
流行性角結膜炎と診断された場合、発症してから2週間程度はできるだけ他の人との接触を避けるようにしましょう。
学校保健法の第三種伝染病に指定されていますので、学童の場合は、医師の許可が出るまでは出席停止することになります。成人の場合は、伝染を防ぐために人と接触する機会が多い接客業や医療施設、学校等では、それぞれの内規で出勤停止が義務づけられている場合があります。他人への感染を防ぐためにも、原則として自宅療養が望ましいでしょう。
流行性角結膜炎はとても伝染しやすく、角膜に炎症が行くと視力低下の原因ともなります。流行性角結膜炎による充血、めやに、痛み等が消えた後も、自己判断で治療を中断するのではなく、眼科医と相談の上でしっかりと最後まで治療を受けることを心掛けましょう。
当院では全ての院(先進会眼科東京、先進会眼科名古屋、先進会眼科大阪、先進会眼科福岡)で厳格な感染症対策を行っております。問診受付の際にも記述のような症状がないか何度も確認し、もし流行性角結膜炎の症状が疑われる場合には専用の待合椅子に座っていただく、別の導線で患者様の診察を行う、等の運用を行っております。症状がありましたら電話、メール、LINE等でご一報の上、ご来院ください。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357