眼球結膜とは?眼瞼結膜との違いや起こりうる病気4つを紹介
目の充血や炎症により目ヤニが増える症状は、結膜の異常が原因かもしれません。結膜は、涙を生成し目の表面を潤したり、異物の侵入を防いだりする役割があります。また、結膜は「眼球結膜」と「眼瞼結膜」など、部位によって名称が異なります。
今回は、眼球結膜と眼瞼結膜の違い、眼球結膜に起こる代表的な病気、結膜の色で考えられる病気を解説します。結膜の病気は複数ありますので、本記事を参考に気になる症状があれば、医師の診察を受けましょう。
眼球結膜とは
結膜は、目のまぶたの裏側から眼球の黒目部分までを覆っている粘膜の部分を指します。結膜のうち、白目の表面を覆っている部分が「眼球結膜」です。
結膜は、直接外界と接している部分で、細菌やウイルス、ほこり、花粉などに曝されています。結膜の大きな役割は、こうした異物の侵入から目を守ることです。そのために、結膜は抗菌作用のある粘液や涙液を分泌して涙を作ります。そして目の表面を涙で潤すことで、細菌やウイルスなどから防御しています。
この部分に炎症が起こると、目の充血が起こるため目が真っ赤になります。
眼瞼結膜との違い
結膜は「眼球結膜」のほかに「眼瞼結膜(がんけんけつまく)」と呼ばれる部分があります。眼瞼結膜は、まぶたの裏の部分で、毛細血管が集まっています。
眼瞼結膜も外界と接している部分のため、細菌やウイルスが侵入すると炎症を起こします。炎症が起こると、まぶたの裏側が赤く充血します。
眼球の結膜で起こる代表的な病気
目のトラブルには様々なものがあり、その中には目の充血などを特徴とした結膜で起こる病気もあります。ここでは、結膜の代表的な病気の「結膜炎」「結膜弛緩症」「翼状片」「結膜下出血」の4つを解説します。
結膜炎
結膜炎は、結膜が赤く充血して炎症が起きる病気です。結膜炎になると、白目が充血して赤くなったり、粘り気のある黄色い目ヤニが増加したりします。また、涙の量が増え、ひどくなるとまぶたが腫れることもあります。
結膜炎の原因は、細菌・ウイルス・病原体・ハウスダストなどです。見た目だけでは、結膜炎の原因までは分りませんが、目ヤニの色や状態などに特徴が見られると、原因を特定できることもあります。
普段は涙によって原因となる物質が目の外に排出されるため、炎症を起こすことはありません。しかし、体調不良や睡眠不足、疲労の蓄積などで抵抗力が下がったりすると結膜炎が起こりやすくなります。
細菌性の結膜炎の場合は、抗菌薬を2~3日点眼すれば症状は改善します。しかし、ウイルス性の結膜炎の場合は、現時点で特効薬がありません。そのため、目の清潔を保ちながら2~3週間程度の時間をかけて自然に治るのを待つのが一般的です。
ウイルス性の結膜炎は人から人へ感染するため、タオルやハンカチの共有は避けるとともに、石鹸やハンドジェルなどでの手洗いが大切です。
結膜弛緩症
結膜弛緩症とは、何らかの原因で粘膜部分がたるんでブヨブヨになった状態です。本来、結膜には適度なゆるみがあり、眼球が上下左右に動きやすいようになっています。しかし、何らかの原因でこのゆるみがひどくなると、黒目に透明な膜が被さっているようになります。これが結膜弛緩症です。
高齢者に多く、加齢に伴って増える傾向がありますが、現状はっきりとした原因は分かっていません。皮膚と同様に加齢に伴いたるんでしわができるように、眼球も加齢に伴って弛緩するのではないかと考えられています。また、コンタクトレンズの使用で、目に負担がかかっていることも原因です。
結膜弛緩症になると、目の異物感や不快感、涙の量が増えるなどの症状が起こります。結膜弛緩症は、点眼薬の見直しで経過観察をし、それでも改善しない場合は手術を行い結膜のゆるみを改善します。
翼状片
翼状片は、目頭側の眼球結膜から黒目部分の角膜に向かって、血管が三角形状に伸びてくる病気です。結膜には血管が多く存在しており、それらの血管が血管のない角膜の中に入り込むことで黒目の一部が充血したように赤く見えます。こぶができたように一部が盛り上がるのが特徴です。
