スマホ老眼とは?通常の老眼との違いや予防法を解説
スマホ老眼とは、スマートフォンを長時間見つづけることで、一時的に老眼と似た症状が起こる状態を指します。
【この記事でわかること】
- スマホ老眼とは?
- スマホ老眼かどうかをチェックするポイント
- スマホ老眼を予防する方法
- スマホ老眼が進行するとどうなる?
スマートフォンを使用しているときに、「なんだか見え方に違和感がある……」「最近視界がぼやける」と感じた経験はございませんか?
思い当たる節のある方は、もしかしたら“スマホ老眼”かもしれません。
この記事では、スマホ老眼といわれる目の症状や、その予防方法について解説します。
老眼とスマホ老眼の違いや、スマホ老眼の予防法を知って目の健康を維持したい方は、ぜひご一読ください。
スマホ老眼とは?
スマホ老眼とは、スマートフォンなどの画面を長時間見つづけたために、目の筋肉がうまく機能しなくなり、ピント調整機能が一時的に低下する状態を指します。
例を挙げると、“小さい文字が見えにくくなる”、“顔を上げたときに視界がぼやける”といった症状です。
では、そうなる理由を、以下で説明いたします。
スマホ老眼が発生する仕組み
スマホ老眼が発生する理由を理解するためには、まず目の仕組みを把握する必要があります。
人間の目には、水晶体という、カメラでいうレンズの役割をもった器官があり、その水晶体の厚みの変化によって、目に映るものが像として見えるようになっています。
そして、水晶体の厚みを調整するのが、毛様体筋(もうようたいきん)という目の筋肉です。
見る距離によって緩んだり、収縮したりすることで、水晶体の厚さを調整しています。
スマートフォン使用時に目と画面の距離が近くなると、この毛様体筋が緊張しつづけて固まってしまい、緩めるはたらきが弱まります。
結果として、遠くのものを見ようとしてもピント調整がうまくできずに、小さい文字が見えにくくなったり、視界がぼやけてしまったりするわけです。
これがスマホ老眼の発生するメカニズムです。
症状は一時的であることが多く、少し休んで時間をおくと回復する傾向にあります。
ただし、慢性化すると、重度の眼精疲労に陥ってしまうおそれがあるので、スマートフォンの使用を控えるなど、注意が必要です。
通常の老眼との違い
スマホ老眼と通常の老眼の違いは、症状の出方にあります。
老眼は、加齢によって水晶体が硬くなり、毛様体筋が衰えることで、自由に伸び縮みができなくなり、近くのものが見えにくくなる症状です。
老眼の症状は、基本的に常時持続するものです。
加齢ではなく、目の疲労が原因で起こるスマホ老眼は、一時的な症状ですので、そこがスマホ老眼と大きな違いといえます。
【関連記事】
老眼は何歳から始まる?症状や進行を遅らせる方法も解説
40代が近づいたら老眼に注意!老眼の矯正方法を紹介
スマホ老眼かどうかをチェックするポイント
スマートフォンを長時間使用している方は、自分がスマホ老眼になっていないかチェックしてみましょう。
以下の症状に一つでもあてはまる場合は、スマホ老眼の可能性が高いので、注意が必要です。
【スマホ老眼チェックリスト】
- スマートフォンの小さい文字が読みにくい
- スマートフォンを見たあと、画面から目を離すと視界がぼやける
- 小さい文字を見るとき、少し遠くに離すと見えやすくなる
- 小さい文字を読んだあと、頻繁に肩がこる
- 夕方になると目の疲労を感じる
- 夕方になるとものが見えにくくなる
このような症状を、一時的だと思って放置すると、ピントが合っていない状態でものを見つづけることになり、目にさらに負担がかかることになってしまいます。
そうなると、スマホ老眼の症状の回復が遅くなり、さらには目の疲れから頭痛や肩こりに発展してしまうおそれもあるので、決して楽観視してはなりません。
また、上記にあてはまらない方も、スマートフォンの長時間にわたる使用が常態化すると、スマホ老眼の症状が進行する可能性が高くなります。
