老眼で車が運転しづらい!老眼の治療・対処法を紹介
老眼の疑いがあり運転しづらいと感じたら、手術療法を受ける、または遠近両用メガネを着用するなどの治療・対処法があります。
安全かつ快適なドライブを楽しむためにも、視力の低下を感じた場合は、眼科で検査して適切な治療を受けましょう。
この記事でわかること
- 老眼になっても車を運転できる?
- 運転に必要な視力の基準
- 視力を矯正しても運転しづらい場合の対処法
- 老眼の治療・対処法
- 老眼用のメガネの種類と特徴
- 老眼の検査方法
- 老眼の進行を遅らせる生活習慣
老眼には、加齢とともに目のピント調整機能が低下することで、近くにピントを合わせる際に、視界がぼやけて見える症状があります。
このような症状により「老眼が進んで、車が運転できなくなったらどうしよう……」と心配されている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで本記事では、老眼のせいで運転しづらいと感じたときの対処法や、老眼の治療方法をお伝えします。
ご紹介する内容が、少しでも不安の解消につながれば幸いです。
老眼になっても車を運転できる?
道路交通法によって定められている視力の合格基準に達していれば、老眼になっても車を運転することができます。
ただし、定められている視力を満たしていない場合には、視力を矯正する必要があります。
老眼による視力の低下を矯正する方法は、遠近両用メガネやコンタクトレンズの装用です。
矯正方法に特に決まりはないため、遠近両用メガネやコンタクトレンズを装用して新たに免許を取得・更新することは、法律上問題ありません。
運転に必要な視力の基準
道路交通法第23条によると、普通免許の場合、矯正視力を含む視力検査で0.7以上の基準に満たなければ、車を運転することはできません。
普通免許以外にも、免許の種類別に視力の合格基準が設けられています。
免許種別の視力の合格基準
・原付免許 ・小型特殊免許 | 両眼で0.5以上、又は一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.5以上であること。 |
・中型第一種免許(8トン限定中型) ・準中型第一種(5トン限定準中型) ・普通第一種免許 ・二輪免許 ・大型特殊免許 ・普通仮免許 | 両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上、又は一眼の視力が0.3に満たない方、若しくは一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること。 |
・大型第一種免許 ・中型第一種免許(限定なし) ・準中型第一種免許(限定なし) ・けん引免許 ・第二種免許 ・大型仮免許 ・中型仮免許 ・準中型仮免許 | 両眼で0.8以上、かつ、一眼がそれぞれ0.5以上であること。 |
引用元:警視庁 適性試験の合格基準
このように、免許の種別によって合格基準が異なります。
視力を矯正しても運転しづらい場合の対処法
遠近両用メガネやコンタクトレンズなどを着用して視力を矯正しても、見えにくいと感じる場合には、度数が合っていないことが原因として考えられます。
視力は、ご自身では認識できないうちに徐々に低下するため、同じメガネやコンタクトレンズを数年間使っていると、度数が合わなくなることがあります。
視力検診は、眼科やメガネの専門店で簡単に受けられますので、しばらく視力を測っていない方は現在の度数を調べてみてはいかがでしょうか。メガネやコンタクトレンズの度数を変えても見えにくい場合は眼疾患が原因の可能性があるので眼科受診をお勧めます。
また、運転時にのみ遠近両用メガネで視力を矯正している場合には、普段メガネをかけないことで目が慣れておらず、見えにくさが生じていることもありえます。
遠近両用メガネは、慣れるまでに時間がかかるため、なるべく普段から着用して慣らしておきましょう。
それから、運転中に視線を動かす際は、頭ごと動かすように心がけると見え方の違和感が薄れるので試してみてくださいね。
老眼の治療・対処法
老眼による視力の低下を改善するには、以下の3つの治療・対処法が挙げられます。
- 手術療法
- 老眼鏡・遠近両用メガネ
- 遠近両用コンタクトレンズ
各詳細をお伝えします。
手術療法
はじめにお伝えしたい老眼の治療方法は、手術療法です。