翼状片も、はっきりとした原因は分かっていません。しかし、紫外線が関係しているのではないかと考えられており、高齢者に多い病気です。
翼状片の初期段階では特に目立った症状はありませんが、症状が進行すると、炎症部分が盛り上がります。また、まばたきをするときに炎症部分がこすれてしまうため、目がゴロゴロするなど慢性的に異物感があります。ただし、基本的に痛みはありません。症状が進行すると視力が低下することもあるため、早めの治療が必要です。
翼状片の治療は、点眼治療や手術治療です。充血や異物感が強いときはステロイドで充血を抑えます。しかし、対症療法になるため根本的な解決にはなりません。時に手術を行うこともありますが、再発しやすいため「自己結膜移植術」と呼ばれる再発のリスクが少ない術式を用いることもあります。
結膜下出血
結膜下出血は、結膜の下にある毛細血管が破れて出血した病気で、白目部分が赤ペンで塗ったように赤く染まります。結膜下出血は、見た目こそ痛々しい感じがしますが、目の異物感や違和感はあるものの、痛みはほとんどありません。
原因はくしゃみやせき、過度な飲酒、月経、水中メガネの絞り過ぎなどで、些細なことでも出血します。結膜下に起こる出血は、眼球の外で起こっているため、視力の低下は伴いません。
通常は、1~2週間ほどで自然に吸収されますが、2~3か月ぐらいかかることもあります。自然に吸収されるため、ほとんどの場合は経過観察で治療の必要はありません。
眼球の結膜の色で考えられる病気
通常、結膜は白色をしています。しかし、病気や炎症によって結膜の色が変化することがあります。ここでは、結膜が黄色い場合と赤い場合に考えられる病気を解説します。
結膜が黄色い場合
結膜が黄ばんで見えるときは、結膜に黄疸が起きている可能性があります。黄疸とは、血液中のビリルビンという色素濃度が高まることで、皮膚や目の色を黄色く変色させる症状です。
黄疸は、新生児から高齢者まで年齢に関係なく発生しますが、年齢層によって原因が異なります。黄疸の原因は、赤血球が病的に破壊されるために起こるもの、肝臓での処理の障害、胆管の腫瘍・閉塞などです。
黄疸はまず目に症状が起こるため、白目が黄色くなっていると黄疸を最初に疑います。黄疸の症状には、だるさ・皮膚のかゆみ・発熱・腹痛・尿の色が濃いなどがあります。
結膜が赤い場合
結膜が充血している場合は、先述のように結膜炎や翼状片、結膜下出血などが考えられます。そのほかに、目を酷使することで、目が疲れて充血することもあります。
現代人はパソコンやスマートフォンなどの画面を見つめる時間が増えています。画面を注視している間は、まばたきの回数が少なくなります。目薬を使用しながら、目の潤いを保ちましょう。
まとめ
結膜は、まぶたの裏側から黒目部分までを覆っている、粘膜部分のことで眼球結膜と眼瞼結膜に分けることができます。結膜は細菌やウイルス、ほこりなどから目を守る働きがあり、涙を作る役割も担っています。
この結膜に起こる代表的な病気が結膜炎や翼状片、結膜下出血などです。白目部分が黄色くなったり赤くなったりするときは、何らかの症状や病気が起きているサインです。気になる症状があれば医師の診察を受けましょう。先進会眼科では、実績と経験のある眼科専門医が様々な眼疾患を診ています。目の症状が気になる方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
視力回復・白内障など目の治療なら
先進会眼科へご相談ください
ご予約はお電話、Web予約、LINEで承っております。診療に関するご質問ご相談はLINEでのみ受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357