緑内障の原因|初期症状やなりやすい人の特徴、予防方法も解説
診察室で緑内障の方とお話しさせていただくと「健康診断で初めて緑内障の疑いって言われたけど、どうして緑内障になっちゃったんだろう」というお悩みをお持ちの方が多くおられます。
今回はどうして緑内障になるのか、その原因が知りたいという方に向けて、緑内障の原因とともに、緑内障になりやすい人の特徴や緑内障の予防方法も併せてお話しいたします。
緑内障の原因
残念ながら、緑内障のはっきりとした原因はわかっていません。眼圧が高い状態が続くと、目の奥に続く視神経が障害されて緑内障となりやすいのは確かです。眼圧の正常範囲は10〜20mmHgとされており、20mmHgを大きく超えるような眼圧が続くと視神経が障害される可能性が高くなります。
ただし、どのくらいの眼圧に目が耐えられるかは大きく個人差があるため、眼圧が高くても視神経の障害が起きない人もいれば、反対に眼圧が正常範囲にあっても視神経の障害が進む人(正常眼圧緑内障)もいます。他の人と眼圧値を比較しても意味がありません。
そのほか、老化や遺伝、生活環境や近視、薬の影響など、さまざまな要素が緑内障の発症に影響を与えると言われています。
緑内障の危険因子
緑内障の危険因子とされているものには、遺伝、ストレス、スマホ・ゲームなど目を酷使する、生活習慣などがあります。
遺伝
結論から言うと、緑内障と遺伝は関係あるともないとも言い切れないのが現状となります。実際に、血のつながった家族の方、親戚の方などに緑内障の方がいる場合は、いない場合に比べて緑内障となる確率は高いとされています。これまでに判明した緑内障の原因遺伝子の一部は常染色体優性遺伝(親が緑内障だと子どもは50%の確率で緑内障となる)ことがわかっています。
先天性緑内障の一部は、明らかな遺伝性が認められます。また続発性緑内障として、ダウン症候群などの染色体異常、マルファン症候群などの結合組織異常、無虹彩症など他の生まれつきの病気に伴って起こる緑内障があることが判明しています。
理化学研究所などの研究チームは、日本人の開放隅角緑内障の患者さんに関わる7つの遺伝子領域を新たに発見しました。また過去に報告のある7遺伝子形質について、2型糖尿病や心血管病との関連が示されました。これについては、今後の研究の発展が待たれるところです。
ストレス
ストレスと緑内障の関係については昔から指摘がありますが、現時点でストレスが緑内障の原因となるというはっきりとした見解は出ていません。
ストレスにより自律神経系のバランスが崩れることによって、視神経や網膜への血流が悪くなり、視神経に障害が出るという説もあります。またストレスによる睡眠不足は、眼圧上昇の原因となり得ます。
スマホ・ゲームなど目を酷使する
スマホ・ゲームなどで目を酷使すること自体が緑内障の原因となるわけではありませんが、緑内障の患者さんはしばしば眼精疲労を訴えます。視野障害の影響で、見えにくいものを一生懸命見ようとすることが関係あるとされています。
生活習慣
緑内障になりやすい生活習慣として、眼圧を上げやすい生活習慣があります。以下に挙げるような生活習慣は、いずれも眼圧を上げる可能性があると言われているものです。
- 枕が高い
枕が高いと首から目や脳へ向かう血液が少なくなります。目の血流が悪くなると、眼圧が上がります。 - うつ伏せ寝
眼球が圧迫されて、眼圧が上がります。 - いびき
睡眠時無呼吸症候群の方など、寝ている時に息が止まると目や脳への血流が悪くなります。 - 長時間下を向く
スマホやパソコンの操作・デスクワークなどで下を向くような姿勢を長くとると、首から目・脳への血流が悪くなります。 - タバコを吸う
喫煙は、目の血管を収縮させるため、眼への血流が悪くなります。また、活性酸素が発生し、目の組織を傷めるとされています。
緑内障の初期症状
緑内障の初期には、自覚症状はほとんどありません。視野に関しては、検査をすると軽度の視野障害を検出することもありますが、自分で視野が欠けていることを自覚することはまれです。視野の欠損は中心部から離れた場所に、小さな範囲で起こるのみです。眼圧が上がったときに目の重さや鈍い痛みを感じることもありますが、頻度はそれほど多くはありません。
