色覚異常とは|原因や症状、見え方の違い、検査方法を徹底解説
色覚異常は色の判別が難しかったり、他の人の思う色と違う色と認識してしまったりする異常があることを指します。突然色が分かりにくく感じるようになった方は、眼疾患が隠れている可能性があるので注意が必要です。
この記事では色覚異常の原因や症状について詳しくご紹介します。色覚異常だと支障が出てしまう職業があるので参考にしてみてください。
色覚異常とは
色覚異常とは、色の認識や違いの識別が正常の人とは異なり、異常があることをいいます。具体的には、色の違いが分かりにくかったり、違う色でも同じ色に見えたりすることが代表的な症状です。
色覚異常は、「先天性」と「後天性」に分けられます。以下が各々の概要です。
- 先天色覚異常:生まれつき色覚異常があることをいいます。1型から3型に分類され、遺伝性や遺伝子の異常により発症します。
- 後天色覚異常:病気やさまざまな要因により、後天的に発症した場合をいいます。眼疾患が原因の場合もあれば脳の障害などが原因となることもあります。
先天色覚異常
先天色覚異常は、生まれつき色覚に異常があることです。状態は人それぞれですが、生まれつき色覚異常があっても、視力は正常で視野の欠損もない場合が多いです。
両眼性で、病状が進行しないため、色の認識が人と違うことに子供の頃は気付かず生活していたケースもあります。このような軽度の場合、日常生活に大きく支障をきたすことは少ないといえるでしょう。
ここからは、原因と詳しい症状について解説します。
先天色覚異常の原因
先天色覚異常の原因は、遺伝や遺伝子の異常により発症します。遺伝子の設計図である染色体に異常があるとされていますが、詳しいことはいまだに分かっていないことも多いようです。
また、遺伝する方式によって異常が起こる視細胞が異なり、1型から3型に分類されています。
- 1型色覚と2型色覚:X染色体劣性遺伝
- 3型色覚:常染色体優性遺伝
- 杆体1色覚:常染色体劣性遺伝
先天性の色覚異常は女性より男性に発症することが多いです。これは異常な遺伝子を持っていても女性の場合は発症しないことがあるためです。
また、両親ともに正常な色覚の持ち主であっても、祖父母に該当する方がいる場合は、発症する可能性も考えられます。
先天色覚異常の症状
先天色覚異常の症状は、色の違いが判別できにくい状態、または全くできない状態です。色には、明るい色や暗い色がありますが、色ごとによって光の波長が段階的に違っています。そのことによって色は違って見えるのですが、色覚異常では型によって判別しにくい色の波長が異なります。
また、人によって程度に差があります。色の判別がやや難しいことを「色弱」といい、完全に分からないことを「色盲」といいます。
- 1型:赤周辺の波長が判別しにくい、または全く分からない
- 2型:緑周辺の波長が判別しにくい、または全く分からない
- 3型:青周辺の波長が判別しにくい、または全く分からない
1型から3型に分類されない先天色覚異常には、いずれかの色が1色しか分からない場合や、完全に色の判別ができない場合もあります。このような場合は、視力障害などが合併しているケースが多いです。
後天色覚異常
後天的な色覚異常は、産まれたときに正常な色覚だった方が何らかの原因で発症した場合をいいます。症状は人によって異なり、片目のみの場合や左右で違いがあるケースがあります。
原因の多くは眼疾患や脳の障害などです。特にカメラでいうフィルムにあたる目の網膜の病気は、色覚に影響を及ぼしやすいでしょう。また、網膜にある視細胞は明るいところで働く錐体と暗いところで働く錐体に分けられますが、後天色覚異常の発症の多くは、その錐体の異常による場合があります。
色の判別が難しいという症状がある場合、目の病気が隠れている可能性があります。眼科を受診して医師に相談しましょう。
後天色覚異常の原因
後天色覚異常の原因は、さまざまな可能性が考えられます。
- 錐体ジストロフィ
- 網膜色素変性症
- 緑内障
- 糖尿病網膜症
- 加齢
- 脳の障害
- 心因性視覚障害
これらは後天性の色覚異常を発症させる代表的な病気ですが、他の病気が原因の可能性も十分にあり得るでしょう。
後天色覚異常の症状
後天色覚異常の症状の特性は、先天色覚異常と違って異常の程度や性質に変化があることです。また、視力や視野など他の視機能の障害が同時に起こることもあります。
異常の程度や様式も、先天性のように分類されず人によって病態が異なります。また、色視症といわれる世界が特定の色の一色に見える病態も後天性の色覚異常の1つです。
色覚異常の色の見え方の違い
色覚異常では、違いのある色の判別が難しい、または全く分からない状態です。見え方は、特定の色を常時違う色と認識する比較的軽度なものから、世界がモノクロのように見えてしまうものまで人によって重篤度の振れ幅が変わります。
違う色の2つの物体を見ても、2つとも同じ色に見えたり、人とは違う色を認識したりすることで色覚異常に気付くことがあるでしょう。
色覚異常の検査方法
色覚異常を検査する方法は1つではありません。
- 仮性同色表:数字や図形などが、さまざまな色で書かれている表を使った検査
- 色相配列検査:複数の色の小さな丸い道具を使った検査
- ランタンテスト:赤、緑、青の色光を使う検査
- アノマロスコープ:機械をのぞき込み、円の上半分と下半分の色が同じかどうか答える検査
検査方法によって検査で得られる情報が異なるため、患者様に合わせた検査を医師が指示します。
進学や職業選択で注意すること
色覚異常があると、進学や職業の選択の際に注意が必要です。
信号を少なからず識別する職業は、主に車・電車・船・飛行機などの乗り物を操縦する職業が挙げられます。警察、消防、自衛隊などは、受験の際に色覚の基準がある場合があるので、自分の色覚異常の程度に合わせて調べてみる必要があるでしょう。また、美容師や服飾系の仕事は、色の認識がお客様と異なることで、業務に支障をきたす可能性があります。
軽度であれば、本人の気持ちや工夫次第で就くことができる仕事には、たくさんの候補が考えられるでしょう。大切なことは、自分の間違えやすい色など状態を理解することだといえます。なるべく早く眼科で検査を受けましょう。
色覚異常と言われたら眼科へ
色覚異常といわれたり、感じたりしたら眼科を受診しましょう。
先天性の色覚異常の場合は自分の状態を正しく理解し、対応する必要があります。また将来の仕事を考える際に、有無や程度を知ることはとても重要です。
後天性の場合は原因を治療することが第一優先です。違和感を放置せずに早期に治療を開始できるように、なるべく早く眼科を受診することをおすすめします。
まとめ
色覚異常があるかもしれないと考えると不安なことが多いかもしれません。
しかし、色覚異常は人によって状態に大きな差があり、その状態を把握するためには眼科での検査は欠かせません。また、色が判別しづらいのみならず、眼疾患が隠れている可能性も考えられます。早期治療を開始するためにもなるべく早く眼科を受診しましょう。
眼科を選ぶ際に大切なことは、さまざまな原因に対する検査からそれに対する治療の完了まで対応可能な眼科をあらかじめ受診することです。事前に色覚の検査が可能かどうか確認すれば、無駄な通院をしなくて済みます。
先進会眼科では、色覚の検査を行っています。また、色覚異常をきたす様々な眼疾患の治療が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357