これまで老眼は老眼鏡や遠近両用メガネ、コンタクトレンズで矯正することしかできませんでしたが、さまざまな手術療法が開発され、治せるようになりました。
具体的には、多焦点眼内レンズ(遠近両用眼内レンズ)を用いる手術療法が挙げられます。
多焦点眼内レンズは、老眼矯正眼内レンズともよばれ、白内障手術時に用いられる眼内レンズの構造を応用して作られています。
目の中に入ってくる光を遠方、中間、近方に振り分けることによって近くから遠くまで見える設計です。
近方にも光を振り分けているため、近視・遠視・乱視にくわえて老眼の矯正にも有効というわけです。
手術を受けて、老眼の症状が改善されれば、運転のしづらさも大幅に改善できるでしょう。
老眼鏡・遠近両用メガネ
老眼鏡や遠近両用メガネも、いわずとしれた老眼による視力の低下を手助けするアイテムです。
老眼鏡は、老眼で衰えてしまったピントの調節力を補えます。
主に読書や裁縫などで、手元にピントを合わせる際に使用するため、運転中の着用には不向きです。
前述の遠近両用メガネでは、近距離に特化した老眼鏡とは異なり、近くと遠くを同時に見ることができます。
複数箇所にピントを合わせられる“多焦点レンズ”が使用されているので、運転中の着用にも適しています。
遠くを見るたびにメガネをかけ直す手間が省けるうえに、見た目は一般的なメガネと変わらないため、若い方でも抵抗なく着用できるのも嬉しいポイントです。
遠近両用コンタクトレンズ
老眼の対処法としては、遠近両用のコンタクトレンズの装用も挙げられます。
遠近それぞれを見るための度数をうまく配置した遠近両用コンタクトレンズなら、遠くでも近くでも比較的簡単にピントを合わせることが可能です。
基本的なお手入れ方法や使い方は、一般的なコンタクトレンズと変わらないため、普段コンタクトレンズを着用されている方であれば、メガネよりも手軽に使用できます。
老眼用のメガネの種類と特徴
老眼用のメガネには、以下のような種類があります。
- 老眼鏡
- 累進レンズメガネ
- 二重焦点レンズメガネ
ご自身に適したメガネを見つけるために、それぞれの特徴を押さえましょう。
老眼鏡
老眼用のメガネと聞いてまず思い浮かべるのは、老眼鏡ではないでしょうか。
老眼鏡は、30cm以内の手元を見るときにのみ適しており、遠くを見るときには外す必要があります。
左右で同じ度数の老眼鏡であれば、100円ショップや雑貨店でも、手軽に購入することができます。
ただし、リーディンググラスともよばれる安い既製品は、左右同じ度数で作られているため、左右で度数を変えることや、ご自身に合ったレンズを入れることはできません。
ご自身の目に合わせたレンズでなければ、長時間使用した場合、集中力の低下や疲労感につながるため、現在の度数を検査したうえでご自身用のメガネをつくることをおすすめします。
累進レンズメガネ
累進レンズメガネも、老眼による視界の見えにくさを補正できるメガネです。
一枚のレンズの中に近距離・中間・遠距離を見るための複数の度数が、グラデーションを描くように入れ込まれています。
上部に遠距離を見る度数、レンズ中央付近に中間を見る度数、レンズ下部に近距離を見る度数が入っているため、視線を動かして見たいものにピントが合う位置を探す必要があります。
累進レンズメガネの利点は、老眼鏡のように遠距離を見るときに外す必要がなく、メガネをかけた状態で一日中過ごせることです。
見たいものの距離に合わせて、視線を円滑に動かすことができます。
一方で、一枚のレンズに複数の度数が入っていることから、一つの度数しか入っていない“単焦点レンズ”と比べると、揺れや歪みが生じるのが難点といえます。
一般的にレンズのグレードが高いほど、揺れや歪みが少なく視野が広くなるため、幅広いグレードを取り扱っているメガネ専門店で購入するのがおすすめです。
また、累進レンズメガネは、特有の視線の動かし方に慣れるまである程度時間がかかるので、使い始めは疲れや酔いを感じたり、階段が歪んで見えたりする可能性も考えられます。
そのため、累進レンズメガネをかけて運転するときは、日常生活で目を少しずつレンズに慣らしておくことが大切です。
二重焦点レンズメガネ
レンズの上部と下部で度数が分かれている二重焦点レンズメガネも、代表的な老眼用のメガネです。
二重焦点レンズメガネの特徴は、累進レンズメガネのように揺れや歪みを感じることなく、視線を上下に動かすだけで、近方も遠方もはっきり見えることです。