次の項で予防法を紹介しているので、そちらを読んで予防することをおすすめします。
スマホ老眼を予防する方法
スマホ老眼を予防する方法は、以下の通りです。
- スマホを使うときは目を離す
- 適度に休憩をはさむ
- 十分に睡眠をとる
- まばたきの回数を増やす
- 目元を温める
スマホ老眼にならないためにも、これらの予防法を実践して、目を労わることを意識していきましょう。
スマートフォンを使うときは目を離す
スマートフォンを使うときは、画面と目の距離を30cm以上離すことをおすすめします。
その距離で画面の文字が読みにくい場合は、メガネやコンタクトレンズなどで矯正しましょう。
毛様体筋の緊張状態が続くのを避けるために、この距離を意識してスマートフォンを使用してみてください。
適度に休憩もとる
スマートフォンを使う際は、こまめに休憩をとり、目を休ませて、毛様体筋を定期的にほぐしましょう。
休憩の目安としては、1時間の使用につき最低10分間は目を休ませる程度が理想的です。
十分に睡眠をとる
スマホ老眼の予防には、目の疲れを回復させることも大切です。
そのための手段として、十分に睡眠をとることは非常に効果的です。
起きて活動しているあいだ、目はずっとピントを合わせつづけているので、疲労がたまります。
その疲労を回復させるのに、十分な睡眠をとる必要があるのです。
ただし、睡眠時間が少ないと、回復が見込めない可能性があるので、最低でも6時間以上の睡眠をとるようにしましょう。
まばたきの回数を増やす
まばたきを忘れないようにするのも、スマホ老眼の予防には効果的です。
まばたきは、目が乾燥しないように、目の表面を覆っている涙を全体に行き渡らせる役割を担っています。
スマートフォンを集中して見ているときは、まばたきの回数が通常の約半数に減ってしまうため、目がとても乾いてしまいます。
つまり、目の乾燥を防ぐためには、まばたきの回数を増やすことが重要であるわけです。
休憩時間を利用するなど、意識的にまばたきを行って目の乾燥を防ぎましょう。
目元を温める
スマートフォンを長時間見続けて目を酷使した際は、目元を温めるのもおすすめです。
目を温めることで、涙の分泌を促し、乾燥を防げますし、目の周りの血行が良くなり、毛様体筋もほぐれてきます。
レンジで温めた蒸しタオルや、市販のホットマスクなどを使用するのがお手軽かつおすすめです。
スマホ老眼が進行するとどうなる?
スマホ老眼は一時的な症状とはいえ、甘く見てはいけません。
目に負担をかけつづけていると、角膜が傷つく可能性があるのです。
角膜とは、眼の表面にある厚さ0.5mmほどの非常に薄い膜です。
ほかの器官と異なり、細胞が露わになっているため、眼を酷使するだけで簡単に傷ついてしまいます。
角膜に傷がついている場合は、以下のような症状が起こることがあるので、チェックしてみてください。
【角膜が傷ついている場合の症状】
- 目に異物感を感じる
- 目が常に重く感じる
- 目が常に乾燥している
- 目がかすむ
- 目が充血する
特にスマホ老眼になるほど目を酷使している人は、角膜に傷がつくリスクが高いため、スマートフォンの使い方を見直して、目への負担を少しでも減らしましょう。
スマホ老眼の症状を把握したうえでスマホの使い方を見直そう
この記事では、スマホ老眼と老眼の違いや、予防法などを詳しく解説しました。
スマートフォンを長時間見つづけることは、一時的とはいえ、目に大きな負担をかけ、結果的に角膜を傷つけるリスクをも高めてしまいます。
スマートフォンを使用するときは、適度な休憩をとったり、まばたきの回数を多めにしたりと、目を休ませるように意識していきましょう。
先進会眼科では、患者さまに寄り添うという使命のもと、老眼の症状を改善できる治療を行っております。
治療だけでなく、目に関する些細な相談も承りますので、ぜひ一度来院ください。
日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357