原発閉塞隅角緑内障で見られる急性緑内障発作を起こすと、眼圧が急激に上昇する(通常40~80mmHg程度まで)ため、激しい目の痛みとともに、嘔吐や吐き気を伴った強い頭痛、充血、目のかすみ・視力低下などの症状が現れます。放置すると失明に至ることがあるので、緊急処置が必要な状態です。このような症状が出たら、すぐに眼科を受診しましょう。
緑内障になりやすい人の特徴
緑内障になりやすい人の特徴は、血縁者(父母、祖父母)に緑内障の方がいる人、糖尿病、強度近視、ステロイドホルモン剤の内服・吸入の経験がある人、目に外傷を受けたことがある人などです。このほかにも高齢(60歳以上)、高血圧、貧血、片頭痛の既往、痩せ型(男性)などは注意が必要となります。
レーシックなどの屈折手術を受けたことがある人は、角膜が薄いので眼圧が低く計測される傾向があり、緑内障が見逃されるリスクが高いです。健診をしっかり受け、主治医にレーシック手術を受けたことを申告しましょう。
また、緑内障の中でも閉塞隅角緑内障に関しては、遠視の方に多く発症する傾向があります。今まで眼科と縁がなかった、という方も要注意です。
緑内障を予防するために
結論から言うと、緑内障に確実に効果があるといえる予防法はありません。緑内障は視神経が障害されることで発症しますが、その原因が明確でないからです。少しでも予防になることをしたい、という方は、生活習慣の見直しと眼科の定期検診をお勧めします。
生活習慣を見直す
糖尿病や高血圧などの生活習慣病を防ぐために、バランスの良い食事、そしてウォーキングなど適度な運動を意識し、規則正しい生活を送りましょう。心身ともにストレスを溜めすぎず、普段から良質で充分な睡眠をとることも大切です。
喫煙は、若年層の緑内障につながりやすいとされています。今日から禁煙しましょう。
スマートフォンやパソコンを長時間使用する際は、1時間ごとに目を休めるようにしましょう。意識的にまばたきをしたり、ホットタオルで温めることも有効的です。
JAMA Ophthalmologyに掲載された研究によると、青菜類の摂取量が多いほど、原発性開放隅角緑内障のリスクが20%から30%低くなるという結果が出ました。青菜類に多く含まれている硝酸塩は一酸化窒素の元となり、血流量を増やして血液循環を良好にするといわれています。全身の健康のためにも、意識的に摂取するようにしましょう。
参考:JAMA Network.Higher Dietary Nitrate and Green Leafy Vegetable Intake Associated With Lower Risk of Glaucoma
40歳を過ぎたら定期検診を
40歳を過ぎたら緑内障を発症する確率が上がるため、定期的な検診をお勧めしています。また最近は、20歳代や30歳代で緑内障が見つかるケースが増えています。緑内障になる原因は眼圧の高さや老化だけでなく、他の病気にかかっているかどうかに加え、遺伝や強度近視、仕事や生活習慣など、実に様々な要因があります。
緑内障の治療は視神経の障害を元通りに治すものではなく、進行を抑えるために行うものです。一度進行してしまったら改善はしないため、現状で見えている視界を大切にするしかありません。できるだけ今の状態の目を守るためにも、定期的な検査を行いましょう。
まずは、自分に緑内障のリスクがどれだけあるかを検査でチェックしましょう。残念ながら緑内障が見つかった場合は、すぐに治療を開始しましょう。まだ緑内障を発症していなかったものの、緑内障予備軍と診断された場合は、6ヶ月〜1年に一度の定期検査を行うのがおすすめです。
まとめ
以上、緑内障の原因と予防策について簡単にまとめました。色々書きましたが、結局、「これをすれば明らかに緑内障にならない」というものはありません。定期的な検診によって緑内障を早期発見し早く治療を始めることが、最も大切です。
定期検診にはぜひ先進会眼科の先端機器と経験のある医師・スタッフにご相談ください。気になることがあれば、まずはお電話でお気軽にお問合せ下さい。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357