ドライアイとは|診断基準や原因、症状、治療と対策方法を徹底解説
目が疲れたり、目が乾きやすかったりする症状は「ドライアイ」かもしれません。目の不快感を訴える患者様は、年々増加傾向にあり、スマートフォンやコンタクトレンズを使う人が増えたことも、増加の理由の一つになっています。
そこで今回は、ドライアイはどのような状態なのか、診断基準や症状、原因と併せて治療方法や対策方法を解説します。ドライアイだと感じたら、放置せずに医師に相談するのも大切です。
ドライアイとは
ドライアイは、涙の分泌量が低下したり、涙の質が低下したりすることで、目の表面をうるおす力が低下した状態です。
私たちの目は涙によって、目のうるおいを保ちながら外からの刺激をバリアしています。このほかにも、目に入った汚れや異物を洗浄・殺菌したり、栄養補給を行ったりするとともに、クリアな視界を保つために黒目の表面を滑らかに保つ働きも担っています。
日本では、約800〜2,200万人ものドライアイ患者がいるとされ、中でもオフィスワーカーの3人に1人が該当するという調査結果もあります。これは、インターネットの普及により長時間パソコンやスマートフォンを使用する人が増えていることをはじめ、エアコンの使用やコンタクトレンズを使用する人が増えたこと、高齢化が進んでいることなどによるものです。
ドライアイの診断基準
ドライアイ研究会では、ドライアイの定義と診断基準を定めており、2016年に10年ぶりに改訂されました。新しくなった定義と診断基準を解説します。
●ドライアイの定義
ドライアイは、さまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、目の不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある。
●診断基準
- 眼不快感・視機能異常などの自覚症状
- BUT検査(涙液異常)5秒以下※
1および2を有するものをドライアイとする
※BUT検査:涙液層破壊時間を調べる検査
これまでは、上記に加えて目の表面の乾燥によって起こる傷の「角結膜上皮障害」が必須となっていました。しかし、ドライアイは明らかな角結膜上皮障害が認められなくても、症状を訴える人が多くいるため、改訂に至ったようです。
ドライアイの症状
ドライアイといっても症状は、目が乾く、目が疲れるなどの症状のほかにも様々な症状があります。重症化すると合併症を引き起こすこともあるようです。ここでドライアイの症状を軽症・重症の場合それぞれ解説します。
軽症の場合
軽症のドライアイでは以下のような症状が現れます。
- 目が疲れやすい
- 目が乾いたように感じる
- 目がゴロゴロする
- 目がかゆい
- 理由もなく涙が出る
- 光がまぶしく感じる
- 目が重たく感じる
- 目が赤くなりやすい
- 目が痛い
- 目ヤニが出る
- 物体がかすんで見える
- なんとなく目に不快感がある
など
上記の症状のうち、5つ以上当てはまる場合はドライアイの可能性があります。まずは、近くの眼科を受診して検査を受けましょう。
重症の場合
ドライアイになると、初期は目の疲労感や異物感がある程度です。しかし、目薬などで対処をしていても気づかないうちに症状が悪化するケースもあります。
ドライアイが悪化すると、角膜や結膜に傷がついてしまうことがあります。また、目を酷使し続けることで、頭痛や肩こりなどの全身の不調を引き起こすこともあります。現在、ドライアイはよくある症状と考えられがちですが、気になる症状があれば早めに検査を受けるようにしましょう。
ドライアイの原因
目の表面の粘膜に異常が起こると、涙の量を維持するのが難しくなることが分かっています。その結果、うるおいを保てなくなり、菌や異物が侵入しやすくなり、摩擦や乾燥などの悪循環を繰り返してしまうのです。
涙の質を維持するためには、涙の3層のバランスを維持しなければなりません。涙は外から順に「油層」「水層」「ムチン層」に分かれており、それぞれが涙の蒸発を防いだり、目の表面をうるおしたり、涙が表面から落ちないようにしたりする役割を担っています。