ただし、近距離を見るレンズの境目が、小窓のようにくっきりと分かれており、“遠近両用メガネをかけている”ということが容易に判別できるため、気になるかもしれません。
老眼の検査方法
老眼の症状が出てきた場合には、安全に運転するためにも、精密な検査を受けましょう。
老眼になっているかどうかを調べるためには、以下の検査を受けます。
- 視力検査
- 近見視力検査
- 眼圧検査
- 細隙灯顕微鏡検査
各検査方法をご紹介します。
視力検査
まず、老眼の検査で行われるのは、基本的な視力検査です。
“ランドルト環”とよばれるアルファベットのCに似た記号が書かれた検査表を、一定の距離から見て、環の切れ目を識別できるかどうかで視力を測ることができます。
老眼になると、水晶体の硬化や毛様体筋の衰えによって、うまくピントを合わせられないことから視力が低下します。
そのため、老眼の進行度合いの確認においても、視力検査を受けるわけです。
近見視力検査
老眼が疑われる場合には、視力検査にくわえて近見視力検査も受けます。
一般的な視力検査との違いは、視力を測定する距離です。
通常の視力検査では、5m離れた距離から“遠見視力”を調べますが、老眼の場合は“近見視力”の検査表を使用して、30cm離れた距離から行います。
裸眼で見た視力と、メガネやコンタクトレンズで矯正した視力の両方を調べる点は、通常の視力検査と同様です。
眼圧検査
眼圧検査は目に空気をあてて目の硬さを計測する検査です。緑内障や高眼圧症といった目の病気の有無を調べます。
そもそも眼圧とは、目の形を維持するために必要な目の中の圧力のことです。
眼圧が高くなると、視神経を圧迫して視覚や視野に異常をきたすようになり、目の病気につながるおそれがあります。
「老眼だと思って放置していたら別の病気が進行していた」ということがないように、定期的に検査を受けることが大切です。
細隙灯顕微鏡検査
老眼を調べる方法には、通常肉眼では見えない部分を観察できる“細隙灯顕微鏡”を使った検査も含まれます。
細隙灯顕微鏡検査では、特殊な光を目にあて、角膜や結膜に傷や炎症がないか、水晶体に混濁がないかを確認します。
老眼の進行を遅らせる生活習慣
食事や運動などの生活習慣を改善したり、紫外線対策を講じたりすることで、老眼の進行をある程度遅らせることができるといわれています。
食事においては、ほうれん草やかぼちゃ、卵黄などに含まれる抗酸化物質“ルテイン”を摂取する方法が挙げられます。
これは、ルテインがもつ強力な抗酸化作用に、ブルーライトや紫外線などの光を吸収する性質があるためです。
“天然のサングラス”ともよばれるルテインは、人間の体内では合成されないため、食事を通じて摂取する必要があります。
また、適度な運動も目の血流を良くして、視力の向上を促します。
目には、非常に細い血管が密集しており、血流を良くすることで視力の向上が見込めるわけです。
さらに、目で捉えた情報は脳で判断するので、目の血流改善だけではなく脳に刺激を与えることによっても、視力が良くなるとされています。
くわえて、紫外線を防止することも老眼の進行を遅らせるうえでは、有効な対策です。
紫外線を浴びると、肌だけではなく目にも大きなダメージを受けるため、サングラスや帽子などを着用して、なるべく紫外線を浴びないように心がけましょう。
このように、日常のちょっとした工夫次第で、目の健康を守ることにつながるのです。
手術療法や遠近両用メガネなどを用いて老眼を治療し、快適にドライブしよう
今回は、老眼で運転しづらいときの対処法や、老眼の治療方法をお伝えしました。
老眼の治癒方法には、手術療法にくわえて遠近両用メガネやコンタクトレンズの装用が挙げられます。
遠近両用メガネは、日頃から着用して特有の見え方に慣れておくことで、運転中の違和感を軽減できます。
また、視力の低下には老眼以外の病気が潜んでいる可能性もあるため、眼科で検査を受けることが肝心です。
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日本眼科学会認定眼科専門医
日本白内障屈折矯正手術学会 理事
先進会眼科 理事長
略歴
聖マリア病院 眼科 外来医長
福岡大学筑紫病院 眼科
村上華林堂病院 眼科
福岡大学病院 救急救命センター
福岡大学病院 眼科
愛知医科大学卒業
福岡県立嘉穂高校卒業
医師資格番号
医師免許番号 381664
保険医登録番号 福医29357