特に、油層は重要な役割をしています。まぶたにあるマイボーム腺から分泌され、涙の蒸発を防いでいますが、マイボーム腺の機能が低下すると、ドライアイが発生します。ドライアイ患者のうち、86%がこのマイボーム腺の機能不全であることが分かっています。
また、引き起こす要因には環境もあります。年齢や性別、乾燥した環境、画面を見つめる作業、コンタクトレンズ、薬の副作用、自己免疫疾患などもドライアイを引き起こします。このように、いくつかの要因が複合的に起こるため、普段からの過ごし方も大切です。
ドライアイの治療方法
ドライアイ初期の頃は、目がしょぼしょぼしたり異物感があったりする程度ですが、適切なケアや治療をしないと重症化することがあります。そのため、違和感があれば眼科を受診して、適切な治療を受けましょう。
ここでは、ドライアイの治療方法を解説します。
点眼薬を使用する
ドライアイが軽度の場合には、点眼薬を使用して治療を行います。目のうるおいを維持させる点眼薬を使用することで、症状を緩和させます。
目のうるおいを維持させる点眼薬は、人工涙液やヒアルロン酸点眼などがあります。最近では減少したムチンを増やして涙を安定させる点眼薬も使用できるようになっています。
眼科を受診する
点眼薬でも症状が緩和しない場合は、涙点プラグやIPL光線療法などの治療を行います。涙点プラグは、涙点に栓をすることで涙を目の中に溜める治療です。プラグのサイズは、大きさや材質など様々なものが開発されています。
先進会眼科では、マイボーム腺の開口部の詰まりを解消する役割や、まつ毛のダニの感染抑制などに効果が期待できるIPL光線療法を導入しています。IPL光線療法は、マイボーム腺の機能不全の改善のために使用される治療法です。
治療は3~4週間の間隔で行い、2~4回程度実施します。手術のような外科的な治療ではないため、患者様の負担にも配慮された治療です。
注意点やリスクについては、水分不足によるドライアイには効果が期待できないこと、術後2週間は紫外線にあたる時に日焼け止めの使用が推奨されること、患者様によっては輪ゴムで弾かれるくらいの刺激や、浅達性熱傷による皮膚の赤みやヒリヒリとした痛み、照射によりシミや肝斑が明瞭になることがあります。
IPL光線療法では実施回数にを考慮して、複数回のプランも用意しております。
- 通常価格:1回16,500円
- IPL光線療法2回セットプラン:2回セット22,000円(5回目以降は8,800円)
ドライアイの対策方法
ドライアイは様々な要因により複合的に起こります。生活習慣も大きく関係しているため、予防対策のためには以下のことを見直してみましょう。
- 市販の目薬を使う
- 長時間画面を見るときは、1時間ごとに休憩を取る
- 意識的にまばたきを行う
- 加湿器などを利用して部屋の乾燥を防ぐ
- コンタクトレンズの装着時間を減らす
- メガネを使う時間を増やす
- アイメイクはしっかり落とす
市販の目薬でも、ドライアイ対策を行えるものもあります。しかし、目に清涼感を与える成分が入っているものや、目に栄養を与えるものなど配合されている成分によっては、かえって目に負担をかけることがあります。市販の目薬を選ぶ際は、薬剤師に相談し、防腐剤が入っていない目薬を選びましょう。
ドライアイだと感じたら医師に相談
ドライアイは、市販の目薬でのセルフケアだけでは症状が緩和しにくく、気づかないうちに悪化することもあります。
10秒以上まばたきを我慢するセルフチェックの方法がありますが、これを我慢できなかった場合ドライアイの可能性があります。また先ほど紹介した症状が5つ以上当てはまる場合も要注意です。自己判断せず、近くの眼科や当院にご相談ください。
まとめ
現代病ともいわれているドライアイは、よくあることと眼科の受診を後回しにしがちです。
しかし、適切な治療をしなければ合併症を引き起こしたり、体調を崩したりすることもあります。ドライアイは日常生活を見直すことで、予防対策することができます。
点眼薬や市販の目薬を使いながら、違和感があれば医師に相談するようにしましょう。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357